ブランディングに繋げるPR的発想
こんばんは、パブリックグッドの高橋です。
PR業に携わっておりますと、色々な方とお話をさせて頂き刺激を受けることが多々ございます。
今回は「ブランディングに繋がるPR的発想」をテーマに事例を交えてお伝えさせてください。
■CASE.1 業務の価値を見直し自社のブランディングに活かす
先日、とある左官業を営む企業の社長様とお話をさせて頂きまして、そこで感銘を受けた事例がございますので紹介させて頂きます。
まず、左官業と聞くと、皆さまはどういったイメージをお持ちでしょうか?
「がテン系」「一見怖そうな男性の職人がいる」「地味」…など、あまりポジティブな印象を持たれている方はいないかもしれません。
かく言う私もそうでしたが、社長とお話をさせて頂き、そのイメージが変わりました。
左官業界には大きな課題があります。
それは、「担い手の不足」です。
左官業に携わる職人の数を見てみると、2014年度の調査で左官職人の人口は全国で約3万人。高度経済成長を支えた最盛期(1975年頃)の30万人からなんと、10分の1に激減しているようです。
(国土交通省『建設工業施工統計調査報告(2014年実績)』)
さらに従事している年齢層では『左官における60歳以上の就業者が占める割合は約40%、平均年齢は53.6歳で、建設技能労働者全体の平均年齢46.6歳を大きく上回っており、今後の就業者数の減少が懸念されている』
(一般社団法人・建設経済研究所「左官レポート」より)
私がお話させて頂いた社長様も、この課題についてお話しておりました。
「昔は1つの街に1社はあった左官も、このままではいずれ無くなってしまう。」
社長は、人材採用の部分で、先程のような左官のイメージを変えることにチャレンジしました。
左官はクリエイティブでアートのようなものであり、多くの可能性がある、と思い立ったとのことです。
本来、左官業は土や砂を混ぜ合わせて施工していくので、その道のプロフェッショナルです。
土や砂で表現する、枯山水、カラフルな壁、自由度の高い表現方法。
社長はそこに着目し、自社のアピールと左官のイメージ転換を発信していきました。
もちろんすぐに効果は出なかったと思いますが、美大生、女性の採用も増えているようで、若手の採用に繋がってきているとお話しておりました。
他にも、アップサイクルを実践しています。
・あるコーヒーショップの壁はコーヒーカスと土を混ぜて施工
・ある金物店では割れて売り物にならない陶器を土に混ぜて施工
これはまさしく、左官という職業を見つめ直し、左官だから出来ることを突き詰めた結果だと思います。
左官業の価値から自社のブランディングへ応用された事例であり、私も実物の壁や見本を見た時に、こんなに鮮やかなものが作れるのか、と感動しました。
■CASE.2 インサイトを発掘しブランディングに活かす
事例として、もう一つ。
静岡県にあるアルミ鋳造工場さんの事例です。
こちらも、「若い就職希望者が来ない」という課題を抱えておりました。
アルミ鋳造と聞くと、どうしても工場での作業感というイメージが拭えません。
就活生などに、ヒアリングをしてみると「地味な仕事」「なんかダサい」といった辛辣なコメントがあったようです。
この会社では、前述のように、業務の価値を見直すといっても、発注を受けたものを作るという点において左官ほど提案の自由度は高くありません。
そこで、実践されたのが作業着のリニューアルです。
「作業着で出社して、作業着で帰る」をテーマにスタイリッシュな作業着をプロダクトしました。
実際の作業着:https://www.jmc-rp.co.jp/workwear/
すると、理系文系問わず、多くの希望者が集まりました。
当初の課題解決に加えて、オシャレに働ける会社として採用ブランディングに活かされたようです。
働きやすさ、給与や福利厚生面での訴求を多くの企業が実践する中で、こういったアプローチもあるのか、と参考になりました。
【弊社ではブランディングに関するご相談も受け付けております】
これら2つの事例で実践されている価値の見直し、インサイトの掘り起しといったことは、私共の会社でも時間をかけて取り組んでいることです。
まさしく、PR的な発想から取り組まれた事例であると思い、ご紹介させて頂きました。
価値の見直し、インサイトの掘り起しから見出されたものを戦略策定し、戦術に落とし込み、ターゲットへの架け橋となっていきます。
PRはマーケティング領域ではなく、ブランディングにも活かされます。
広報・PRご担当者様の方でも、ブランディングについてももしもお悩みでしたら、是非一度お気軽にご相談ください。
御社の目標などを踏まえて、一緒に考えさせていただきます。
最後に、代表 菅原からのコメントで示させて頂きます。
マーケティングもブランディングもその定義は千差万別ですが、企業のコミュニケーション活動として共通する視点はどちらも「約束」である点にあります。
企業はお客様に常に「約束」をします。この商品を買うと~できます、という約束。
そして、マーケティングでは「この約束をしたらいくらのリターンが得られるのか」を事前にシミュレーションするスタイルが一般化していますね。デジマとかでは特に顕著です。
左官をアートやクリエイティブ職として発信したり、工場におしゃれな作業着を導入したりする施策は、実施前にその施策効果を定量的に想定できませんよね。
よって意思決定が難しいのだろうと思います。
ここで、企業を人間に置き換えてみましょう。
事前にリターンを想定して、得があると確信できた発言と行動だけをする人の約束って、信じられるでしょうか?
まあ、百歩譲って信じられるかもしれませんが、愛されはしませんよね。
例えばNo.1企業トヨタがあれだけの制作費と出稿量をかけて「トヨタイムス」を続ける意図とは?
世界的に名高いパタゴニアが選挙投票日に全店を閉店して売上を落としてまでも、従業員の投票を促進する目的は?
共同PRさんが「ブランドは広告でつくれない」を出版されてから20年近くが経つそうです。
ふと立ち止まって、いまの企業と生活者の関係性を、企業のコミュニケーション活動の意思決定の方法論を、見つめ直してみても良いように感じます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
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