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読書「ケーキの切れない非行少年たち」

ケーキの切れない非行少年たち
著者 宮口幸治

こちらはオーディブルで聞いた一冊です。

本書では多くの非行少年たちが実は発達障害などの
障害を抱えていて、それが周りに知られず
本人も生きにくい状態で社会へ出てきて
結果的にうまくいかず犯罪の道に染まってしまったり
周りと違うところを学校などでいじめられ、
そのストレスが幼児への虐待などに向かったりした
という話が紹介されていました。

確かに犯罪者の全てが障害があるわけではないでしょうが
著者は犯罪に染まる前の段階で周りがその人の障害に気づき
その人に良い環境を提供することもできたかもしれないことに
触れています。

イジメが遠因になって事件が起きているという点は
特に注意したいところではないかと思います。
こうした障害は一見目に見えないし、分かりにくい場合も多く
共感性の欠如等においては理解されにくい気がします。
しかし、全てのことにおいて言えるのは、
暴力は暴力しか生まないという事じゃないかと思うのです。

例えば今、安倍元総理の事件が起き、人々が悲しみに
暮れている中ちょっと考えたら皆が悲しんでいることなど
簡単に想像できるはずなのに、やたらと誰かや何かを
攻撃することに張り切っている人達もいます。
自民党の人達の悲しみも大きいでしょうに、
政治の話とごっちゃにして人の死に悲しんでいる最中に、
自民党を叩いたり。
統一教会の献金システムはおかしいけれど、
そのシステムや教義云々の批判を言うならともかく、
その団体に属する一般の人達を洗脳された人のように
罵ったり傷つけたりすることは、
それはそれで一種の暴力ではないかと思うのです。
私は統一教会ではないので詳しくは分かりません。
しかし統一教会という名前の向こうには、
私たちと同じ人間がいるということを忘れてしまっているかのようです。
アルカイダ等がテロをやったとき、イスラム教徒の一般の方々が酷い差別を受けたりしたけれど、あれは間違っていますよね。同じようなことに感じるのです。
昔からある宗教であろうと、僧侶であろうと、
新興宗教であろうと無神論者であろうと、
犯罪者になる人は犯罪者でしょう。
宗教=カルトや洗脳のようなことを言うのは酷い差別です。何にせよ差別をする人は大抵宗教については何も知らない無知な人です。
まるで正義を語っている様子ですがそうした暴力で
多くの人を傷つけている想像力がなく、
気遣いもない人の本質が見えてきます。
今回、犯人は外国人だというような差別もあったりしました。
こうした差別という暴力が、多くの事件の遠因となっているのであろうと思うのです。また同じような事件が繰り返されないようにするためにも、亡くなった安倍元総理のことを考えても、どう考えても今、誰かや何かを攻撃するような時ではないはずなのに。

ちょっと最近色々思うところがあり
例えが長くなってしまいましたが
思い込みや無知ゆえに人を傷つけて、
それがまた別の事件をうんでいく
と言うような負の連鎖についてひとたび深く
考えてみる必要があると思いました。

また、障害が一見して分からないという点についても、
そうした障害というのは増えてきていると思うのです。
私は精神疾患を患っているのですが、見た目には
どこも悪そうではないので出来て当たり前のような
接し方をされて傷つくことが多々あります。
それは相手は分からないことなので相手を恨む
ということはないのですが自分がそんなことで傷つくのが
悪いという風に思ってしまったりします。
障害への偏見もかなりあると思います。
例えばPTSDの人は、家で四六時中寝込んでいないと
おかしいみたいに思われたり、笑ったりするはずがない、
等という人もいます。
知的障害や発達障害についても身近にいなければ
分からないでしょうから思い込みを持っている方も
いるかもしれない。
何にせよ、思い込み、偏見、こうしたものを
言葉や行動に出す前に
私たちは一度自分の無知についても振り返った方が
よいかもしれません。

本書を読み終え今後こうした研究が進んで、
さらに障害を持った方が少しでも生きやすい
世の中になっていくよう願いました。




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