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BED(過食性障害)を克服する② 克服法とサポートのしかた
過食性障害(Binge eating disorder:BED)は、お腹がぽんぽこりんになるほど食べたり、早食いだったり、お腹が空いてないのに食べるなどの症状が特徴の摂食障害のひとつです。
なお、BEDは、一人でこっそり食べた後に自己嫌悪や罪悪感、うつ症状、自己コントロール感の欠如などを強く感じ、それによって自己評価や自尊心、自信が低下することもあります。
なぜ過食をするのか?
摂食障害の原因とリスク要因のデータを踏まえたうえで、バイオサイコソーシャルモデル(BPS model)を使用してそれぞれのケースを調査していくと、BED(過食性障害)の発症には、'環境的(社会的)リスク"と"生物学的リスク"があるということが分かります。
バイオサイコソーシャルモデル(BPS model)とは、保険、医療を思考する際の概念で、疾患や臓器だけでなく、個人として"その人"を中心に据え、包括的で統合されたヘルスケアを提供するための全体観を意味します。
過食の環境的(社会的)リスク
過食につながる環境的リスクは、以下の通りです。
・混沌とした家庭環境、不安定な人間関係、健全な方法で問題を表現できない家族関係などを持つことで、自分の気持ちを閉じこめる傾向にある場合、過食につながる可能性があります。
・自分にとって影響力のある人、親などが摂食障害を持っている場合、そのライフスタイルを自分自身に導入する可能性があります。つまり、遠回しに"ダイエットや食べ物に執着することを教わる"ということです。
・親や保護者へのアタッチメントスタイルによって、愛や心地良さを求めるよりも、簡単に手に入る食べ物に代替する可能性があります。
・根底にあるストレス要因やトラウマなどの対処や治療がされていない場合、食事や食べ物によってストレスやトラウマによる苦痛を発散しようとする傾向があります。
・ダイエットやボディイメージの圧力(メディアや世間体、ダイエット文化など)は、強い羞恥心につながり、他者にナイショで過食をする口実になることがあります。
過食の生物学的リスク
過食につながる生物学的リスクは、次の通りです。
・遺伝
・強迫観念と反芻思考(レーシング思考)
・不安障害、うつ症状、衝動のコントロールと欲求に対しての耐性
・エモーションコントロールと自己表現の困難さ、コミュニケーションの問題
・完璧主義とネガティブ思考
・思春期
・ホルモン(グレリン、コルチゾール、オキシトシンなど)や胃腸(ペプチドYY)の乱れ
BED(過食性障害)の影響
過食性障害は、身体的な健康、感情、幸福感、仕事、人間関係に影響を与えることがあります。
特に長期的な健康に対してのリスクには、体重増加、肥満、死亡のリスクまで幅広く存在しています。
研究データでは、BED(過食性障害)と診断された人のほとんどが肥満状態であり、慢性的な体の痛み、糖尿病、高血圧、喘息、ホルモンの不均衡、睡眠時無呼吸症候群、特定の癌などの合併症に関連していることが分かっています。
BED(過食性障害)の克服法
こちらの記事では、BED(過食性障害)を克服するためのサポートとして、ライフスタイルの変更点を2つ提案いたします。
まず最初に、食事についての考え方として、"満腹感と栄養"を主体にして食事をおこなうようにしてみましょう。
ただし、無理をして食べたい物を食べなかったり、自分自身に辛い思いをさせてしまうと過食につながる可能性が高くなるという研究データもありますので、自分の体重は気にせず、食事を楽しむようにすることです。
次に、どのような状況、感情になると過食をしてしまうのかを特定してみましょう。
すると、過食をする時に食べようとしている物は、健康や生命を維持するための物ではなく、感情の矛先であることに気づくことができます。
その上で、BED(過食性障害)の克服をして楽しい毎日を送っている自分に近づけるように、自己評価、自尊心、自信、セルフコンパッション、ポジティブな考え方などを自分自身に教育していきましょう。
さらに、過食性障害を克服する方法は、以下をご参照ください。
自己イメージ
過食の構造を変化させる治療プランも重要ですが、その際、過食が治った素晴らしく調子の良い自分は、どのような人になるのかを徹底的にイメージするようにしましょう。
食事日記とジャーナリング
日記というと過去の出来事を記載することを考えてしまいますが、この場合は、明日、明後日の食事や献立を記載していくことをおすすめします。ポイントは、もし日記通りに食事がとれなくても落胆せずに、「明日、明後日かならずできる」とセルフトーク(自己対話)することです。
食事瞑想の練習
BED(過食性障害)を持つ人は、多くの場合、"食事中に我を忘れてしまう"という状態になります。↓の記事にある食事瞑想を練習することによって、失ってしまう自分の感覚を取り戻すと共に、自己評価、自尊心、自信などを向上させることができるでしょう。
信頼できる人のサポートを受ける
研究データによると、BEDは育児放棄、否定的な保護者の影響と感情に関連していることが分かっていますので、他者からのサポートを感じることは、過食に関連する孤独感を抑えるのに役立ちます。
独自のダイエットは避ける
ダイエットのルールやシステムによっては、食事に対してのストレスを増加させるため、ダイエットは専門家によって推奨されない限り、避けたほうが良いかもしれません。
過食のトリガーを制限する
専門家との相談によりますが、どの食品が過食につながるのかを特定し、その食品を避けたり、制限をすることも良い試みです。
自分自身を孤立させない
孤独感は過食を促進する傾向がある感情です。孤独感や孤立は、退屈やナイショの食事に関連する可能性があります。
趣味を見つける
自分が楽しいと思える趣味を見つけることは、BEDを持つ人によく見られる自信の低下や気分の問題の解消につながります。
ロールモデルを探す
自分と同じような境遇や生活環境を持ち、過食を克服した人、成功を収めたポジティブな人のロールモデルを探す行為は、自分自身に希望の光を見出す手助けとなることでしょう。
BED(過食性障害)の人をサポートする
BED(過食性障害)に苦労している人をサポートするのは、少し難しいかもしれません。なぜなら、相手は防御的になっていて、過食やそれに関する問題を隠しているかもしれないからです。
BED(過食性障害)にはいくつかの段階があり、まずは相手がどの段階にあるのかを理解することで、サポートのタイミングと質を向上させることができます。
BED(過食性障害)の段階は、事前熟考、熟考、準備、行動とメンテナンスの4段階ですが、サポートに適しているのは熟考の段階です。
事前熟考の段階
BEDの人は、まだ自分の過食行動などについて否定をしている状態です。
この段階では、まだ相手に歩み寄ることは難しいかもしれませんので、あなたは相手に対して、"いつでもサポートできますよ"という姿勢を知らせておきましょう。その後、相手の準備ができたら、いつでも質問に答えられるように、BED(過食性障害)の知識や情報を入手しておくのです。
熟考の段階
BEDの人は、過食などの問題を抱えていることを認める準備ができている状態です。
サポートの準備ができているあなたは、相手よりも合理的な思考で会話をすることができるはずです。相手の意見を聞き、治療につなげ、前向きな視点で相手を励ましていきましょう。もちろん、再発の可能性や挫折が避けられない場合、忍耐強く協力的であり続けることが重要です。
おわりに
BED(過食性障害)の克服は、全体として長いプロセスになることも多いため、焦らずにじっくりと腰を据えて改善していくことがポイントとなります。
なぜなら、進歩や改善が見られたとしても、数週間で元に戻ってしまうことがあるからです。しかし、BED(過食性障害)は克服できる症状ですから、あきらめる必要はありません。
克服や改善を繰り返しながら、自分自身を理解し、より良い状態を目指して毎日を楽しみながら過ごしていくと良いでしょう。
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