当たり前の日常を取り戻す
日々の暮らしが忙しくなってくると、体力も心の余裕もなくなり、とにかく何もできなくなる。
自分の好きなゲームや読書にも集中できず、自分のやりたいことすらできないことに焦りと不安を感じるようになる。
人は休まないと動けなくなる、という当たり前のことにこの段階で気づくことになる。
それでも弱音を吐いている暇もないので、限られた一日の休みで自分を回復させないといけない。
正直家で一日中ゴロゴロしていたいが、それだけでは気分は何も変わらないことを知っているので泣きそうになりながらも、とりあえず身支度をする。
いつものことが難しい
家の近くの回転寿司へ向かう。休日やリモートワークの日にふらっと行くことが多かったが、気づいたら億劫になってあまり行かなくなっていた。
今回も気乗りはしないが、とにかくいつも当たり前に楽しんでいたことを取り戻そうと思い身体を動かす。
何の変哲もない、いつものサーモンのおかげで自分を少しだけ取り戻した気分になれる。普段は自分が頑張らなくても楽しめていたことを、また少しでも楽しめるようになるのは気分がいい。
それでもまだまだ心は疲労しているので、なぜ私は外出したのだろうと数分前の自分を少しだけ恨む。
回復するために動く
それでも、このまま家に帰るわけにはいかない。
サーモンには申し訳ないが、私の心はサーモンだけでは癒されない。
次の目的地はアリオだ。私の中でアリオはかなり元気な時に行く場所で、映画や欲しい本があるときに立ち寄る場所だ。
今回は映画でも本でもなく、カルディのために来た。
カルディで人気商品を眺めたり、掘り出し物を探したりするのが昔から好きだった。
まだ9月だが、お店の商品はハロウィン仕様になっていて、時の早さを感じながらも新しい季節に少しだけワクワクする。
黒猫が描かれたハロウィン仕様のアイシングクッキーを家に連れて帰ることにした。
この頃には自分が元気かどうかなんて、気にしなくなっていた。
かなり回復している証拠だろう。
本のために来たわけではなかったが、ご機嫌になってきた私はそのまま上の階にある本屋まで向かう。
最近お気に入りの漫画を眺めながら、小説版を見つけたり画集を見つけて買おうかと悩む。でも今日はカルディのためにきたので、無駄遣いしたい気持ちを抑える。次の給料日に必ず買おうと誓い、後ろ髪を引かれながら本屋を出た。
最後は自分を甘やかして
いつもなら、このまま家まで約1時間歩いて帰る。それが楽しいのだ。
でも今回はさすがに、時間も体力も勿体なく感じてしまい大人しく電車に乗って帰ることにした。
今日は元気になるために自分のお尻を叩きながら過ごしてきたが、最後くらいは自分を甘やかして過ごすことにした。
正直かなりの荒治療なので、この回復した気持ちがいつまで持つのかは分からないが、日常で育ててきた自分の「当たりまえ」や「行きつけの場所」を辿ることで、少しでも自分を取り戻すことはいつでもできる。
たまに何のために頑張っているのかわからなくなって、何もかもやめてしまいたくなるが、いつだって自分のところにやる気もワクワクも戻ってきてくれる。
明日からもまた忙しさがやってくるが、いつでも私は自分を取り戻せることを忘れずにいれば、まだまだ頑張れるかもしれない。
Written by HINA