中津唐揚げは骨付きが美味しいらしい。
唐揚げは子どももおとなも大好きな、おうちごはんの定番人気。
揚げたてあつあつをビールのお供にしてよし、お昼の定食で白ごはんと一緒にもりもり食べてよし、そしてお弁当にいれて冷めてもおいしいのですから、その人気にもうなずけるというものです。
🍗唐揚げの聖地
そんな唐揚げが、ある街のご当地グルメとして、脚光を浴びています。
大分の中津は、唐揚げの街。お店によって味付けが醤油ベースだったり、塩ベースだったり個性もあって、食べ比べても楽しそうです。しかも、もも肉だったり、手羽元だったり、部位にもバリエーションがあるのも、選ぶ楽しみがましましです。
🍗気になる骨付き
その中でずっと気になっていたのが、骨付きというワード。手羽元にしても手羽先にしても骨付きの唐揚げになるのですが、それとは確実に別物の“ぶつ切り”というひと品。
その名のとおり、骨を外さずに、そのままカットしてあるんですね。
これは豪快。そしておいしそう。
そこで今回は、中津唐揚げの骨付きぶつ切りスタイルを、アレンジ再現してみることにしました。
🍗骨付きを求めて
となると、まずは絶対必須の、骨付きぶつ切り鶏肉をゲットしなくてはなりません。
そこで近くのスーパーを巡ってみたのですが、これがみごとに売ってない。4軒回って見つけたのは、バイキングがかじりつきそうな、骨付き丸ままの鶏もも1本。これを自分で家に帰って骨を切る…いや、さすがに我が家の包丁でそれは厳しそう。
さて、どうする。なんだかこの間のドッグパン探しの旅に似た様相を呈してきました。
念のためテナントに専門のお肉屋さんがはいっているスーパーにも足を伸ばしたのですが、そこで見つけたのは、まさかの丸鶏。クリスマスでもないのに、1羽まるごと体を丸くして鎮座してました。
いやいやいや、どんどんでかくなってるぞ。これなら、まださっきの鶏もも骨付きのほうがコンパクトだった。この丸鶏から目的の“骨付き”を得ようとすると、その作業はもはやぶつ切りではなく、解体…。
というわけで。
その日は骨付き唐揚げづくりは断念することにしました。歩き回ったせいで、お腹もすいたし。けっこう時間かかったんですよ。ほぼ、半日鶏肉を探してました、この日。休日でよかった。
🍗ぶつ切りは寝て待て
家に戻って、その日の夕飯をつくりながら、反省会。なぜどこにも骨付きぶつ切りが売ってないのか。何年か前に、それを使って、水炊きをつくったことがあるので、この近くのどこかに売っていたはずなんです。
なぜだ。なぜなんだ。
あ、そうか。もしかして。
いつの日か、自宅で骨付きぶつ切りを食べたのは水炊き。つまり、鍋。
いま季節は秋。ほんのひと月まえは、夏日が続いていた。そう、まだ秋の入り口。ということは…。
季節が早いのかもしれない。
という結論にたどり着いたのです。あとひと月、もしくはもう少し待てば、お鍋の季節がきて、その頃には鶏肉売場が骨付きのぶつ切りで溢れるのではないか。そう、いまは待つ時なのだ。待てば海路のぶつ切りあり。ぶつ切りは寝て待て。
というわけで、中津の骨付き唐揚げのアレンジ再現はこの冬の課題にしよう。そう決めたのでした。
しかし後日。事態は急変します。
🍗ぶつ切り発見
ででーん。これ。ぶつ切りゲット。
なんと、たまたま趣味の展覧会巡りで出かけた、都内某所。料理好きの習性でふだん訪れる機会のない土地にいくと、目的を果たしたあとの帰り道、ふらっとスーパーに立ち寄ることがあるのですが、そこで見つけたんですよ。
というわけで、お待たせしました。ようやくスタートします。
🍗骨付きを揚げてみよう
🍗材料(2人分)
・骨付き鶏のぶつ切り…1パック
・自家製万能だれ…大さじ3
・日本酒(または水)…1/2カップ
・片栗粉…適量
まずは鶏肉に下味をつけます。万能だれとお酒を合わせて鶏肉に軽くもみこみ、冷蔵庫で30分ほど寝かせておきます。
今回の下味に使う、自家製万能だれはこちら。
もちろん、普通に醤油、砂糖、みりんにおろしにんにくとおろししょうがを加えて合わせたものでもOKですが、常備しておくと、作り置きして寝かせた分、味に丸みというかまとまりが出ておいしいと思います。
万能というその名前のとおり、炒め物やドレッシング、漬け汁などけっこう使い道がおおくて便利なので、よかったら一度試してみてください。おすすめです。
さて、鶏肉に下味が染み込んだら、水気をよく拭き取って、片栗粉をまぶします。
このとき、鶏肉にまぶした粉の表面が完全に乾いた状態になるくらいが、唐揚げをかりっと仕上げる重要な要素になります。
そうするためのポイントは、とにかく水分をしっかり拭き取ることと、まぶす粉をけちらないことです。
いったん粉はたっぷりまぶしますが、中津の唐揚げは衣が薄くてかりっとしているのが特徴とのことなので、こうします。
網にいれて鶏肉を動かして、余分な粉を落とします。これで薄衣になりました。
さあ、あとは揚げるだけ。ぶつ切りを求めて放浪したあの日を思い出すと、ずいぶんと時が流れた気すらします。実際には、ついこの間さまよったばかりですが。
油は中温でじっくりと。
下になった面が固まったら返して、さらに中温の中で揚げていきます。
もう一回返せば、きれいなきつね色になってきました。これくらいになったら、火を強めて油の温度を上げて、表面をかりっとさせて揚げあがり。
しっかりと油を切っている間に、余熱がはいって、いい具合です。
どうでしょう。これがぶつ切りの唐揚げ。
なんともパワーを感じます。
🍗グッドルッキング唐揚げ
揚げたときにお肉の部分がひきしまったおかげで、いい感じに骨がむき出しになって、素晴らしいルックスになりました。ちょっと漫画肉っぽくなった1本を、“映え”対策に手前に盛り付けます。
味がおいしいのはもちろん、ふだん家でつくる唐揚げとはひと味違う、ゴージャスに感じるビジュアルが嬉しいですよね。
さすがは唐揚げの聖地、中津。こんなバリエーションがあって、そしてそれが人気だというのが、通好みな感じです。
これからの季節、鍋用のぶつ切り鶏を見かける機会は増えるはず。またぜひつくってみようと思います。
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