赤スパは青春の空腹の味。
学生の頃ってなんであんなに、いつもお腹が空いてたんだろうと思うことありませんか。
🍝買い食い、夕飯、そして
帰り道に肉まんを買って食べたり、サンドイッチを買って食べたり。そのあとおうちで夕飯を食べてお風呂に入ったら、ちょっと勉強をはじめるのですが、10時くらいになると、早くも小腹が空いてきます。
お昼ごはんのあと、買い食い、夕飯、そして夜食。なんと、3回も食べてるんですよね。いまだったらとても考えられない、旺盛な食欲。
でもそれでいて、標準体型だったことを思うと、それだけ体を動かしてもいたのでしょう。そうじゃないと計算が合いません。
🍝懐かしの夜食
その頃、週に2回、家の近くに住んでいた大学生のお兄さんに勉強を見てもらっていました。家庭教師として来てもらうのではなく、学校から帰宅したら家で夕飯を食べたあと、こちらが自転車で通うスタイルでした。たしか時間は夜の8時から10時だったか、もう30分早かっただったと記憶してます。
いずれにしても遅い時間に勉強を終えて、自転車で家に帰ってくると、お腹が空いてたまりません。勉強に向かう前に夕飯は食べたのに、やっぱりお腹が空いていたんです。
そんなとき、母がつくってくれた夜食にこんなメニューがありました。
それがこれ、いわゆる赤スパ。
茹でたスパゲティにケチャップをからめて炒めただけのひと品です。これが勉強から帰った夜、妙においしかったんですよね。
🍝つくってみよう懐かしの味
そんなわけで今回は、懐かしい青春時代の夜食を再現してみたお話です。
使う麺はスパゲティ。
茹で時間は袋の表示より、プラス1分が目安。本格的なイタリアンのアルデンテとは対局のやわらか麺。懐かしい喫茶店のナポリタンなんかの方向性です。
茹で上がったら、しっかり水気を切って、バターを溶かしたフライパンに投入。
バターをからめて炒めたら、ケチャップを加えます。
あとはこれを炒めるだけ。
できました。これこそ、赤スパ。いうならば、具なしのナポリタン。最高にシンプルで、たまらなくおいしい青春の味。
おとなになるとこれだけで、ひと品のメニューというのは物足りない気がしますが、洋食屋さんの付け合せなんかだと逆に嬉しい気がします。シンプルだからこそ、メインがハンバーグでもしょうが焼きでもよく合うんですよね。
🌃記憶の中の夜食
あの頃の夜食。ほかにどんなメニューを食べていたかを思い出すと、定番のカップ麺はもちろん、袋麺のインスタントラーメン、ときにはサンドイッチなんかも母がつくってくれました。
でも、そんなメニューの中でも、赤スパはなぜか特に懐かしさを感じます。それはほかのメニューと違って、いまとなってはこれだけを単体で食べることがないからなのかもしれません。
サンドイッチはいまでも朝ごはんのごちそうだし、インスタントラーメンだって、休みの日のランチはもちろん、ときに時間のない夜のごはんに食べることもあります。
でもなんの具も入っていない、素パスタだけで食事を完結させることってないんですよね。
だけどあの頃、このメニューは夜食でした。夕飯はすでに食べていて、そこにプラスした食事だから、たとえ具がなくてもこれで十分満足でした。それにラーメンやうどんとは明らかに違う、洋食の風味が魅力だったのだと思います。
🍝赤スパはナポリタンの
ところで、久しぶりに懐かしい赤スパをつくってみると、ふと思いついたことがありました。
これってナポリタンのベースだよね。いうなれば、オムライスに対するチキンライスのような感じじゃないですか。
じゃあ、こういうスタイルもあるんじゃないの。
具を炒めます。
ケチャップをからめます。
ナポリタンの具だけができました。
いうなれば、ナポリタンのアタマ。
そう、アタマならば載せてみようじゃないか。
そこに目玉焼き。
どうでしょう。
赤スパは、アタマ載せたら、ナポリタン。
5・7・5ですね。
粉チーズにタバスコ。そしてパセリをぱらぱら。
懐かしい赤スパに、ナポリタンのアタマを載せたら、結果的にこれまた懐かしいナポリタンの完成形になりました。
👩偉大なる母
ところであの頃、勉強から帰ってきた子どもに夜食をせがまれてつくってくれていた母は、めんどうではなかったのでしょうか。夕飯をすでに食べた子どもが、夜遅くにまたなにかを食べることにブレーキをかけたい気持ちはなかったんでしょうか。
めんどうじゃなかったの?
ふと気になって母に尋ねたことがあります。すると、こんな答えが返ってきました。
あんなん、炒めるだけやん。具もないし、食べるってわかってたから、スパゲティはあらかじめ茹でて置いといたんや。あっちゅう間にできるで。
なるほど。
じゃあさ、そもそもご飯食べたのに夜遅く、夜食食べるってことはどう思ってたの。
まあ、若い頃やしお腹は減るやろしな。食べるんはそんなもんやろと思ってたわ。そのかわり、パスタだけにしといたら、いろいろ具をいれるより消化にええんちゃうかなとは考えてたで。
なんと。そこまで考えてくれてたんですね。母は偉大なり。
懐かしい赤スパの真実に、あらためて親の想いを知ることになりました。
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