ミックスグリルは止まらない。
その日は、足早に目的地を目指していました。
なぜならば、昨日の夜から食べたいものが、決まっていたから。土曜日のランチタイム、オープンと同時に飛び込んでこれを食べよう。
🍽️魅力あふれるミックスグリル
そう、ミックスグリルです。
それは洋食屋さんの花形メニューのひとつ。お店によって、ラインナップこそ違えど、ミックスというからにはすくなくとも3品の焼き物が、ジュージューと鉄板の上で音を立てている。そんな姿で、テーブルに運ばれてきます。
ハンバーグにステーキにポークジンジャー。はたまたチキンソテーが載ってることもあれば、サーモンのグリルだったりすることもある。
いずれにしても、食いしん坊のがっつり食べたいハートを掴んで離さない、そんな魅力あふれるミックスグリル。
🎌まさかの臨時…
昨日の夜、ふと頭に浮かんだ、あの店のあの鉄板。そのときから耳の奥にはジュージューという音が木霊し、まぶたの奥には湯気立ちのぼる鉄板の残像が焼き付いて離れません。足早にもなるはずです。
いよいよあの門を曲がれば、目的のお店にたどり着く。わくわくする気持ち、ジュージュー鳴る頭の中。さあ、いざ。
本日臨時休業。
え。
🔥ミックスグリルは止まらない
入口のドアに貼られた1枚の紙が伝えてくる、残念なお知らせ、脳内のジュージュー音に取って代わる絶望の鐘の音。立ち尽くす。ただ、立ち尽くす。
一瞬の間をおいて、頭がフル回転をはじめます。ほかにミックスグリルが食べられるお店はないのか。思いつかないことはない。
でも、そこもあそこも電車で20分とかそんな距離。それは無理。この燃え盛るミックスグリル魂は、きっとお店に着く前に灰と化すことでしょう。
止まらない。このミックスグリルへの想いは、もはや止まらないのです。誰にも止められない。ならば、いまやるべきことはひとつ。
つくる。ミックスグリルをつくるのみ。
🔪休みならつくってみせよう
というわけで、方向転換。自宅の冷蔵庫、冷凍庫の中身を思い出しながら、急遽、近くのスーパーに足を向けます。
なんか以前もこんなことがあったような気がするな…と思いつつ、手早くお買い物。帰宅するやいなや、ミックスグリルづくりのスタートです。
🥩メイングリルはハンバーグ
まず今回のメイングリルはハンバーグ。今回スーパーで買ったのは、ひき肉のみ。それ以外のメンバーは、冷凍してあった素材でいけそうです。
ボウルにひき肉、みじん切りの玉ねぎ、パン粉、卵を合わせて、ケチャップとマヨネーズ、お好みソース、こしょうと一緒に練っていきます。
まとまったら、油を敷いたフライパンに成形したタネを載せて火をつけます。
片面しっかり焼き色を付けたら、返して反対側も。
今回は仕上げに、スキレットで加熱できるので、この時点での火通りは、それほど神経質になる必要はなし。蒸し焼きにはせず、ある程度火を入れておく感じにしました。
🥩サブグリルは肉と鮭
ミックスグリルというからには、ハンバーグの仲間が必要。冷凍庫でストックしておいた、素材を解凍して焼いていきます。
ステーキ用のビーフ&サーモン登場。
しょうが焼き用の豚ロースもあったのですが、今回ハンバーグがけっこう大判になったので、スキレットの面積を考慮して、コンパクトサイズのお肉とサーモンをチョイスしました。
ミックスグリル魂が燃え尽きる前につくらなくては、とかいいつつ、割と冷静に完成図を脳内に描いてる自分がちょっと愛おしいです。
お肉は外側にひととおり焼き色を付けたら、あとはアルミホイルに包んで休ませつつ、余熱を回しておきます。その間にサーモンの皮をぱりっと焼いたり、焼きのひと手間を。
🔥舞台はもちろん
さあ、ミックスグリルのためのステージを設営しましょう。
もちろん、スキレットです。
オリーブオイルを敷いて、熱々に熱したら弱火にして、もやし&ピーマンwith玉ねぎをスタンバイ。このままじっくり焼いていきます。
💧ソースその①
続いて今回参加のサーモンさんのためのソースづくり。
自家製のピクルスと玉ねぎをみじん切りにしたら、マヨネーズ、フレンチマスタード、こしょうを合わせます。
そう、サーモン専用タルタルソースも参加します。
💧ソースその②
あとはこのパーツたちをスキレットの上に、ミックスするだけ。
野菜を端に寄せたら、まずは一番大きなハンバーグを配置。
ハンバーグのソースは冷凍しておいた、デミグラスソース。
牛肉の赤ワイン煮込みをつくったときの、旨味をたっぷり吸った香味野菜をベースにしてあります。
さあ、ゴールが近づいてきました。
ハンバーグ将軍の右大臣ビーフステーキ殿と、左大臣サーモン殿も登壇完了。
💧ソースその③
ハンバーグにデミグラス、サーモンにタルタルという武器を用意しておいて、ステーキだけ丸腰というわけにはいきません。
お肉とサーモンを焼いたあとのフライパンにスライスしたにんにくをいれて、香りが出てきたらみりんと醤油をじゅわーっ。
これをお肉の上に。
バターと刻みパセリを載せて、ステーキもフルアーマード。もちろんサーモンにはタルタルです。
🙌自家製ミックスグリル
これで完成。あとは食べるだけ。
止まらないミックスグリルへの想いを、止めなかった自分をほめてやりたいです。でかしたぞ。よくやった。おめでとう。ナイスファイト。
ハンバーグをぱくり、ステーキをがぶり、サーモンをもぐもぐ、合間に付け合わせの野菜をしゃくしゃく。うまい、うまいです。そして、力が漲ってくるようです。
ソースを3種類用意したことの魅力は時間差でやってきます。熱々のスキレットの上で、すこしずつソースが混じり合い、そしてそれがもやしにからんでゆく。
さらにもやしが、余熱で熱されていく。このソース全がらみのもやしがたまらなく、おいしいんです。そしてコク出し&風味アップにお肉の上から溶け出したバターが、いい仕事してます。
🤔これってどこかで
ミックスグリル愛が満たされた頃、ふとあることを思い出しました。あれは2年と4ヶ月前のこと。
この日もミックスフライを食べようと、洋食屋さんに向かったら、臨時休業だったんです。そして、そのまま勢いでミックスフライをつくったのでした。
これか。これだったのか。心の奥に感じたデジャヴ感の正体。
ああ、そうか。これが三つ子の魂というやつかもしれません。きっとまたおなじようなシチュエーションに自分が置かれたら、間違いなくスーパーに向かうんだろうな。そんなことを思いつつ、ミックスグリルを食べ終えたとある夏の日でした。