「祈りのカルテ」を読んで
タイトルからして感動を呼びそうな雰囲気。
知念実希人さんの作品で、5つのストーリーからなる短編集。
読んでみて、5つ全て丁寧に作り込まれている印象を受けました。
作品から、
・その人のエゴにしか見えない言動でも、違う角度から見ると相手を想うが故にそれを起こさせていることがわかる。隠れた想いを汲み取る重要性。
・人との出会いが自分を成長させる。一期一会の大切さ。
こんなことを学べました。
○ざっくりストーリー
研修医として奮闘する主人公。
自傷行為、薬物服用で繰り返し運ばれてくる女性
医師の薦める手術を頑なに拒否する老人
理由ありで、こっそりと入院している有名人
などなど、様々な出会いを繰り返す。
過去の苦い経験から、場の空気を読む力が人より秀でている主人公。
各科の医師も手をこまねく患者のちょっとした言動から、患者の心にある闇を見つけ出し、体だけでなく心も治療していく物語。
そして研修医の主人公はどの科の医師になるかも迷っている状況で、患者との出会いに試行錯誤しながらも成長していく姿に涙が止まらない!
そんなストーリーです。
○個人的お気に入りポイント
・スピード勝負の医療の世界を感じられる
患者に寄り添うことはもちろん大事。
しかし、緊急で運ばれてくる患者。1日で何人も運ばれてくる状況では難しい現実。
患者となる僕らからは全幅の信頼を置く、たった一人の医師だが、医師からすると、大勢の患者を同時に対応しないといけない。
この兼ね合いは難しいだろうなと思った。お医者さんって大変。
・患者の真の思惑に迫っていく
患者の心に隠された思惑。
見逃してしまいそうな些細な言動から迫っていく展開は、丁寧に作り込まれていて予想を上回ってくれます。
相手を想う気持ちが、少しの行き違いで自分本位なのものに変わってしまう。
人の気持ちは複雑で、それでいて素晴らしい。
少しネタバレになるかもですが、主人公がどの科へ行くかを決める話が物語のピークとなる盛り上がり。
自分を変える、成長させる、こんな劇的な出会いをしてみたい。
涙ちょちょぎれます。
○まとめると
人は相手を思いやれる生き物。
しかし、良かれと思ってしたことの意図が上手く伝わらず、ギクシャクした関係になってしまうことも。
意図を汲み取ることは大事。
それを上手く伝えられず、自分本位のようにとられてしまうのも、また人間。
こんな出会いを経験することで人は成長していく。
思いやり、人との出会いは大切にしようって話でした。
やはり、知念実希人さんの作品は感動間違いなし!
全僕が泣いた……
そして、次の「祈りのカルテ 再会のセラピー」へと続いていく。
いやぁ、小説っていいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
おしまい。
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