神様時計(毎週ショートショートnote)
我が家には、代々伝わる「神様時計」というものがある。深い色の木目と、ローマ数字の文字盤がレトロな柱時計だ。
普通の時計と違うのは、文字盤の十二時の上に、小さな神棚を思わせる開き戸がついていること。そして、時報が鳴るたび、そこから鳩時計のハトのように、小さなお稲荷様の像が出てくるのだ。
僕は小さい頃から、毎日このお稲荷様を拝むよう躾けられてきた。大人になり、実家の店を継いだ今でも、欠かすことなく続けている。そのお陰かどうかは知らないが、時代と共に商店街が寂れても、近所に大きな