読んだ本の気になる部分を書き留めていきます。
今回採り上げる本は、『心理学的経営: 個をあるがままに生かす』著.大沢武志です。
本を手に取った切っ掛け
この本を手に取った切っ掛けは、私がよく視聴させて頂いている大好きなサービス『CULTIBASE Lab』が完全無料化したことに伴い、代表の安斎さんがXとvoicyで一押ししていた動画
CULTIBASE 2023.11.07「心理学的経営」のアップデートを探る:新生リクルートが掲げる新しいマネジメント論
を見て、書棚にあった本を改めて見返してみたことでした。
書き留めたところ① タテマエとホンネ
野中先生が書かれている書籍『経営管理』では、
・組織に対する構造的な観点をクール・アプローチ
・組織の目標達成に対する個人的で人間的な観点をウォーム・アプローチ
として、経営学の文脈を整理されていました。
「経営管理」の中でのこの2つのアプローチを接合するという意味では、
「心理学的経営」に出てくる
『タテマエとホンネ』
『表と裏のマネジメント』
という捉え方は、2つの概念が一つの組織に同居している、矛盾しているものとして両立しているということが、感覚的にとても理解しやすいものでした。
タテマエがあるからホンネがあり、
表があるから裏がある。
このような理解は、組織運営を考えるにあたり、極めて重要です。
野中先生は、書籍「知識創造企業」において、ナレッジ・マネジメントである「SECIモデル」を提唱されていますが、この本「心理学的経営」についても、異なるアプローチで、似た概念に辿り着こうとしていると読んでいて感じました。
書き留めたところ② 生涯の課題
この部分、非常に興味深く読みました。
「自己理解」は、葛藤と苦悩の産物で、生涯における課題。
経営において、この課題と向き合うための組織風土の醸成がポイントだが、個人には様々な差異があるので、このポイントを実現させることは、とても難しいものになっている、
と理解しました。
昨今、世代間格差をはじめ、以前と比べて、多種多様な個人が存在しているように感じます。
企業における働く人びとの自己実現、そして豊かな人生の実現
これは人が組織で働くにあたっての永遠のテーマですね。
書き留めたところ③ カオスと自己破壊
環境が変化する中、
今の環境に適することで成功した企業は、
今の環境に過剰適応してしまい、
未来の変化への対応の忌避を生んでしまう。
これが自滅につながる。
だからこそ、組織の中で、カオスを演出する必要がある。
この箇所、非常に興味深い観点を頂きました。
リクルート社は、この自己破壊について、組織だけではなく、ビジネスについても実行されていると
「ハイパー起業ラジオ」
#3-6 Airレジでイノベーションのジレンマを突破!?イネーブラーとは?
で尾原さんが解説されています。
事業領域と組織領域を整合させ、一貫した価値観で動いている点において、素晴らしい企業だと思います。
この価値観は、私たちがよく耳にするリクルートの旧・社訓
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
にも通底している考え方です。
この1枚のスライドが凄まじい
この本について、前述した動画の中で、本の解説を安齋さんがされています。
CULTIBASE 2023.11.07「心理学的経営」のアップデートを探る:新生リクルートが掲げる新しいマネジメント論
この動画の中のスライドが、この本の本質的な部分を見事に、凄まじく分かりやすく表現されています。
このスライドを見ると、個人の自己実現と組織の活性化が、組織内の施策や組織内コミュニケーションによって、どのように連環するかが、イメージしやすくなります。
環境が常に変化する中で、個人と組織をどのように整合させ、個の自己実現を図るか、が動的に描かれています。
読後メモ:will-can-must
以前、リクルート出身の2代目経営者の方と話しをしている時、
という悩みを聞きました。
「やりたいこと」というのは、
誰もが初めから自分の中に持っているものではなく、
自己理解の先に、生まれるものだと思います。
そのため、
仕事における「やりたいこと」を創出するためには、
自身の職場において、
自身が主体的に仕事に参画することを経験し、
得られた経験に対して、
他者からのフィードバックを得ることで、
自己理解を深めていくこと
が求めれます。
こういった職場環境、組織風土を抜きにして、
従業員から「やりたいこと」を引き出そうとしても、
「出てこない」または「的外れな答え」となります。
この本を読んで気づいたことは、
変化する環境の中で、事業と組織と個人を整合させ続けること
これが経営そのものなのかもしれない、、、
ということでした。