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歯科医とは「自然公園の管理人」のようなもの

東京都品川区【戸越銀座デンタルケアークリニック】院長の大澤広晃です。
初めてnote記事を執筆いたします。


独立開業から18年目を迎えました

戸越銀座の地にクリニックを開業したのは17年前で、私が30歳のときです。
当時は医師や歯科医も、60歳定年という雰囲気でしたので、30年以上継続して患者さんを診ていきたいという想いで独立を決断しました。

開業直後は、いろいろと苦労もあったように思いますが、患者さんのおかげでここまで継続することができました。今では、開業当時に子どもだった方が社会人になり、ご家族が増えた方もおられます。

最近嬉しかったのは、小学生の頃から通っていただいている患者さんが、遠方の大学に進学したにも関わらず、夏休みを利用して今でも通ってくれていることです。
 
歯は、人が生活をするうえで、とても重要な役割を担っています。
「歯を守ることは、患者さんの人生を豊かにする」と日々診療を行ってまいりました。

歯科医とは「自然公園の管理人」のようなもの

歯科医とは「自然公園の管理人」のようなものだと考えています。
口の中は、年齢とともに歯が生えきて、そこには何億という菌がいて「口内環境」を形成しています。それはまるで草木が生い茂る「自然公園」のようなものです。
 
私は歯科医であり、口内環境(=自然公園)を維持する管理人です。
環境を維持するうえで、自然のままの生態系を守ることが重要ですが、歯や口腔環境も同様だと考えています。
 
たとえば年を重ねるにつれ、口内環境も変化していきます。
その環境変化に逆らうのではなく、寄り添うことを大事にしています。
 
口内環境(自然公園)を整えていくうえで「大改革」は必要ないのです。
年数が経てば、多少のトラブルは発生しますし、外見にも変化があります。
 
そんな時でも、私は「なるべく自然を残す=なるべく歯を残す」ということを大事にしたいと思っています。
それが私の、歯科医としての、自然公園の管理人としての矜持です。

利益が「患者さん = クリニック」になるよう心掛ける

もうひとつ歯科医として大切にしていることがあります。
それはクリニックだけが得をしないようにバランスをとることです。

保険診療は、患者さんへの金銭的な負担が少ないことから、選択肢としての優先度が高いです。しかし患者さんのニーズによっては「自由診療」も選択肢に加えることがあります。
 
自由診療というのは、一般的に保険診療よりも利益率が高いものです。
なので、経営的な目線だけで言えば自由診療を増やした方がいいのかも知れません。
 
しかし、「医療」においてはビジネスだけが優先されてはならないと考えています。
患者さんの健康をお守りすることも大事ですし、クリニックが長く存続して地域に貢献することも大事です。
必要なのは“バランス”だと思います。
 
自由診療が多くなったときは、医療機器への投資を増やしたり、診療時間を増やしたりして、常に利益を患者さんに還元できるようにしています。
そうすると利益が「患者さん = クリニック」となり、バランスがとれると思っています。

歯がキレイで虫歯がないのに「しみる」が増えている

近年、歯がキレイなのに「しみる」という方が増えています。勤務医時代から、そのような方が多くいることに疑問を持っていました。
 
歯ブラシが上手で口の中はいつもピカピカ、虫歯はありません。それなのに歯が「しみる」のです。そのような患者さんには「性格が真面目」という共通点もありました。
 
あるとき、虫歯がないのに歯がしみるのは“磨きすぎ”が原因のひとつではないかと気付きました。そうして観察してみると、真面目な性格の患者さんほど、一生懸命”ゴシゴシ”と歯みがきをされているのです。
 
そのため、歯や歯茎に細かい擦り傷ができてしまい、それが原因で歯がキレイで虫歯がないのに「しみる」ようになるのです。
 
もちろん知覚過敏には様々な原因があります。ただ、トリガーになっているのは「磨きすぎ」の可能性があります。

「知覚過敏」の痛みと「虫歯」の痛みは違う

知覚過敏の場合は「痛い」「しみる」と感じる範囲が広いのが特徴です。
「2、3本しみる」とか「右下がしみるから予約したけど、今は上の歯もしみる」という場合は、知覚過敏の可能性が高いです。
 
虫歯は「痛い」「しみる」と感じる範囲が、時間経過によってだんだん狭まってくるのが特徴です。
口の中がピンポイントに「痛い」「しみる」ときは虫歯の可能性が高いです。

歯科に相談すべきタイミング

歯がしみるけど、歯科に相談すべきなのか分からないという方が多くおられますのでポイントをまとめます。
 
まず、歯がしみる場合、むし歯だと思って、更にゴシゴシと強く磨いてはいけません。
 
たとえば、転んで擦り傷ができてしまったときは、触らないようにして回復を待ちますよね。
口内も同様に考えていただけたらと思います。
 
歯がしみると感じたとき、まずは「磨きすぎ」に注意してみましょう。

「力を入れ過ぎない!」
「歯磨き時間を少し短くする!」


を3日~1週間ほど試していただき、それでも改善されないようでしたら、一度歯科に相談されることをおすすめします。

「ハミガク」で歯みがきの楽しさを伝えたい

「ハミガク」は、昨年立ち上げたオリジナル歯ブラシブランドです。
ハミガキの「ハミ」に、学ぶという漢字から「ガク」をとって「ハミガク」です。

オリジナルブランド『ハミガク』ロゴ

コンセプトは「歯みがき時間をもっと楽しく!」です。
ドラッグストアの歯ブラシコーナーにいくと、たくさんの歯ブラシが並んでいます。基本的に形状は一緒で、毛の硬さや細さに違いがあります。
 
私は「歯ブラシにはもっとバリエーションがあっていい」と思っています。
 
そこで第一弾として開発したのが「光る歯ブラシ」です。
取り外しのできる歯ブラシの根元にスイッチがあり、一定以上の力がかかるとLEDが光って力の入りすぎを教えてくれます。似たような製品はいくつかありますが、光る歯ブラシの特徴としては使用者の「意識を変える」ことにあります。
 
この歯ブラシは毎日使用する必要はありません。
週に1回とか、月に1回使っていただくことで「自身の歯磨きが適正な力加減か」を知ることができ、意識もリマインドされて磨き過ぎを予防します。
 
ブラッシングの性能は大手メーカーが競い合っていますので、私としては「光る歯ブラシ」で生活者の意識を変えられたらと思っています。
 
また、患者さんの中には、お子さんの歯みがきに「光る歯ブラシ」を使用されている方もいます。理由は「歯ブラシがピカピカ光るのが楽しくて、子どもが歯ブラシを嫌がらなくなったから」ということです。

私としては、こんなに嬉しいことはありません。
 
私の頭の中には、光る歯ブラシのほかにも歯ブラシのアイディアが浮かんでいます。今後はこれらのアイディアを「ハミガク」の活動を通して形にしてまいります。
 
それが皆様の「歯みがき時間を楽しくするもの」であったらと、そう願っています。
ハミガクの活動は、今後もnote記事に掲載してまいります。
 
今後ともよろしくお願いします。

<おまけ4コマ漫画>

©戸越銀座デンタルケアークリニック


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