私とキムチとクリスマス
あけましておめでとうございます。
そしてお久しぶりのnoteです。
新年一発目に合わない内容となっておりますが、書きたくなってしまったので気の向くまま書きます。
それでは今年も宜しくお願いします。
クリスマスという聖なる日に、私はキムチ漬けワークショップへ参加した。
ずっと気になっていたキムチを生業にしている「ヤスダ屋さん」のワークショップ。
いつも気づいた頃にはすぐに満席になってしまう安田花織さんの人気なキムチ講座。やっとこさクリスマスの日にたまたま一枠空いていたところ参加出来たというわけだ。
失恋したてだった私。
クリスマスの日には予定なんぞ入らないと思い、それならキムチを存分に漬けてやろうじゃないかと。
ヤケクソでは決してないよ?
ただ空いていたのがクリスマスの日だったのよ。
白菜の緑と唐辛子の赤。
なんだかコントラストがクリスマスカラーでぴったりだ。うんうん。
1ヶ月前ぐらいに予約を完了して、準備万端。
今年の私のクリスマスはキムチに捧げる事にした。
ようやくキムチを漬けられるとルンルンしながら12月を過ごした。
それから12月中ばぐらいのこと、事態は急展開した。
最近とある男性と知り合い、まさかのクリスマスの日に会う事になった。
最初からクリスマスの日に会おうという予定を立てたわけではない。
平日休みが多い私と相手は土日休み。
たまたまワークショップの為に空けていたクリスマスがちょうど2人の休みが被る日だったのだ。
しかし私は最初会おうか躊躇した。
だって、キムチを漬けた後。
キムチの匂いが付いたままクリスマスデート(?)だなんて。
きっとそんな女性は前代未聞だろう。
そしてまだ知り合っても間もないのにキムチの匂いを漂わせるなんて。
私にも流石に恥じらいはある。
キムチを漬けるということはキムチをもちろん食べるだろう。
そしたら私の口は、キムチ臭くなるかもしれないじゃないか…!
もちろんお話しするしご飯を食べることになる。
少なからず匂ってしまうだろう…
まだ恋愛になるかならないかの段階。
まだお互いを知る段階。
そんな中クリスマスの日にキムチ臭い女が現れたら相手はどう思うだろうか。
私は悩んだ。
しかし年内会えるとしたらその日だったので、私は決意し相手にちゃんとその事を伝えた上で承諾を貰うことにした。
「クリスマスの日なんだけど、キムチ漬けワークショップの予定あってキムチ漬けた後に会う感じなんだけど大丈夫?」と。
彼は「えっキムチ漬けるの!?」ともちろん驚きの反応。
だけど笑いながら「全然、僕は大丈夫だよ。」と言ってくれた。
私は続けて「キムチ臭いかもしれないけどいいの?」と念を押した。
だけど彼は「キムチ大好きだから問題ないよ笑」なんて言ってくれた。
寛大な人でよかった。キムチ好きでよかった。
そんなこんなで、キムチが引き寄せたのかなんなのか、私達はキムチを漬けた後に会うことになった。
そして、クリスマス当日。
そういえばキムチをつけるからそんなおしゃれした格好出来ないやと、服装のことを考えてなかった私。
悩んだ末いつも通り私の普段着の落ち着いた服にした。
悩むのがめんどくさくなったのもあり、ズボラな私はまぁいっかとなった。
それよりもキムチ漬けワークショップだルンルン♪
と開催場所の西荻窪のお店へと向かった。
参加者は皆さん女性。クリスマスの日にキムチを漬ける仲間がこんなにもいるんだとこの時安心した。
そしてキムチ漬けがスタート。
本場韓国仕込みのヤスダ屋さんのキムチ。
唐辛子やニンニク、生姜をふんだんに使ったキムチの素。
わーこれはコクが出て美味しいキムチになるだろうな〜と思った反面。
キムチの匂いが増してしまうのではと少し心配もした。
だけどこんな本格的なキムチを食べられて、しかも作れるなんて最高!
講師の安田さんは先日行ってきたばかりの韓国でのお話や韓国文化・キムチ文化をたくさん話してくれて、キムチの奥深さに私は興味津々。
(キムチ作りのポイントや文化についてはまた別の機会に書こうかな。)
そしてキムチ作りが開始。
キムチの素である真っ赤な薬念(ヤンニョム)を作り始めるといろんな工程で味見をしていく。
自分好みの味にするため魚醤や蜂蜜を混ぜ、私はお酒にも合うように魚醤多めにした。
そして薬念を白菜に一枚一枚塗り塗り。
最終的にギュッと丸めてキャベツのような形に。
これでキムチは完成!
みんながまんまるキムチを作っている景色はとても可愛らしかった。
そして、お待ちかねのランチタイム。
安田さんが韓国ランチプレートを作ってくれた。
ポッサム、青菜ご飯、大根キムチ、韓国納豆が入ったお味噌汁。
最高にどれも美味しかった。
初めての韓国納豆も味わえて大満足。お腹も大満足。
その後は振り返りとお片づけをしてキムチ漬けワークショップは終わった。
時間を見ると終了予定より30分くらい時間が押していた。
一旦家に帰ってキムチを置いてこようかと考えていたけど、時間がないな…
「しょうがない。このまま漬けたてキムチを持ってデートに行くしかない…」
そういうことで私はキムチを持参し、お腹パンパンのまま待ち合わせの吉祥寺へと向かった。
お腹いっぱいでキムチ臭い女とクリスマスデート。
これから合う相手の事を思うと少し可哀想に思った。
だけども、それが事実。
そんな事を考えながら駅前で待ち合わせ。
笑顔で彼はやってきた。
心配だった私は真っ先に「キムチ臭くない?」と聞いた。
すると彼は「匂いはしないかな〜」
とりあえず一安心。
彼は初めての吉祥寺らしく、公園や街を案内しながらぷらぷらとお散歩した。
そして、クリスマスだからケーキは食べようとなりカフェに入ることに。
席は向かい合わせだったが、ありがたい事にテーブルが大きいので少し距離がある。
「よかった、少しはキムチ臭を回避できる」と少し安心。
ドリンクとケーキを待ってる間、せっかくだから作ったキムチをちょっと見せようかなとキムチを入れていたバッグを開ける。
すると、
一瞬にしてキムチの匂いがぷんぷんと…!
さすがに彼も「凄いキムチの匂い!」
私もこんなに匂うのか!と一瞬だけちらっとキムチを見せてすぐさま閉まった。
カフェで開けるもんじゃない。
しかもお隣にはカップルもいて、匂っちゃったかもしれないなと…
恥ずかしい思いをしたが、美味しいケーキを食べて心を落ち着かせ夜はハモニカ横丁で居酒屋飲みをすることに。
カウンター席に座り、一緒にご飯をつまみながらたくさんお話しをして楽しんだ。
最後にはクリスマスプレゼント交換もしてなんやかんやクリスマスデートはキムチの支障も特になく楽しく過ごすことができた。
しかし、後日談で彼から言われた。
「最初は匂わなかったけど、一緒にいた時にそういえばたまにあ、これキムチの匂いかもって思ったのは何回かあったな〜。」と。
「えっ恥ずかしいぃぃぃ!!」
それを知らないまま私はクリスマスデートをしていたのか。
後半は安心していたがやはり匂っていたのか。
だけどこうやってまた彼は会ってくれるので、そんなに悪いクリスマスではなかったみたい。
その時言って欲しかったなとも思ったけど言わなかったのは彼なりの優しさという事にしておく。
そんな記憶に残る2022年のクリスマスであった。