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失われた背中の柔軟性と骨盤の安定性を取り戻せ!~股関節症状に効果的な運動4選~
先日、こちらの記事を投稿しました。
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現在、私はアスレティックトレーナーとして医療機関に勤め、リハビリテーションの一環として患者に運動を指導しています。理学療法士と連携し段階的にリハビリテーションを考えるうえで、股関節の症状を改善させるために必要だと感じる身体の機能があります。
身体的な機能を改善し、股関節への負担を少なくするためにはどのような運動を行なえば良いのでしょうか。
股関節を専門で診られている医者から聞いた医学的知見などを踏まえて、現時点で私が効果的だと感じる運動やエクササイズを紹介します。
(※今回紹介する運動はあくまで個人的な見解です。)
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現在の身体の状況を確認しましょう
まずは現在の身体の状態を確認しましょう。
確認する項目は、股関節と背中の柔軟性です。
以下の動作が問題なくできるでしょうか?
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<身体の前屈チェック>
こちらは主に身体の後ろにある筋群、特にもも裏(ハムストリングス)や背中の柔軟性を簡単に確認できるテストです。
つま先を持ったまま膝を最後まで伸ばすことができれば、大丈夫です。

<身体の回旋チェック>
こちらは背中や肩甲骨周りにある筋肉の柔軟性を確認するテストです。
膝を横に倒したときに、背中の筋肉に引っ張られて腰が反ったり、肩甲骨が床から離れたりしないかどうかを確認してください。
背中の筋肉を柔軟に保つことが股関節の動きを引き出すために必要です。
いつもより早い段階でストレッチを感じたり、腰が浮いてきたりするときは背中の筋肉が硬くなっていることが多いので、注意が必要です。
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運動のポイントは「背中の柔軟性」と「骨盤の安定化」
股関節を専門に診られている医者から以前、股関節症状におけるリハビリテーションの方向性をお聞きすることができました。
重要なポイントは、背中(胸郭)の柔軟性を改善すること、そして股関節(特に腸腰筋や閉鎖筋群)の出力を高めることでした。
前回の記事でも触れましたが、股関節には「腰椎骨盤リズム」という重要な機能があります。骨盤と腰椎の協調的な動きが出るように、背中を柔軟に保ち、骨盤を安定させることが重要です。
それぞれの運動の目的やポイントを理解しながら、ひとつひとつの運動を丁寧に行ないましょう。
(※運動中に痛みが出たり、症状が強くなったりする場合は決して無理をしないようにしてください。)
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<背中のストレッチ>
肩甲骨の下(脇の下あたり)に丸めたタオル、もしくはリスタイルポールを入れて行ないます。肩甲骨の下にそれらを入れてストレッチを行なうことで、ただ単に背中のストレッチをするだけでなく、背骨(胸椎)の動きを改善することができます。
膝を横に倒したときに、腰やみぞおちのあたりが浮かないように意識して行ないましょう。上手くできると臀部~腰または背中のストレッチを感じることができます。
※リスタイルポール
https://kinetic-act.com/restyle-pole/
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<ツイスト腹筋>
身体の前面にある腹筋のなかでも特に腹斜筋群を活性化することで、背中や肩甲骨の動きを高めることができます。また脚を組む股関節や下腹部にも刺激が入ることを感じながら行ないましょう。
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<バックエクステンション>
こちらの運動は身体の後ろにある筋肉を活性化することができます。骨盤を安定させる筋群で股関節のリハビリテーションにおいて非常に重要な運動となります。
ポイントは腹圧をしっかり高め、身体の中心軸を保つことです。
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<ペルビックティルト(骨盤の運動)>
座った状態で骨盤を丸めたり、立てたりする運動です。骨盤~背骨に付く多裂筋(たれつきん)という筋肉を活性化し、骨盤の動きを引き出します。
ポイントは坐骨にタオルを敷き、骨盤を安定させた状態でエクササイズを行なうことです。仙骨やお尻の付け根を意識して、骨盤の動きを感じながら行ないましょう。
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終わりに
今回は股関節症状に効果的な運動を4つ紹介しました。
意外だったかもしれませんが、お尻の筋肉に直接的に働きかけるエクササイズは1つもありませんでした。どれも背中の柔軟性や骨盤を安定させることを目的に行なうエクササイズです。
コロナ禍で在宅勤務の増加が関係しているのかもしれませんが、腰や股関節の痛みを訴える方が多くなったように感じます。共通しているのは背中の柔軟性がかなり失われ、そして身体の後面にあり骨盤を安定させる筋群を上手く使えないということです。
能動的な運動で身体の機能を整え、より良い毎日を過ごすためのヒントになってくれれば、嬉しく思います。