おぶ

心に残ったこと書いておこう、一応。

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最近の記事

実体なき、予感の連続

映画『chime』の感想(ネタバレあり) 当日に思い立って見に行こうとしても満席で見られないなんてこと、ほとんどないが、どうしたことか、この映画は連日満席のようで、少し前もってチケットを取って見てきた。 「40分間」という映画の短さ。手軽に見れる時間設定だから人気なのかな?と、はじめは思ったが、そんなことではない。内容的に40分が適切、いや限界なのだ。 何が怖いか。それは、怖さの実体が把握しきれないことだ。 映画のタイトルからも分かるように、実体は音である。音であるが故

    • 変わったことの証明

      映画『あんのこと』を見た感想。(ネタバレあり) 強烈な物語だった。 見ているこちらも彼女の物語に飲み込まれてしまうようだった。 暗い寝室で、慣れた手つきで注射を打ち込む。明るいリビングへ出てきて日記を見て、息を荒げる。落ち着かない手元。キッチンへ向かい、日記を燃やしてすぐに水をかける。そして思い立ったように、迷いなく、輝くバルコニーから消えてゆく。薬を打つ→日記を見る/燃やす→飛び降りるまでのカットが忘れられない。 やってしまった故の狼狽と、飛び降りる衝動。 迷い/迷い

      • 見えないものへの恐怖

        きっと人が入っている。 不穏な雰囲気のフライヤーが、ずっと気に掛かっていた。もう終わってしまったと思っていたが、K2シネマで上映することを知り、観に行ってきた。 (以下ネタバレあり) 徹底した復讐劇だった。 娘たちが拐われたように、同じやり方で男たちを拐う。必ずしもその方法が合理的でなくて、無理があるようにも思えたりする場面もあった。 監禁場所として使用された、倉庫のような空間が印象的だった。 ドアに正対してカメラを設置して、登場人物が画面に入り込んできて、ドアから抜けて

        • 幾何学を負かす

          上司が「ロスコがいい」といっていたので、 前から気になっていたDIC川村美術館へ、夏の連休を使って行ってきた。 以下、印象に残った作品と、簡単な感想を記録しておこうと思う。 脱力した格好で、こちらを見ている。 最初に対峙したときは、少しドキッとした。白い背景の絵画というのが、意外と、初めて観た感じがする。展示室の壁面と、背景の白と、女性の白い肌が、同化している。対比的に、黒い髪と黒い瞳が浮き上がる。 視線は、何かを見つめているような強いものではなくて、かといって、優しい眼差

        実体なき、予感の連続

          勉強の仕方

          気がつけば、今年で3回目になっていた。 入社をしてから、毎年、年一回の資格試験を受けている。 1、2年目はどうも、受けさせられているという感じが強かった。 それを放棄する度胸はなく、だから反発というか、せめて自分のやり方で取ってやろうと、やってきたのだが、今年も落ちてしまった。 今年は、受けさせられているという感覚はなく、受かるための試行錯誤ができたんじゃないかなと思っている。やり方に関して、いくつか反省があったので、備忘録として文章を残しておこうと思う。 デジタルとア

          勉強の仕方

          視線の違和感

          映画『赦し』を観て。 いじめの事実をなぜ話してこなかったのか。 観終わったあと、色々と妄想を膨らませてしまった。 まず考えられるのは、殺してしまった子(恵未)、そして彼女の両親を守るためだろう。それが彼女なりの償いで、背負っていこうと決めたのだと解釈できる。 だけど、それだけだろうか。 事実を供述する直前に克(被害者の父)に向けた視線。謝罪と敵意が入り混じったような視線だった。あのシーンによって、他の理由も考えざるを得なくなる。夏奈の恵未への憎しみは獄中でも継続していた

          視線の違和感

          輝き

          華やかさのイメージは、それと矛盾しているはずなのに、暗さや汚さ、残酷さがよく合う。その基礎の上だからこそ成立するが、その基礎のせいで不安定でもある。 ストリップ劇場通いが止まらない知人が勧めてくれて、先月劇場に足を運んだ。華やかな世界が広がっていた。かなり刺さったので感想を残しておきたい。 劇場には演者/観客の間に、エロを供給/需要の構図があって、双方の間に高い壁を感じた。(実際にそれぞれのお客さんが何を求めているかは別で、あくまで構図として。)これは一般的な音楽ライブに