見出し画像

輝き

華やかさのイメージは、それと矛盾しているはずなのに、暗さや汚さ、残酷さがよく合う。その基礎の上だからこそ成立するが、その基礎のせいで不安定でもある。

ストリップ劇場通いが止まらない知人が勧めてくれて、先月劇場に足を運んだ。華やかな世界が広がっていた。かなり刺さったので感想を残しておきたい。

劇場には演者/観客の間に、エロを供給/需要の構図があって、双方の間に高い壁を感じた。(実際にそれぞれのお客さんが何を求めているかは別で、あくまで構図として。)これは一般的な音楽ライブには見られない。

序盤の衣をまとった踊りは前戯的だ。観客にとっては仮に踊りが多少稚拙であっても価値がある。演者は題目の世界観をダイナミックに演じる。供給/需要側の、それぞれの構築するストーリーがズレている。

脱衣する瞬間が訪れ、ズレが一致したように見える。
ポージングが中心で、静的な時間が流れる。対照的に観客のボルテージは上がる。静止することで強調される肌の陰影は美しく、局部はグロテスクだ。手首が伸び、体が反ったようなキツイ姿勢。美しさ、生々しさ、緊張感が、奇跡のように思える。

新しい世界を見たいという気持ちで劇場に足を運んだが、観ていくうちに、エロを需要している自分に気がつく。自分の需要に自覚的になったことで、そこで受け取ったものに在る「はみ出した部分」が顕在化する。それは未知の世界で、輝いていた。知人の言っていた、芸術的とはこのことか。

一致したように見えた劇場内の供給/需要に残るズレに気がついた。(演出的には一致させようとしている)それは、演者の生命の輝きだと思った。同時に、それは演者が観客側に吸収され切らないための反抗にもみえた。演者/観客のあいだの高い壁は残酷な感じがした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?