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見えないものへの恐怖

きっと人が入っている。
不穏な雰囲気のフライヤーが、ずっと気に掛かっていた。もう終わってしまったと思っていたが、K2シネマで上映することを知り、観に行ってきた。
以下ネタバレあり

徹底した復讐劇だった。
娘たちが拐われたように、同じやり方で男たちを拐う。必ずしもその方法が合理的でなくて、無理があるようにも思えたりする場面もあった。

表情が歪みが印象的だった場面
(出典:https://eigahebinomichi.jp/)

監禁場所として使用された、倉庫のような空間が印象的だった。
ドアに正対してカメラを設置して、登場人物が画面に入り込んできて、ドアから抜けて行く。登場人物と並走して部屋を行き来する。気のせいかもしれないが、ヨリのカットよりも、俯瞰した視点場のカットが多かったような気がする。
それによって、手錠が設置された壁を起点に、頭の中で間取りを思い浮かべられるようになっていた。

サヨコが2人目を監禁するための準備で、火花を立てながら手錠を工事する。
その足元で、1人目の容疑者ラヴァルは、床にぶちまけられた食事をなんとか食べようと、手足を鎖で繋がれた体をくねらせている。
アルベールは気を紛らわすためか、そこから数メートル背後の薄暗いところで、壁に何度も射撃をしている。
その前の自然な流れの末に、気がつくと、左、下、右側に向かって、3人が各々全く違った行為をして、カオスな状況になっている。
監禁場所が立体的に利用された、映画の中で1番かっこいいなと思ったシーンだった。

舞台のような、監禁場所
(出典: https://eigahebinomichi.jp)

直接的で、刺激的な描写はほとんどなかった。
それよりも「隠されている」ことで怖さが膨れていくことが多かった。

最後のシーン、宗一郎のゆっくりと表情が変わっていく表情が最も怖かった。リモート特有の、画面の解像度の荒さが、本当の表情を隠してしまう。ゆっくりと、恐ろしい表情になっているように、私自身が見てしまっているのだろう。

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