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【DAY.23】新潟発着!2ヶ月で、公務員がバイクで全国周る旅日記

この記事、連載は...
民間から中途で新潟県庁に入った公務員が、4年で退職するその前に、有休消化で全国をバイクで回る、という、ノープランな企画です。予約なし、フィーリングファースト。

5:00、高知県 室戸岬近くの道の駅にて起床。
野宿の朝は早い。

太平洋からのご来光でも見ようかと思ったが、残念ながら少し方向が悪かったようだ。
ま、これからは太平洋側を走るわけだから、またチャンスはあるだろう。

朝焼けの中散歩していると、イルカのプールがあった。

まさかイルカの横で寝ていたとは思わなかった。
これもある意味出会いかもしれない。

6:00出発。

昨日は暗すぎて何も見えなかった室戸岬へ。
立派なお寺があり、この時間からお遍路さんが何人もいた。

こちらは灯台。

こちらは薩長同盟のキーマン、中岡慎太郎像。

朝焼け。

ネコが2匹並んでいた。おはよう。

てな感じで、あまり見るものもないので、朝食を求めてしばし走る。
が、この辺りにはコンビニはおろか、民家もあまりない。

少し走ると、レトロな喫茶店があったので、モーニングを注文。

働いていると、喫茶店でモーニングを食べるなんて、どんな贅沢なやつなんだと思っていたが、呉でも常連さんがいたし、ここもけっこうお客さんが入っていた。

手前は地元の常連さん、奥は海外からのお遍路さん。
意外にコミュニケーションは取れていて、「モーニング」という完全なる和製英語を知っているのに驚いた。

ダンディなマスターに、ダメ元で
「Wi-Fiってあります?」
と聞いたら、??な顔をされ、常連さんにも、
「インターネットみたいなのって…」
と聞くが、
「この辺でそういうのはきいたことがないのう」
とのこと。冗談か本気かは分からないが…。

ま、これは無い物ねだりというものだろう。

その後、しばらく走ると道の駅に温泉が併設されていて、しかも30周年記念で、600円の入場料が300円になっていた。
幸いにしてWi-Fiも使えたので、野宿の疲れを癒しつつ、日記も無事更新。

さらにしばらく走ると、海岸沿いに車がずらっと駐まっていて、なんだろうと降りてみると、数えきれないほどのサーファーが。

こんなところにどうして、と思うくらいめっちゃいた。
ここはサーファーには有名なスポットらしく、さらに今日は日曜日。
曜日感覚がなくなっている。

8:15、徳島県入国。
高知は名残惜しかったが、2泊もしたし、十分だろう。

さて、このまま海沿いを走り続けていてもいいかなとも思ったのだが、知人から、ぜひ私の故郷に立ち寄ってほしいというオーダーをもらっていたので、途中で山の方に入っていく。

ちなみに、その知人は大学生の女の子で、私が主催した、公務員向けマインドアッププログラム、OMO Niigata Vol.2に参加してもらったというご縁だ。
自分のイベントを通じてできたご縁が、こうして旅でつながる、おもしろいじゃないか。

四万十に負けない秘境感。
ただし、道はわりとよく、走りやすい。

びっくりしたのが、徳島県に入ってから、たまたまなのか、すれ違うライダーたちが手を挙げて挨拶してくれるようになった。
一人は諸手を挙げてくれ、歓迎されているように感じた。

そして、12:00、那賀町、旧相生町に到着。
ここもやはり鯉のぼりが川にかかっている。

ランチでおすすめされていたあめご天丼をいただく。
サクサクで美味しかったが、若干小骨が気になった。刺身も食べてみたい。

で、知人の実家、まるい旅館さんを訪ねる。
ここは結婚式場にもなるほどの立派な旅館。

知人のご両親は不在だったが、おばあちゃんがいて、こんな見ず知らずの怪しいやつを温かく迎えてくれた。
ちなみに、お若いので叔母さんかなと思ったのだが、大学生と比べると私が若くないだけか、と後に得心する。

コーヒーをご馳走になりながら、旅の話、阿波おどりの話、人口減少の話など、短いながらもとてもほっこりする時間を過ごせてもらった。

このあたりも、お盆になると大勢集まってみんなで阿波踊りを踊っているそうだが、今はその数もすっかり減ってしまったそうだ。

最後は、お土産まで持たせてもらった。

あめご丼を食べていたので、これは夜のおつまみにしよう。
皆様、ぜひ、風光明媚な那賀町にお泊まりの際はまるい旅館をよろしくお願いします!

で、先ほどおばあちゃんと地図を見ながらこのあたりのことを聞いていて、サテライトオフィスの先進地、神山町がわりと近いことに気づき、急遽そこにも立ち寄ることに決めた。

早めに目的地を決めてしまえば安心はするのだろうが、そこからは、そこにたどりついて、確認するだけの作業になってしまう。
こうやって、その場のノリで決める方が、旅らしくていいじゃないか。

山道を走る。
途中、再度鯉のぼりを発見。いろんなパターンがあるもんだ。

15:00、神山町到着。
事前情報がないので、とりあえず役場を見てみたが、街中も含め、それらしい雰囲気はない。

Googleマップで調べると、中心部からは少し離れたところにあるようだ。

5分ほどで到着。

全然違う雰囲気の建物がポコっとあった。
というか、まず、大型観光バスが停まっている。

なんじゃこりゃ、と思い、中を覗いてみると…明らかに海外の方がたくさんいる。
バスの運転手さんに聞いてもいまいち分からない。
そりゃそうだ、彼らは神戸情報大学院大学の生徒だそうで、ここ神山町にワークショップをしに訪れているとのこと。

中の方に話しかけると、この運営をされているNPOグリーンバレーの事務局長、竹内さんを紹介いただいた。

中は、山を越えてたどり着いたとは思えないモダンな空間。

この錚々たる会社が、全てこの神山町にサテライトオフィスを借りているそうだ。
言っちゃ悪いが、けっこうな山奥だ。
コンビニも街の中にはなく、地元のスーパーがあるくらい。
私も役所で企業誘致を2年だけやっていたが、これは、マジで凄い。

もちろん全ての企業がフルで使っている訳ではないようだが、下記の写真のように、パンフレットなどを設置できるようだ。

驚くのが、この施設を年間2,500人もの方が視察に来るそうだ。
それも、ここまで視察に来るということは、ただの2,500人じゃない。
地域活性化やIT、サテライトオフィス、移住などに興味がある、感度の高い方々だろう。

ターゲットにもよるが、マスで自社宣伝広告打つよりも、ここにオフィスを構えたことによるPRの方が、費用対効果ははるかに高いのではないか。

更に、中には愛媛県庁のサテライトオフィスもあり、地方創生推進課の職員が常駐しているそうだ。

それも必要かもしれないが、うちの担当はサテライトオフィスというものを再度勉強した方がよいのではないか?

というか、いくらなんでも内向き過ぎるだろ...。

この日は神戸情報大学院大学の生徒たちがワークショップをしに来ていた。

竹内さんがそこで講義をしているご縁だそうだ。

これは、この施設の備品である3Dプリンタの使い方を教えてもらっていたようだ。

国際色豊かなメンバーだが、それがこのオフィスにはよくマッチする。

また、徳島大学もサテライトオフィスを構えており、阿波銀行も、神山町に支店を構える代わりにこちらにオフィスを設けているそうだ。

産官学金連携のモデルケースではないか。

と、施設の概要を竹内さんから丁寧に教えてもらう。
元々はITエンジニアをやっていらっしゃったという竹内さんは、神山町生まれというわけではないそうで、阿波市の生まれで、ご家庭の事情もあり、徳島県に戻る道を探していたところ、この仕事と出会ったとのことで。

神山町は、昭和30年には20,000人を超える人口がいたそうだが、今は5,300人弱。
かつて、林業で潤ったこの町は、利益を求め、元々あった田畑の代わりに、杉を植えた。
しかし、木材のバブルは弾け、育っていく杉の木は金銭的な価値を失い、一度手放した農業にも戻れず、人は外に出ていく一方だったそうだ。

しかし…。
ここからは、大南さんという地元のキーマンがいらっしゃって、その方を中心に色々と町が変わっていったようだ。
このあたりの経緯までは聞けていないというか、普通視察に来るのならそれくらい調べていて当たり前のことかもしれない。

しかし、今回の目的はあくまで旅である。

改めて、視察の機会を作りたいところだ。

で、隣に併設されている宿泊施設、「WEEK 神山」も少し覗かせてもらう。

宿泊棟は、川沿いの最高のロケーションに、木をふんだんに使って建てられており、都会のオフィスに疲れた人が、ひととき緑に触れながら仕事をする、みたいなシチュエーションを想像するだけでワクワクする。

隣の棟はダイニングスペースがあり、美味しそうな匂いが漂っていた。

泊まれる魅力的な場所があるだけで、人はそこに訪れる。

その情報も、自分たちで発信できるプラットフォームがある。

地域での仕事について、場づくりについて、改めて考えさせられた時間だった。

このまちに泊まる選択肢もあり、少し迷ったが、私の旅の数少ない決まりは、

迷ったら先へ進め

だ。

徳島まではすぐ着いてしまうので、もう一つ峠を越えてみることにした。

正直、バイクのチェーンからは異音が響いており、見た目からも相当伸びているのが分かる。

が、備品の手配などで、今のところこれをすぐに解消する手段はなく、不安を抱えながらの峠越えだ。

道は四万十のような山道、途中、大きなアナグマに遭遇した。

四国の山は深い。

こんな山奥でチェーンがトラブったら...とは思うが、前に進む以外の選択肢は私にはなかった。

幸いトラブルなく峠を越え、17:00、吉野川市に到着。

徳島県を横断するように流れる吉野川沿いは平野が広がっており、その一つの町だ。

平野部に戻り、見慣れたチェーン店の看板を見ると、なんだかホッとするようなところもある。

暗くなるまではまだ時間がある。

徳島市内のゲストハウスにでも泊まるか、と走っていたら、唐突に「宿」の文字を発見。

しかもゲストハウスと書いてある。
これは、出会いだと思い、入ってみると1泊2,900円。
3,000円以下なら全然あり、ということで、ここに泊まることに。

広めの道路に面した立地で、ゲストハウスがあるような感じの場所ではなく、建物もモダンで、空港ラウンジのような雰囲気。

受付のお姉さんも、OLのような感じで、いわゆるゲストハウスとは少し雰囲気が違った。

奥から出てきたオーナーさんから話を聞いて納得、ここは元々携帯ショップで、それを20年ほどやられていたとのこと。

この宿の立地は、お遍路さんのニーズがあるようで、ゲストが全員外国人という日もあるようだ。

それを、友人の一級建築士にリノベーションしてもらったそうだ。
たしかに、建築好きの友人が見たら興味持ちそうなこだわった作り。

ドミトリーのベッドにもこだわりが見られる。

道路を挟んだ向かいにミニストップがあるのが助かるが、地元密着型の居酒屋は近くにないので、徳島ラーメンを食べにいく。

生卵のイメージがあったが、ここはゆで卵だった。いろいろなパターンがあるのだろう。

その後は、ロビーで諸々アウトプットを進める。
神山町での衝撃を、自分なりに飲み込んで、何らか形にしておきたい。

と、ここでお土産をもらっていたことを思い出し、もう一人のゲストの方とシェアしつつおつまみに。

この女性は、広島から来ていて、私と同じく会社を辞めてお遍路に出たそうだ。

昨年、お父様を亡くされたことがきっかけの一つだったそうで、思えば私も昨年母が他界したことがきっかけの一つになっているのは間違いない。

お遍路は歩きなので、彼女は早めに自室に戻ったが、私は一人寿司をつまみなが、人が旅に出る理由、地方に今必要なこと、それを阻むものなど、色々と考えた。

バイクの状態もあり、緊張しながらの走行が負担になっていたのか、精神的にもあまりいい状態ではなかった。

山と谷があるのが旅のいいところ。
先に進めば、また何かが起こる。

明日は何に出会えるのか。
旅は続く。

#今日の走行距離 165km
#総走行距離 3,913km

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