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【DAY.49】新潟発着!2ヶ月で、公務員がバイクで全国周る旅日記
この記事、連載は...
民間から中途で新潟県庁に入った公務員が、4年で退職するその前に、有休消化で全国をバイクで回る、という、ノープランな企画です。予約なし、フィーリングファースト。
7:30、北海道 札幌市の知人宅にて起床。
遅くまで飲んだ割には早く起きられた。
ちなみに、知人は札幌市内で、北海道のゲストハウスの先駆け的存在となった宿を経営している。
素敵な宿なので、札幌に泊まる際はぜひ候補に入れて欲しい。
家庭的な朝ごはんをご馳走になったが、味噌汁にホタテが入っていたのに驚いた。
さすがは北海道。
9:30出発。
日記が書けていなかったので、マックでコーヒーでも飲みながら更新しようと思ったが...入ってからWi-Fiがないことが判明。
まあ、久々に文明の香りに触れられたのでよしとしよう。
向かった先は、夕張市。
言わずと知れた、財政破綻都市だ。
公務員である今だからこそ、どうなっているのかをこの目で見ておきたい。
そんな気持ちだった。
11:00、夕張市の看板が。
この時点では、特に違和感はない。
市街地に向かって少し走ると、どうも陸橋が妙にボロいような気がする。
夕張市役所到着。
うーむ...人がいない。
役所メシの経験上、どこの町でも市役所の周りにはそれなりに人がいたものだが、夕張は本当にいない。
市役所も明かりが全然ついておらず、庁舎内の階段も、さながらお化け屋敷のごとき雰囲気を醸し出している。
庁舎内も、人のいる気配を感じない。
いや、ちゃんと職員はいるのだが...。
隣の建物は、窓ガラスが割れたまま放置されていた。
このトイレ、駐車場にポツンとあったんだけど、さすがに使えないよねこれ...。
市役所の周辺を歩いてみた。
公園もこの荒廃っぷり。
図書館も酷い状態だった。
町の知の拠点であるはずの図書館が、これか...。
正直、背筋が凍った。
13年でこうまでなるものか?
それとも、その前からなのか?
当たり前の話だが、税金がなければ公共施設やインフラは成り立たない。
人ごとではない。
隣には、観光の拠点だったっぽい建物が。
映画で町おこしをしていた時期があるようで、いたるところに映画のビジュアルが。
暗い話題ばかりしてしまったが、希望の持てる話も。
このフラッグは、旭川からのものっぽい。
また、現在の夕張市は教育に力を入れており、夕張高校は市として絶対に無くさない、という方針のようだ。
また、夕張学舎 キセキノという、人材育成に焦点を当てた塾が、昨年4月に開校されたらしい。
財政破綻を経て、人材育成が何よりも重要なことに気づいたということかと思う。
ちなみに、夕張市は炭鉱で栄えた町。
その跡地が博物館になっているとの情報なのだが...
希望の丘...うーむ。
だだっ広い駐車場、手入れされてるようには見えないのだが...。
今日は閉館らしい。
リニューアルって、誤情報?
そして、町の中でこんな看板を見つけた。
大企業誘致...。
まあ、たしかにそれができれば手っ取り早く雇用も生まれるし税収も増えるだろうが...。
夕張に新たに拠点を作る、という行為が、今の状況とイメージだけを考えると、企業にとってプラスイメージになるとはあまり思えないのだが、うまくいってるのだろうか?
で、もう一つ、スキー場がリニューアルされたようで、バブリーなホテルの横に、真新しい日本初出店の重慶火鍋の店ができるようだ。
かなりのお金がかかっていそうな外観で、中国人が好みそう。
たしかに、インバウンド、それも中国人ターゲットというのは、短期的には金は稼げそうだ。
たぶん、役所の担当者も頑張ったのだろう。
しかし、これはなかなかの投資。
リターンが継続的に続けば良いのだが、行政主導のインバウンド政策はハコモノ作りが主体で金がかかる。
もし震災などがあってインバウンド需要が一気に冷え込んだ時、どうするのかな、とはちょっと思った。
まあ、そんなこと言ってたら何もできないのもわかるのだが、中国人がこの町に大挙して押し寄せた時、どうなるのかな、とも。
ちなみに、ところどころカラフルなのは、落書きというか、よくいえばストリートアートの名残りっぽい。
こっちを活かす手はなかったのかな、とも思ったが、うまくやるには相当なセンスが必要かもしれない。
よそものとしては、成り行きを見守りたいところだ。
で、夕張市を後にし、南へ。
札幌の知人からおすすめされていたゲストハウスを目指す。
苫小牧から近い二風谷(ニブタニ)という地域は、現在の北海道でもっともアイヌの割合が高いそうだ。
16:00、その二風谷のゲストハウスに到着。
すぐ横にはアイヌの伝統的な住居も。
で、宿のすぐそばに、アイヌの資料館があったのでのぞいてみた。
独特の模様がかっこいい。
アイヌといえば、勝手に狩猟・採集のイメージを持っていたが、農耕もやっていたというのは知らなかった。
やはり、模様が美しい。
モチーフなどはあるのだろうか。
こちらの資料館は、日本初の国会議員、萱野茂さんが創設されたそうで、国会で初めてアイヌ語で質問をした方だそうだ。
この美的センスは、縄文土器に通じるものがありそう。
版画。
クマがなんとも言えないリアリティがあって、アイヌがクマに抱く特別な感情を想起させるものがあった。
館内にはアイヌの叙事詩、ユーカラ(ユカラ)の音声が収録されているCDもあった。
ほんの少し覗いただけだが、日本文化とは明らかに一線を画す豊かな文化が国内に現役で存在する、ということを意識したことがなかったのが恥ずかしく思えた。
アイヌ料理も気になったが、残念ながら開いていなかった。
続いて、道路の反対側にある二風谷アイヌ文化博物館へ。
ここにも、アイヌの伝統的な住居、チセがあり、中を見ることができる。
時間がもう少し早ければ、伝統工芸の織物などをやっている様子が見られるようだ。
自販機にもアイヌの文様が。
意表を突かれたが、これはかっこいい。
博物館の裏にある二風谷ダム建設を巡っては、国とアイヌとの間でさまざまないさかいがあったようだ。
Wikipediaにもあらましが掲載されているが、前述の萱野茂氏は、アイヌの土地を不当に収容したということで、行政訴訟を起こし、認められはしなかったものの、アイヌという民族が現存しているということ、不当な差別を受けていることを世の中に知らしめ、法改正の機運を高めるきっかけとなったようだ。
時間のある時に詳しく調べてみたい。
こちらは文化博物館の本館。
残念ながら開館時間は終わっていたので外観だけ。
建築には普段あまり興味がわかないのだが、この建物はなんかグッとくるものがあった。
これは高床式の貯蔵庫らしい。
で、こちらが子グマの檻。
アイヌでは、子グマを一定期間集落で育て、それを神の元に送り返す「イオマンテ」という風習があるそうだ。
なんとなくは知っていたが、調べてみると、その文化の独自性に改めて驚かされた。
こちらは船。
これはベンチみたいなものかな?
藁のタープがかっこいい。
短い時間ではあったが、ほんの少しだけ、アイヌの文化に触れられる良い機会だった。
夕食は、周りにはあまり飲食店がないので、宿であらかじめ買い込んでおいた食材を料理することに。
平取町のAコープで買ったへらがに、この量で430円は安い。
へらがにというのは聞いたことがなかったが、脚の形から見るにワタリガニの近縁種だろう。
とりあえず塩茹でしてみたら、それなりに美味そうになった。
小振りなので、上海ガニのような食べ方で食べてみたが、味は美味かった。
ちなみに、長期滞在しているフィリピンからの学生さんがいて、バナナのパンケーキを分けてもらったが、これも美味かった。
残念ながら彼女はカニアレルギー。
カニは一人では食べ切れなかったので、半分は朝食にすることに。
で、この後、宿のオーナーが戻ってきて、色々と話をした。
彼は、自分がアイヌであることをとても誇りに思っている。
31歳とのことで、私より5歳下なのだが、民族としてのアイデンティティが本当にしっかりとしていて驚かされた。
例えば、自分が8代目であり、先祖がいつ、どこから来たのかなどをしっかりと理解している。
アイヌは伝統的に文字を持たず、「ユーカラ(ユカラ)」という口承の叙事詩によって、生き方の規範や自然との関わりなどを学ぶそうだが、彼もやはり口伝で教わってきたとのこと。
たしかに、そういう認識で見ると、見た目もちょっと我々とは違う感じがした。
差別ではなく、端的に日本人とは違う民族なのだということ、そして、それが現代の日本で、民族としてのアイデンティティをしっかりと持って生き、それを残そうとしていることを、これまで理解していなかったことを本当に恥ずかしく思った。
また、自分が日本のことや、自分のルーツについてほとんど何も知らないということも、恥ずかしく思えた。
ちなみに、この宿はゲストハウスによくある古民家や空き家を活用したパターンではなく、一から新しく建物を建てたものだ。
そして、上記でも述べたが、この集落は日本で最もアイヌの割合が高いエリア。
つまり、物件をリノベーションしたのではなく、この集落自体に新たな宿を作ることで、じっくりと時間をかけてアイヌの文化を触れられる場を作ったということなのだろう。
もっと学んで、改めて再訪してみたい。
とりあえず、この日は宿にあった「ゴールデンカムイ」を読みながら就寝。
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