映画『葛城事件』ネタバレあり
Twitterで#️⃣絶対に勧められないオススメ映画
で出てきたので鑑賞。
【あらすじ】
無差別殺傷事件を引き起こした犯人の父親を主人公に、腐心して築き上げた理想の家庭が、ふとしたことから歯車が狂いはじめ、壮絶な崩壊の道を辿っていくさまを鮮烈に描き出した衝撃の家族ドラマ。
多分、意外と〝こういう〟家族は多いのではないか。
⚫︎昔気質の頑固で横柄で怒鳴る割には言ってることが浅い
プライドの高い父親(三浦友和)。
⚫︎その父親についてきて、あまり深く考えない母親(南果歩)。
⚫︎波風立てないように生きる兄(新井浩文)。
⚫︎厨二病気質、社会性のない引きこもりの弟。
何も続かないのに『一発逆転するから』と言う。(若葉竜也)。
⚫︎死刑囚と獄中結婚した女。(田中麗奈)
ネタバレも何も最初から、次男が無差別殺人を犯して死刑囚となり
家族で住んでいた落書きだらけの一軒家を、
父親が黙々とペンキを塗り重ねていくところから始まる。
そこに他の家族の姿はない。
兄は、結婚し子供も二人いるが
リストラされたことを誰にも言えないでいた。
母は、父の横暴さに耐えきれず弟を連れて家出をした。
が、すぐに父親に居場所がわかり帰ることになる。
ここで父親は次男を締め殺そうとするができなかった。
そして、兄は飛び降り自殺。ここから胸糞の悪さが始まる。
通夜の席で、母親はどうでもいい話で大声でケラケラ笑っている。
とても異様で不愉快な場面。
弟は、兄が死んだというのに吹き出してしまう。
父親は、給湯室でおばさんたちが
兄の死をおもしろおかしく噂しているのを聞いて冷静に怒る。
通夜の場で、まともなのは
いつも怒鳴り散らしていた父親なのである。
母親は、嫁に向かって「あんたのせいよ。
一緒に暮らしているのにリストラに気づかないなんておかしいでしょ」
と、吐き捨てるように言う。
この時の南果歩の表情は狂気を纏っているようで恐ろしかった。
時が経ち、弟の元へ包丁が届く。
そして、何事もないように家を出て、次々と人を殺していく。
話の中で、家の前のゴミ捨て場が燃えているところを父親が見つけ
通報しようとしたところに、次男が帰宅。
放火したのは次男であった。
父親は、次男のヤバさに誰よりも気がついていた。
いつまで経っても働かず、社交性もなく
母が家出する際もついて行く。
この時に締め殺そうとしたのは親心ではないだろうか。
父親の怒鳴り散らす鬱陶しさや頑固さがクローズされているけど
私はどちらかというと
母親の方が狂気じみているように思えた。
甘やかしている、と言うよりは後先を考えていない。
いや、何も考えてないのではないだろうか。
長男の自殺に対しても、次男が引きこもってることにも。
だけど夫に対しては、うんざりしている。
何かあるとしたら夫のせい。都合の良い女だと思った。
誰が悪いと言ったら
もちろん罪を犯した次男であるが、
親の育て方や環境のせいかと言ったらどうなのだろう。
冒頭に書いたように
多分、〝こういう〟家庭は少なくないと思う。
親のどちらかが口うるさかったり、
無関心だったり、過干渉だったり、
兄弟姉妹のどちらかが優秀で、もう一人は自由奔放であったり。
どこにでもある話で
だけど、人は人を殺さない。
死刑囚である次男と獄中結婚した女も、また異様で
死刑反対団体に所属しているのもあるが
「私がいれば彼を救えると思うんです」と言う。
父親に話を聞きに行き、落書きだらけの誰もいない家や
街のスナックで煙たがられるも
自分なりの主張を怒鳴り散らしていく姿に憐んでいる。
だが、それでも父は家にいる。
守りたいのであろう。
もう誰も帰ってこないのに。
その姿は健気にも見えるし、哀れで惨めにも見える。
#️⃣絶対に勧められないオススメ映画
と言われるのはよく分かる。
だけど、何度も言うが〝こういう〟家族はよくいる。
だから恐ろしいのだ。