「イソフラボン、サポニン&レシチン」豆腐の栄養素5つを解説します
私が住む沖縄では、昔から豆腐は貴重なタンパク源として重宝されてきました。今でも街のあちこちで豆腐屋さんが変わらずに頑張っています。
そこで、あらためて豆腐に含まれる栄養素を整理してみます。大豆イソフラボンを中心に5つに絞って解説します。
(文末に動画を貼付しています)
タンパク質
1つ目はタンパク質です。豆腐に含まれるタンパク質は豆腐の種類によって異なります。100g当たりのタンパク質は、木綿豆腐が9g、絹ごし豆腐が7gで木綿豆腐が勝ります。
けれども、木綿豆腐よりも多いのが、我が沖縄の島豆腐です。島豆腐のタンパク質は100g当たり9gです。島豆腐、食べたことありますか? 大豆の味が濃くて、やや固い。そして少し重みを感じます。沖縄に来られた時はぜひ一度食べてみてください。
沖縄のスーパーでは、街の豆腐屋さんが作り立ての豆腐を運んできて、アツアツの状態で売っています。その光景が見られるのは沖縄だけです。
マグネシウム
豆腐に含まれる栄養素、2つ目はマグネシウムです。 豆腐のマグネシウムと言えば、にがり(凝固剤)に使われているのがマグネシウムのことです。
マグネシウムにもさまざまな種類がありますが、にがりに使われるマグネシウムはもっとも吸収率に優れる塩化マグネシウムです。その塩化マグネシウムの豆腐の含有量ですが、100g当たり木綿豆腐が130mg、絹ごし豆腐が55mgです。
タンパク質に続いて、ここでも木綿豆腐が勝ります。もちろん絹ごし豆腐でも十分に多いのですが、木綿豆腐は抜きん出てます。料理にもよりますが、木綿豆腐を積極的に召し上がることを推奨します。
ただし、昔ながらの豆腐作りは凝固剤に天然のにがりを使うのが普通でしたが、現代の安い豆腐に使われているのは、塩化マグネシウムに加えて硫酸カルシウム、グルコン酸などを混合した凝固剤を使っていますので、その分マグネシウムの含有量も少なくなります。
できるかぎり天然のにがりを使用した、街の豆腐屋さんが作った豆腐を選んでください。
大豆レシチン&大豆サポニン
豆腐に含まれる栄養素、3つ目は大豆レシチンです。レシチンは大豆食品に含まれる良質な脂質で、HDL(善玉)コレステロールを増やしてLDL(悪玉)コレステロールを減らします。
それによって動脈硬化、それが引き金になる脳血管疾患や心疾患、あるいはアルツハイマー型認知症の予防に働きます。
レシチンは、大豆レシチンのほかに玉子に含まれる卵黄レシチンがあります。
豆腐に含まれる栄養素、4つ目は大豆サポニン。大豆サポニンには活性酸素を除去する抗酸化作用があり、脂肪の酸化を防いでくれます。
とくに LDLコレステロールの酸化を抑えることによって、動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立ちます。
大豆イソフラボン
イソフラボンは大豆の苦味成分であり、女性ホルモンのような働きをします。そのことからイソフラボンのことを「穏やかな女性ホルモン」「マイルドなエストロゲン」と表現することもあります。実際に分子構造を見ても両者は酷似しています。
具体的な働きを見ると、まずは①更年期症状の緩和です。女性ホルモンの分泌が減少してホルモンバランスが崩れることから起こる更年期の症状に対して、イソフラボンがエストロゲンの代役を務めてサポートします。
次に②骨粗鬆症の予防です。閉経後は女性ホルモンの減少が原因で骨密度が低下する傾向があります。そこでもイソフラボンが女性ホルモンの減少を補うことで骨粗鬆症の予防に働きます。
そして③がん予防です。とくに、過剰なホルモンがそのリスクを高めると言われている乳がん、子宮体がん、卵巣がんの予防に貢献します。これらのがんは、強い作用を持つエストロゲンががん細胞のレセプター(受容体)に結合することで増殖するタイプのがんです。
しかし、イソフラボンが近くにあれば、エストロゲンの過剰な働きを抑えます。イソフラボンは女性ホルモンのような作用をもちながら、エストロゲンが強すぎる場合にはその働きを抑えるという不思議な働きを持っています。
イソフラボンはエストロゲンと化学構造が似ているためにエストロゲンのレセプター(受容体)との結合能力が高いのが特徴です。しかしながら、イソフラボンは「マイルドなエストロゲン」であるために、その効力はエストロゲンの1000分の1程度です。したがってイソフラボンがレセプターに結合しても、がん細胞の増殖には働かないという仕組みです。
下の図のように、イソフラボンは強い作用をもつエストロゲンが結合するはずのレセプターに先回りして取り付いて、強いエストロゲンの働きを抑えてがんを予防したり、進行を抑える可能性があります。
イソフラボンの特徴をまとめると、更年期や閉経後のエストロゲンが減少する場面ではそれを補って、逆にエストロゲンが過剰な場面ではそれを抑えます。女性ホルモンの万能な調整役がイソフラボンだと言えます。
とはいえ、イソフラボンも摂りすぎには注意が必要です。内閣府食品安全委員会のHPには、大豆イソフラボンの一日摂取目安量の上限値は70~75 mg/日だと表記されています。70~75 mg/日だと納豆1パックと豆腐半丁で概ねその量になってしまいます。
ただ、この量は正直なところ厳しいなというのが私の実感です。海外の研究では150mg/日を長期にわたって摂取し続いた場合、子宮内膜症が増加するという報告があります。ですから100mg/日 前後であれば問題ないだろうと考えます。
それでも心配症の方は70~75 mg/日の範囲で摂るのがいいかなと思います。
まとめ
豆腐に含まれる栄養素、1つ目はタンパク質です。
グラム当たりのタンパク質は、絹ごし豆腐よりも木綿豆腐が、木綿豆腐よりも沖縄の島豆腐が上回ります。
2つ目はマグネシウムです。にがり(凝固剤)に使われているのがマグネシウムで、吸収率に優れる塩化マグネシウムです。
そのマグネシウムも、100g当たり木綿豆腐130mg、絹ごし豆腐55mgと木綿豆腐が勝ります。豆腐に含まれる栄養素、
3つ目は大豆レシチンという脂質で、動脈硬化、脳血管疾患や心疾患、アルツハイマー型認知症の予防に働きます。
4つ目は活性酸素を除去する抗酸化作用があり、脂肪の酸化を防いでくれる大豆サポニンです。
5つ目の大豆イソフラボンは、効力の弱い女性ホルモンのような働きをして、更年期や閉経後のエストロゲンが減少する場面ではそれを補って、逆にエストロゲンが過剰な場面ではそれを抑えます。
それにより、更年期症状の緩和や骨粗鬆症の予防、乳がん、子宮体がん、卵巣がんの予防に貢献します。
なお、記事の内容については動画もアップしていますので、合わせてご覧ください。