【読書感想文】『環境を味方に付ける』〜心が震えるか、否か〜
本書を選んだ理由
日本代表の10番を背負い、ボルシア・ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドをはじめ欧州で活躍してきた香川真司(※敬称略)がどんなことを考えながら、当時を過ごしていたのか。彼がどんな想いを背負い、戦ってきたのか。テレビでピッチ上の彼しか見ていなかったため、国民の期待を受けてプレーしてきたサムライの栄光と苦悩への向き合い方にすごく興味を持った。
環境を味方に付ける
タイトルの『心が震えるか、否か。』。これは、香川が物事を決断するときの基準である。
香川は中学生で親元を離れて、神戸から仙台に移り住み、仙台のサッカークラブに入団した。きっかけは、小学6年生のときにのちに所属することになるFCみやぎの練習に参加する機会があり、そこでの指導方針に心を惹かれたという。「パスに逃げるな」という教えのもと、個人のドリブルを磨くクラブのスタイルを知り、「サッカーがうまくなりたい」と心が震えて、仙台に行くことを決心する。祖母と一緒ではあったものの、13歳での出来事だった。
僕は小学校からの友だちと一緒に通うことがうれしくて、普通に住んでいる地域にある市立の中学校に入学した。大学生で県外に出て、1人暮らしを3年間していたが、家族に会いたくて2カ月に1回の頻度で実家に帰っていた。そんな僕だから、13歳でサッカーをするために仙台に行くような決断はできない。「心が震える」という決断の基準が持つ力を強く感じて本書を読み進めた。
正直、本書にはトピックが多過ぎて、香川のサッカー人生のほとんどが詰め込まれていて、内容も栄光と苦悩が赤裸々に書かれている。
FCみやぎ、セレッソ大阪、ボルシア・ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッド、ボルシア・ドルトムント、ベジクタシュ、レアル・サラゴサ、PAOKテッサロニキ。
所属したチーム時期に当時の気持ちを詳細に語られていく。
彼のキャリアを通して僕が得た学び、教訓は、置かれた環境に適することが成功の秘訣であるのではないかということ。
香川はFCみやぎで自分よりもうまい年上の選手とプレーすることで負けず嫌いを身に付け、セレッソ大阪ではレヴィー・ゥルピ、森島 寛晃、寮長との出会いが成長を促し、ボルシア・ドルトムントでは若い選手がしのぎを削るチームで勢いよく頭角を現し、マンチェスター・ユナイテッドでは世界最高峰のクラブで期待と重圧を背負って挫折を経験する・・・。
上記のキャリアの中で成功を掴んだと言えるのは、環境を味方につけていたとき。彼はそれを無意識でやっていた。環境が良い方向へ作用して、成功を促していた。しかし、マンチェスター・ユナイテッドでは、置かれた環境に適応することができず。大きな挫折を経験したが、そこから環境に適応することを考えるようになった。
自分を使ってくれない監督に理由を問うために話をする場を設け、パーソナルトレーナーを付け、個人分析官を付けた。活躍するために自らアクションを起こし、自分が環境に寄り添いながらも、成長に作用する環境に変えようともしていた。
成功と挫折を経験してからこその心境の変化だったと思う。本書を読んで環境に適応することの大切さを知ることができた。僕も置かれている環境をしっかりと分析し、自分に足りないものを明確にし、成功するために必要なものを考えて行動を起こしていきたい。そのとき、きっと僕の心は震えているだろう。