【T.K. メソッド】≪はじめに≫ 豊かな人生を生きる人が実践する 仕事で活躍する思考の法則
このメソッドは、筆者が外資系企業での勤務経験、組織開発やリーダー育成の専門知識、MBA教授としてのキャリア、そして約10年間の海外駐在を通じて得た知見を基にしています。
約20年にわたり多くのビジネスリーダーとディスカッションしプロジェクトを行う中で気が付いたことは、
ということです。
私は、「仕事に充実感を感じながら大きな成果(Great Performance)を出している」人を「フルフィリスト」と呼んでいます。
この言葉は、英語の"Fulfilment"(充実感)から派生させたもので、人生における意義や価値を感じることを意味します。
Fulfilmentは、単なる物質的な成功や利益だけでなく、精神的な豊かさや心の満足感を重視する文脈で使われることが多い言葉です。
この投稿では、その「仕事・人生での充実感を実感する」ための「スキル」を、T.K.メソッドとしてご紹介します。
経済成長の先に人々が求めるもの
「人生における幸福度」や「ウェルビーイング」、「マインドフルネス」といった言葉が広く使われるようになり、世界的にも「Beyond GDP」という考え方が浸透しています。
経済成長を超えた幸福の追求が、今や重要なテーマとなっています。
その背景には、「これ以上成長を追求しても幸せにはなれない」という社会的な気づきが広がったことが挙げられます。
終わりのない成長や最高益への挑戦を繰り返す中で、この数字ゲームがどこまで続くのか、あるいは続けるべきなのかと考える人も少なくありません。
日々の仕事を振り返ると、常に上の役職を目指し、周囲や会社からのプレッシャーを感じながら、年収を少しでも増やそうと無意識に執着している自分に気づく人もいるかもしれません。
数字(売上、利益率、シェア、年収)を追い求め、社会的ステータス(ポジション)を上げ続けるという終わりのない成長欲求に駆られながら、どこかで違和感を覚えつつも、そのレールに乗り続ける。
資本主義や物質主義の世界では、「継続的な成長」や「利益の最大化」が当然の目標となりますが、これらの追求は物質的な豊かさをもたらしてきました。
そして、現在、多くの先進国では物質的な豊かさを得た後に、心理的な豊かさとは何かを模索し始めています。
国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)も、この考え方を反映しています。
私が出席した欧州のSDGs関連カンファレンスでも、「Beyond GDP」が主要なテーマとして取り上げられていました。
また、2024年にシンガポールの第4代首相として就任したローレンス・ウォン首相も、就任演説で「物質的成功」だけでなく、キャリアや人生における目的と意味の重要性について言及しました。
このように、世界中で「幸福度」や「ウェルビーイング」、「マインドフルネス」といった、人生の「幸せ」を追求する姿勢がますます強調されています。
では、仕事で一定の成長を遂げながら、幸福や充実感を得るためにはどのようなアプローチが必要なのか?
これは、日本をはじめとする世界中で問われている課題です。
私が長年教壇に立っているMBA(経営学)は、資本主義の世界で「継続的な成長」や「利益の最大化」を実現するために必要な学問です。
MBAスキルや論理的・戦略的思考、職務に必要な知識といった「ビジネススキル」は、ビジネスを効率的に行うための基本的なスキルであり、多くのビジネスパーソンがこれらのスキルを磨く努力をしています。
これらのビジネススキルは、仕事をしている限り必須のスキルであり、活躍するためには不可欠です。
さらに、これに加えて、モチベーションを維持することも重要です。
何を成し遂げたいのか、仕事に対して何を求めているのかといった「働くパワーの源泉」を理解し、自己啓発に取り組むことが大切です。
仕事で結果を出すには、ビジネススキルとモチベーションは欠かせません。
日本だけでなく、世界中のビジネスパーソンがこれらのスキルを獲得し、モチベーションを高めるために努力をしています。
ビジネススキルを磨き、モチベーションを維持している人々の中でも、その活躍がGood Performanceにとどまる人(それでも一定の成果を上げていますが)と、Great Performanceにまで到達する人がいることに気づきました。
私自身も国内・海外でビジネスパーソンとして20年以上働き、また人材育成にも携わる中で発見したことは、卓越した活躍をする人(Great Performance)は、仕事に充実感を感じながら成果を出すスキルを持ち、そのスキルを人生全般にも活かしているということでした。
仕事での充実と豊かな人生を両立させるための「思考の法則」とは
仕事を極め大いに活躍し、それが人生の豊かさや深さに繋がっている人や、Good Performanceを超えて卓越した成果(Great Performance)を上げる人が持つ「スキル」とは何か?
大いに活躍している人たちは、同じ仕事をしていても、着眼点や思考方法が異なることに気づきました。
つまり、物事の見方や解釈力、言い換えれば「インテリジェンス: 思考の習慣」が優れているのです。
仕事で生き生きと大いに活躍するためには、
ビジネススキルやモチベーションに加えて、
物事の見方や解釈力を指す「インテリジェンス:思考の習慣」が非常に重要であることがわかりました。
ビジネススキルやモチベーションについては、学ぶ機会や場所が豊富で、多くの人がこれらのトレーニングや自己啓発に積極的に取り組んでいます。
そのため、これらの2つの要素は一定のレベルに達していることが多いと思います。
しかし、それにもかかわらず焦りや不足感を感じたり、仕事での活躍や人生の充足感に不安を抱えている場合、または大活躍をもう一歩で達成できないと感じる人がいるとすれば、その原因は「インテリジェンス」、つまり思考の習慣が十分にトレーニングされていないことにあるのではないかと思います。
この「思考の習慣:インテリジェンス」は、鍛える機会が限られており、その重要性に気づく機会も少なく、実際に鍛えている人も多くはありません。
この「思考の習慣」が、仕事での活躍とそうでない人との間に大きな違いを生む要素であると気づきました。
そして、思考の習慣の中でも、フルフィリストの思考の習慣(インテリジェンス)の中で重要なものは、
①自己の探求
②仕事での意味づけ
③環境の選択
における「思考の習慣」だと考えています。
仕事での充実感や豊かな人生を実現するためには、活躍している人たちが実践する思考の法則や豊かな思考習慣の重要性がますます問われていると感じています。
自己紹介
フルフィリストが実際に使っている思考の習慣(インテリジェンス)を、この投稿では具体的に50個紹介していきたいと思いますが、それは次回以降に取り上げることにします。
今回は、簡単に自己紹介をして、この投稿を締めくくりたいと思います。
私は約25年間の社会人経験の中で、「感動を創造する」ことをミッションに、様々な業界で働いてきました。大学では名古屋大学で教育学を学び、その後、アメリカのオハイオ大学でスポーツビジネスを専攻し修士号を取得しました。
ナイキジャパンやアマゾンジャパンで勤務後、初めて日系企業であるグロービスに転職し、組織変革コンサルティング、リーダー育成、MBA教育に従事しました。
グロービスでは、東南アジアのシンガポールに約10年間駐在し、3社の社長と日本本社のマネジングディレクター/経営メンバーを務めました。
また、グロービス経営大学院(MBA)で教授として、サービスマネジメント、マーケティング戦略、経営戦略も教えています。2024年にグロービスを退職し独立しましたが、現在も同大学院で教授として教壇に立っています。
長年、海外事業に携わってきた経験から、日本の独自性に対する関心が非常に高いです。
ドラッカーが「人や企業は弱みで勝てない。強みでしか勝てない」と言っていますが、私もこれに強く同意します。日本の弱みもあるでしょうが、私は日本らしさや日本の強みに注目しています。
韓国がエンタメや美容で世界を魅了したように、日本も独自の仕事観で世界を魅了できると考えています。
特に注目しているのは、「仕事を極める姿勢」と「その過程で自身の哲学を磨き、人生の豊かさに繋げる」仕事観です。
たとえば、匠の技、誇り、工夫、感動、没頭、道などが挙げられます。
この日本独自の「仕事観」は、「成長から幸せ実感へ」という流れの中で、重要なカギになると考えています。
幸せについては、仕事以外の余暇の充実度で決まるという考え方と、
仕事と余暇の両方の充実度で決まるという考え方があります。
前者は「仕事は幸せとは対極にあり、早く終わらせて余暇を楽しむべき」という考え方です。
一方、後者の考え方は、「仕事に充てる時間が一定である以上、その仕事の充実度を高めることで人生もさらに豊かになる」というものです。
仕事に没頭する幸せや楽しさが人生をより精神的に充実させるという考え方です。
これらの2つの考え方には優劣はなく、どちらもあり得るものだと思いますが、この投稿では、後者を前提として進めていきたいと思います。
次回の投稿から、「人生を豊かに生きる人が実践する 仕事で活躍する思考の法則50」のご紹介をしたいと思います。
★★★★★★★★★★★★★★★
今日も最後まで、読んでいただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
思考の習慣50のすべては、下記のマガジンにて随時ご紹介します。
★★★★★★★★★★★★★★★