くもくま

母の手作りのぬいぐるみ
ふわふわのクマのぬいぐるみ

大人になった今でも傍にいて
ずっと見守ってくれていて
誰よりも私のことを知っている

軽くほつれたお尻を縫いながら
いつかの記憶を思い出す

「クマさんの中は何が入ってるの？」

小さい私はそう聞いたっけ
すると母は言ったんだ

「お空の雲を捕まえて入れたんだよ」って

その言葉をずっと信じていた
いや今でも信じている

だって中を見ていない以上
その可能性はゼロでは無いのだから

びゅーんと空を飛んで
雲をかき集める母を想像すると
滑稽でしかないけれど

このぬいぐるみには
ふわふわの雲とたっぷりの愛情が
ぎっしり詰められているんだ