Xで「#私が退職した本当の理由 」運動!MeTooの再来か!?女性のハラスメント被害が明らかに!

X(旧Twitter)で、「#私が退職した本当の理由」というハッシュタグをつけて、過去のハラスメント被害を告発する運動が起こっている。個々の投稿は女性のプライバシーにも関わるのでここで明かさないが、生々しい被害が報告されている。

しかし、ここで指摘しておきたいのは、心無い反応だ。過去のハラスメント被害を「なぜ、今さら」と批判するリプライ(返信)が多いのだ。これは、時代状況の変化や女性の心理を理解していない。昔は、特に昭和時代は、「女性がセクハラを我慢する、受け流す」のが当たり前の時代だった。だから、その時告発したくても、できなかったのだ。女性たちは、「泣き寝入り」してきたのだ。それが、テレビ朝日の記者が財務省事務次官からセクハラされた事件や、今回のフジテレビ不祥事で、女性が過去の被害を「言いやすい」環境が整ってきたのだ。それを、「過去のことは封印しろ」というのは、おかしいだろう。誰かに話すことで、女性たちは心の痛みが癒される部分もあるだろうし、「自分は後悔しているから、若い女性には泣き寝入りしないでほしい」というメッセージでもあるだろう。

今回のこの動きを受けて、TBSの報道特集という番組は、女性のセクハラ被害の特集を10分以上使って放送した。

上記のドコモのネット記事よりも、もっと生々しい事実があったので、番組を視聴した私が、覚えている限り、紹介してみたい。

・部署の飲み会で、若い女性社員は部長や課長の隣に無理やり座らされた
・男性上司から触られたり、卑猥な言葉を耳打ちされた
・「俺と不倫すれば仕事を与える」と言われた
・スポーツ選手を囲む飲み会で、キャバクラ嬢のような扱いを受けた
・セクハラを受け流すのが良い社会人、不服を申し立てると「面倒な人」と思われて仕事が無くなる

TBS 報道特集

1980年代には、民放各局は、深夜時間帯でわいせつな番組を放送することもあった。そこで、政府は、青少年への悪影響がある番組を規制する法案を検討した。その時、フジテレビの安藤優子氏は、この法案に断固反対する声明を発表した。結局、安藤氏のように、「権力の側」に立つほうが、女性や青少年を守る側よりも出世しやすいのだろう。

元TBSアナウンサーの小島慶子さんは、「男性はどんなに無茶な長時間労働も、過酷なことも耐える。女性にそれができないならば、若くて綺麗な女性を武器として働くしかなかった」と当時を振り返る。つまり、これは女性だけの問題ではないのだ。「過労死するほどの長時間労働か、若い女性の身体を差し出すか」という、究極の二択を労働者は求められていたのだ。完全な人権侵害であると思う。

実際、若く美しい東大卒の高橋まつりさんは、超長時間労働の末、精神を蝕まれて、過労自殺した。彼女は「長時間労働」のほうを選択させられたのだ。

もう、こんな労働環境はやめにしないか?労働者の人権を守るためにも、私は断固として「#私が退職した本当の理由」運動を支持したいと思う。「沈黙は受け入れる」ことと同じだ。ハラスメントは断固拒否して、公益通報しよう。泣き寝入りしたら自分が損するだけだ。

職場ハラスメントとジェンダー不平等:日本と国際社会の比較分析


序論

職場ハラスメントは、現代の労働環境において深刻な問題となっている。特に、ジェンダー不平等と密接に関連し、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)など、多様な形態で発生している。日本では、近年SNS上で「#私が退職した本当の理由」という運動が広がり、従来の「沈黙の文化」を打破しようとする動きが見られる。しかし、法的な整備や社会の認識は依然として十分ではなく、企業の対応も遅れている。

一方、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、オーストラリアといった主要先進国では、ハラスメント対策が進んでいる国もあり、日本との比較が重要となる。本稿では、日本の職場ハラスメントの現状を概観し、各国との比較を通じて、日本特有の課題を明らかにするとともに、実効性のある改善策を提言する。


第1章:日本における職場ハラスメントの現状

1.1 ハラスメントの発生率と特徴

日本では、ハラスメントが多発しているにもかかわらず、その多くが表面化しにくい構造になっている。特に、以下のような特徴が指摘される。

  1. 性別役割の固定化

    • 女性は「若さ」や「容姿」を評価されがちであり、昇進の過程で不当な扱いを受けるケースが多い(Folke et al., 2020)。

    • 男性は「長時間労働に耐えるべき」とされ、労働環境の改善が進みにくい。

  2. 終身雇用・年功序列の影響

    • 日本の企業文化では上司の権威が強く、パワハラが「指導」として正当化される傾向がある。

    • 部下が異議を唱えることが困難であり、上司の行動を容認する文化が根強い

  3. セクハラ・パワハラの混在

    • 「女性は接待役を果たすべき」という固定観念が未だに根強く、飲み会などでの不適切な行動が許容されがちである(Hasunuma & Shin, 2020)。

1.2 「沈黙の文化」と告発の困難さ

日本の労働環境では、「ハラスメントを告発すると不利益を被る」という認識が強い。
主な要因として以下が挙げられる:

  • 内部告発がリスクになる

    • 告発者が「問題を起こす人」と見なされ、昇進の道が閉ざされることがある。

    • 労働組合の影響力が弱く、個人が孤立しやすい。

  • 社会的制裁(被害者バッシング)

    • ハラスメントを公にすると、被害者自身が「なぜ今さら?」と批判される。

    • MeToo運動が広がりにくい一因となっている。

  • 非正規雇用者の立場が弱い

    • 契約社員や派遣社員は、「告発=契約打ち切り」というリスクが高いため、声を上げにくい。

1.3 法的枠組みの課題

日本では、2020年に「パワハラ防止法」が施行されたものの、企業の自主性に委ねられており、罰則が不十分 である。
一方、欧米諸国では、企業に対する厳格な制裁があり、コンプライアンスの徹底が進んでいる。


第2章:国際比較 - 日本と主要7か国のハラスメント事情

ハラスメントの発生率と制度の比較

ハラスメントの国際比較

日本の課題が際立つポイント

  • 内部告発者保護制度の欠如

  • 企業の罰則が不十分

  • 被害者の報復リスクが高い


第3章:日本の課題と改善策

3.1 内部告発者保護制度の強化

欧米諸国では、「Whistleblower Protection(内部告発者保護)」 により、告発者が職場で不利益を被らない仕組みが確立されている。日本でも、匿名通報システムの義務化や、報復防止の厳格な法整備 が求められる。

3.2 企業の責任強化

  • 企業がハラスメント防止策を怠った場合、高額な罰則を課す制度 を導入する。

  • フランスの「モラルハラスメント禁止法」 を参考に、精神的圧力も違法とする。

3.3 ジェンダー意識の改革

  • 「女性は補助的」という価値観を改め、性別役割を見直す教育を進める

  • 企業内の ダイバーシティ・クオータ制度 を導入し、女性管理職比率を上げる。


結論

日本の職場ハラスメントは、沈黙の文化・法的枠組みの甘さ・企業の責任回避 という三重の問題を抱えている。他国の成功事例を参考にしつつ、法制度・企業文化・ジェンダー意識の三方向から改革を進めることが、持続可能な労働環境の実現につながる。

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