ダブルバインドの効果的な使い方は『選択肢への誘導』
こんにちは、【全国一位の元販売員】経営者のこうたです。
上司が部下に仕事を与えるのは権利であり義務です。
しかし中には、ちょっと面倒だなと思える仕事を与えなければならないことがあります。
人の良い上司だったり、部下と仲が良すぎると弊害が出てしまうんですね。
一方で、派遣や委託をメインとしている企業は、スタッフに派遣先の場所や内容を提示します。
委託だと金額もバラバラであれば、勤務地が遠いなど厳しい条件を提示せざるを得ないこともあるでしょう。
今回は、そんな時に使えるちょっとしたテクニックをご紹介します。
皆さんが誤解されている『第三の選択肢を与えない』ではありません。
1.ダブル・バインド
営業マンや販売員がよく使う手法です。
あらかじめ選択肢を提示されると、第三の選択肢に目がいかなくなります。
例えば、「Aの商品がオススメです! どうしますか?」
だと、お客さんは買うか買わないかの選択になります。
しかし、「AとBがオススメです! どっちにしますか?」
だと、買わないという選択肢が外れます。
恋愛心理学でもよく見かける手法ですが、単純すぎるかつ誰もが知っているので成功しないイメージを持つ人もいるでしょう。
しかしそれは、提示の仕方が間違っているだけ。
先ほどの例も、単にAとBどっちにしますかと聞いて買う人はいません。
私は新人時代、月額4000円の商材と8000円の商材を取り扱っていた時に、この手法で8000円の商材を売りまくりました。
7:2:1(8000円:4000円:買わない)の比率です。
この手法のコツは、メリットとデメリットを明確にすること。
メリットの違いを比較して提示するのではありません。
デメリットもきちんと見えるようにするのです。
お客さん視点で考えると分かりやすいと思いますが、あからさまにデメリットのない商材って怪しいです。
実際は本当にデメリットがなくても、無意識に警戒してしまいます。
だから私はデメリットがない商材を売る時も、必ず小さなデメリットを無理やり生み出して説明します。
こうすることで、「その程度のデメリットなら」と思わせることができるからです。
もう一つのコツは、必ず2択にすること。
比較って、2つまでが限界です。
3つ以上になると正確な比較が難しくなります。
A、B、Cがあって、それぞれのメリットとデメリットはこれですと提示したところで、AとB、BとC、AとCの比較になってしまうからです。
もし3つの選択肢が生まれるのであれば、1つは早々にバッサリと切り捨てることをオススメします。
デメリットが他と比べて大きいことを主張するだけです。
販売員であれば、お客さんのニーズにどれだけ合わないかを説明するだけ。
思考が複雑化すると、勝手に第三の選択肢を生み出してしまうことだってあります。
シンプルが一番なのです。
2.ダブル・バインドの活用法
ここまで説明すればお分かりですね?
「AとBの仕事があるけど、どっちがいい?」と聞くだけ。
片方を非常に面倒な内容に置けば、本来頼みたかった仕事が面倒でもだいぶマシに見えます。
もし面倒な仕事のほうを選んだら、別の人に○○くんが面倒なほうを引き受けてくれたから楽なほうを頼むと伝えればいい。
勘違いしてはならないのが、なんでもかんでもダブルバインドを意識して仕事を与えろというわけではありません。
誰がやってもいい雑務のような仕事の時だけです。
そもそもこれを利用する理由は、部下のヘイトが溜まることを防ぐため。
ちゃんと雑務の振り分けが偏らないように、または業務成績や抱えている業務を把握して負担の少ない部下へ適切に与えられるのなら不要です。
一方で、最も効果的に使える業種が派遣と委託です。
個人事業主への委託業務だとなおさらですし、他社に再委託であっても非常に効果的です。
A店とB店が候補として出たが、どちらも好条件とは言い難い。
片方はお金はいいけど距離がある。
もう片方は近いけど業務内容が厳しい。
スタッフによって重視するものが異なります。
何よりもお金なのか、楽をしたいのか、距離が遠いのは絶対に嫌だとか。
双方のメリットとデメリットを明確にしたうえで本人に選ばせれば、後々の文句も言えなくなります。
こちらとしては「どっちも嫌です」を避けたいかつ、後々の文句も言わせたくありません。
どんな仕事も全部が好条件なんてことはそうそうないのですから、それをちゃんと理解させれば小さな好条件が魅力的に映ります。
そして何よりも、選択肢を用意してもらえた、いくつかのパターンを揃えてくれたと心情的にもプラスです。
3.ダブル・バインドの真の使い方
恋愛心理学ではどっちに転んでも嬉しいという使い方がメインなので、皆さん誤解しがちです。
いわゆる第三の選択肢である「どっちも嫌」を避けられるからですね。
ですが効果的な使い方は、選択肢への誘導です。
第三の選択肢を与えないことは大前提でしかないのです。
上述したA店とB店の比較ですが、情報をもっと細かくしたら明らかに片方が不遇なものであることが常。
会社としてはどっちに転んでもいいにしても、そもそもB店はよくよく考えると選択肢としてはあり得ない。
でもA店が映えるようにB店を選択肢に置いているだけです。
なのでメリットとデメリットが同格だと、どっちにしても悩みます。
第三の選択肢「やらない」が生まれる余地があるのです。
比較として提示しながらも、片方のメリットを強調してもう片方のデメリットを誇張することで、悩むことなく、それでいて自分の意思で選択したのだと思い込ませられます。
つまり、提示する側の中でもどちらを押しつけたいかを明確化しないと、結局は相手も悩む結果になってしまいます。
ついでに販売員で活用したい人のためにアドバイスを付け加えると、『自分の意思で選択する』ということが何よりも大切です。
お客さんに提示した時、「販売員さんはどう思う?」とよく質問されます。
自分だったらと答えるのはいいですが、あくまで私はどちらでも構いませんのスタンスを見せて貫かなければなりません。
なぜなら、自分は販売員に誘導されていると少しの疑念も与えてはならないからです。