英文法子

どちらかというと英語を聴いたり読んだりすることがただ好きなだけだったのが、友人に誘われ…

英文法子

どちらかというと英語を聴いたり読んだりすることがただ好きなだけだったのが、友人に誘われて足を踏み入れた英語教育の世界。大学受験予備校や社会人対象の学校で英語を教えている自分にどうしても慣れないまま、気がついたら英語そのものと向き合うことが日常になっていた猫。

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  • 英文法の小径

    毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。

  • 英文法 重箱の隅

    「重箱の隅を楊枝でほじくる(つつく)」= 取り上げなくてもよい、細かな事までを問題にする(新明解国語辞典)

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【英文法の小径】への誘い

英文法の小径―そこは 英文法という言葉を掲げてはいるけれど 英文法の復権を唱えるのでもなく 英文法の理論を紹介するのでもなく 普段何気なく使っているかもしれない英語という言語を 英文法という視点から眺めてみてはいかがですか という、ささやかな提案を行う場。 いつも歩いている通りから、わきの小径に入って しばし見慣れない風景に身を置いてみる。 英文法の小径を訪れることが そのようなひと時となりますように。

    • 【英文法の小径】現在形〈時制〉余話・その二

      このシリーズのエッセイでは、代表的な状態動詞として know と like を取り上げた。どちらも「〜になる」という変化ではなく、その結果である「知っている/わかっている」「好きである/気に入っている」という状態を表す。そして、この状態はしばらく変わらない。 ちなみに、変化の過程は、例えば ‘get to do’ を用いて表現する。 いずれも、徐々に人のことがよくわかるようになったり、好きになったりしていく過程を表わしている。 さて、「状態」には、時間が経過しても変化し

      • 【英文法の小径】現在形〈時制〉余話・その一

        学習英文法書は従来、現在形の用法として、動作動詞は現在の習慣的行為を表し、状態動詞は現在の状態を表す、というように記していることが多い。本シリーズでも、そのような区別を前提として説明している。 ところが、上記の区別に対して、日本で英語教育に携わる(執筆当時)二人のネイティブスピーカーが、その著書の中で異議を唱えている。 一冊目が、マーク・ピーターセン著『続 日本人の英語』(岩波新書)。著者は、一般の文法書に記載の現在時制の用法として「①習慣的行動 ②現在の状態 ③一般的な

        • 【英文法の小径】must〈助動詞〉その四

          今回は、以前 must について書いた記事の補足のような内容です。 まず、must は、客観的な have to に対して、「話し手の個人的な感情や願望として必要性を述べる」と説明しました。 一方で、must (not) は次のような文面でもよく用いられます。 規則や法律を知らせる公的な標識や通知には、must (not) がよく登場する。a. はシートベルトの着用義務を、b. は手荷物の放置禁止を述べたもの。 次に、[must have + 過去分詞]は、「過去の事

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        【英文法の小径】への誘い

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        • 英文法の小径
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        • 英文法 重箱の隅
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          【英文法の小径】非難・不満〈助動詞〉

          可能性を表す could と might は、提案/助言を行う場面で用いられることがあることを前回(提案・助言)確認しましたが、文脈によっては、相手を非難する表現になることもあります。 a. のような文で話し手は、ある行為を実行することが(その気になれば)可能なのに、相手がそれをしていない状況に対して、非難/不満を表明している。a.「もう少しやる気のあるところを見せようとしてもいいんじゃない」 b. の[could have + 過去分詞]という形式は、実現しなかった過去

          【英文法の小径】非難・不満〈助動詞〉

          【英文法の小径】提案・助言〈助動詞〉

          提案や助言に用いられる助動詞といったら、真っ先に思い浮かぶのは should (should・その一)かもしれません。今回は、その should 以外の助動詞が用いられる場合を扱います。 さて、人はだれでも、意思決定の自由を他者に侵されたくないと思っているもの。なので、その気持を尊重することは、提案や助言をする場面でも重視されます。行う行わないの判断を相手にゆだねるような言い方の一つとして、助動詞の could や might を用いることがあります。 いずれの例文も、可

          【英文法の小径】提案・助言〈助動詞〉

          【英文法の小径】命令・指示〈助動詞〉

          命令や指示を表す文でも、must や have to などに加えて、will や can が用いられることがあります。 Will you be quiet! You will do as I say [as you are told].'Will you …?' は依頼や勧誘の他に、文脈/状況によっては、命令を表すことがある。このときは、will にアクセント(=ストレス)が置かれる。「静かにしなさい」 また 'You will …' で、命令を表すこともある。これは、聞

          【英文法の小径】命令・指示〈助動詞〉

          【英文法の小径】申し出・勧誘〈助動詞〉

          申し出や勧誘を表す文でも、依頼・要請の場合と同じように、助動詞の will や can がよく用いられます。 a. I’ll give you a lift to the station. b. Can I do some shopping for you? will を用いた文(a.)では、相手のためになるような行為をする意志をはっきり示すことによって、can を用いた文(b.)では、自分にはそのような行為をすることが可能であることをそれとなく知らせることによって、

          【英文法の小径】申し出・勧誘〈助動詞〉

          【英文法の小径】依頼・要請〈助動詞〉

          人に何かをしてもらいたいとき、もちろん程度の差はあるけれど、誰でも遠慮を示しながら頼むもの。それは英語でも日本語でも変わらない。問題は、どうやって遠慮を表現するのかということ。 Will/Would you give me a hand with this?一つには、相手の意志の有無を確認する方法がある。意志を表す助動詞 will の出番だ。 丁寧さを増したければ、will の代わりに would を使う。一般的に、would, could, might といった過去形助

          【英文法の小径】依頼・要請〈助動詞〉

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その六

          may を用いていることから、話し手が相手の発言の真実味を推し量っていることがわかる。ただ、後に ‘well’ が付いている。may だけの場合と、何がちがうのだろう? あまり自信のない推量を表す may/might/could に well を加えると、可能性の程度を上げることができます。どの程度上がるのか?(数値を使った説明には問題がないとは言えませんが、)50%以下から70〜80%くらいに可能性が高くなると考えていいようです。確からしさを表す副詞で言えば、perhap

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その六

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その四

          She should have arrived at the station by now. 現在の事柄ではなく、過去の事柄について should を使って推量を表すには[should have + 過去分詞]という形式を用いる。must ほど確信度が強くないのは[should + 原形]のときと同じ。「もう駅に着いているはずだ」 She should have arrived here by now, but she hasn’t. ’but she hasn’t’

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その四

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

          I must have been a bore.例えば、共同生活の解消を提案された話し手のつぶやき。may/might/could ではなく must に[have + 過去分詞]を続けた[must have + 過去分詞]は、過去の事柄について確信的な推量(推断)を表す。相手にとって「きっと退屈な人間だったのだろう」と自分を省みている。 That must have been fun.先月、ヨーロッパ周遊ツアーに参加してきたという相手への一言。‘That must be

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その五

          Someone could have been injured or killed.事件や事故を伝える記事で時々見かける一文。この[could have + 過去分詞]は[may/might have + 過去分詞]とともに、過去の出来事等に関する不確かな推量を表すことは前回(may/might/could・その四)、確認したけれど、ここもそうなのだろうか? もしそうだとすると、「確かなことはわからないが、死傷者が出た可能性もある(可能性はそれほど高くない)」といった意味に

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その五

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その四

          You may/might/could have left it in the restaurant.家中、どこを探しても傘が見つからないという相手への一言。 It may be in the car. 同じ場面での答えとして、例えば、こう言ってもいい。これは、今=話をしている時点で、問題の傘がどこにあるのかを推測して述べている。ただ、話し手に自信はない。 それに対して、いや、昨日訪れたレストランに置き忘れてきた、ということも考えられる(確信はない)。この場合は、現在の

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その四

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その三

          They should be home by now.should のもう一つの顔は案外、見落とされがちだ。should が使われるとき、それは「〜すべき」を意味するとはかぎらない。 should にも、must と同じように、推量を表す用法がある。「〜のはずだ」という must と同じような訳語を与えられることが多いけれど、ちがいはないのだろうか? 推量したことを述べるのに should を用いるのは、それが正しい確率は高いけれど、話し手が must を使うほどの自信が

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その三

          【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四

          There has [There’s got] to be a reason.共通の知人が仕事を辞めたと聞いて一言。[have (got) to]が must と同じように義務/必要性を表すことは知っているけれど、それでは、この文は「理由がなければならない」という意味なのだろうか? 実は、[have (got) to]も must と同様に、「ちがいない/はずだ」という訳語が当てられることの多い確信的な推量(「推断」)を述べるときに用いることができます。これは、主にアメリカ

          【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四