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雑誌『土の香』の編集者・加賀紫水に活版印刷技術を提供した人物

 先日の以下の記事で幻の民俗雑誌と言われている『土の香』を紹介した。

『尾西市史 通史編 下巻』に収録されている「細道を回顧する」加賀紫水(もとの文章は「創立二十周年記念 百人一首」下巻 昭和二十一年十二月二十日)によると、この雑誌は発行当時は謄写版であったが、後に「第十六巻一号から松本市の同志石曽根印刷所の主人の理解ある御賛助により活版印刷」になったという。この「石曽根印刷所」はどこかで聞いたことがあると思ってひっかかっていたが、神保町のオタさんの「神保町系オタオタ日記」の以下の記事で紹介されている石曽根民郎(いしぞね・たみろう)が経営していた印刷所であったことを思い出した。

上記の記事によると、石曽根は川柳の作家であり、『川柳しなの』という雑誌を発行していた一方で蔵書票の蒐集も行っていたようだ。冒頭の記事で紹介したように、加賀も記念スタンプ、納札、絵はがき、駅弁票など様々な事物を蒐集していたので、おそらく蒐集趣味の関係で知り合ったのだろうと思われる。

 『土の香』は地域で発行されていた雑誌であったが、その編集者である加賀に活版印刷技術を教えていた人物がいたことは非常に興味深い。昭和前期には各地域でも様々な雑誌が様々な人々によって発行されていたが、石曽根は地域の活版印刷技術の広まりに一役買っていたのだろうか。

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