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伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』/大江健三郎『同時代ゲーム』
伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』を読んだ。この小説は大江健三郎『同時代ゲーム』からインスピレーションを受けている。と、小説のあとがきに記されている。
この作品は面白かった。『同時代ゲーム』という小説は、内容は面白いのだが、文章が読みづらい。批評の天才として名を馳せていた小林秀雄からも読みづらいと指摘される始末だった。
伊坂幸太郎は、そんな小説を中高生でも読めるように、ポップにアレンジしてみせた。実験成功! 私は驚きを隠せなかった。
また『同時代ゲーム』の読者がクスッと笑いたくなるようなギミックも作者・伊坂幸太郎が仕掛けている。隠れミッキーを探す感覚で、ぜひみなさんも探してみてほしい。
キャラクターの名前については考察のしがいがありそうだ。冠人と書いて”カント”。たぶんイマニュエル・カントに由来している。医医雄は”イイオ”。由来はたぶん大江作品に登場する「イーヨー」だろう。音が似ている。
伊坂作品のファンであれば、奇天烈な名前の登場人物が数多く出てくると、よく知っているだろう。名前の由来も何かのパロディなのかもしれない。『同時代ゲーム』から探してみるのも面白いだろう。
ともあれ、伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』と大江健三郎『同時代ゲーム』については、深く考察していきたいと考えている。
乞うご期待。
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