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発達の最近接領域【学びほぐしの備忘録】#2

発達の最近接領域

発達の最近接領域とは、ロシアの心理学者であるヴィゴツキー(Vygotsky)によって提唱された理論です。(英語ではZone of Proximal Development(ZPD)と表記)

「一人でできること」と、まだ「自分ではできないこと」の間にある、「一人ではできないけど、外部の助けがあればできる」領域のことを「発達の最近接領域」と呼び、この領域での学習が、子ども・学習者の効果的な成長・発達を促すことが期待されています。

ヴィゴツキーの発達理論では、子どもは他者との関わりを通じて発達を遂げると考えられています。できるようになるまで発達を待つのではなく、発達の最近接領域に対して、外部から働き掛けることが重要であると考えられているわけです。

具体的には、現時点で解決できる内容より多少難しい課題を与えた上で、助言を与えたり、自分より高い発達水準にある仲間と協同して取り組ませたりすることで課題を達成させます。

また「外部の助け」を表すものとして「Scaffolding:スキャフォールディング」という言葉もあります。日本語に訳すと「足場かけ」です。これは、学習・問題解決を促すために、大人・教師・支援者などが、子ども・学習者をサポートすることを指します。

「スキャフォールディング」のポイントは、(1)子ども・学習者がさらに上のステップへ進めるようにするようなサポートということ、さらに、(2)一時的に行うものということです。子ども・学習者が次は(足場がなくても)自分自身でできるようになるような、将来を見据えたサポートであることが重要ということです。

ある程度の年齢にある学習者には、「どこまでだったら一人で行うことができるのか」、そして「協力者がいれば達成できる領域はどこなのか」、を理解することが必要になるかも知れません。

この理論によれば、他者の助けが厚ければ厚いほど、達成できる領域も広がっていくことになります。そのためには、自分の達成や学習を支えてくれる協力者を見出すことも大切なことです。

学びは、必ず一人でするものではない、ということですね。


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