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『100回目の天皇杯漫遊記』【総括】第100回天皇杯から「東京五輪」が見える?
天皇杯 JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)は、川崎フロンターレの優勝で終了した。本稿を執筆しているのは、決勝から2日後の1月3日。明日4日には、同じく東京・新国立競技場を会場として、2020JリーグYBCルヴァンカップ決勝が開催される。この日から仕事始めという方も多いだろうから、第100回天皇杯の記憶は、急速に風化していくのは間違いない。
今大会、1回戦から決勝まで密着
元日・新国立で最も気の毒だったのは誰か? 【決勝】川崎フロンターレ vs ガンバ大阪
■「元日・新国立」に至るまでのアクシデントの連続 2021年が明けた。天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の決勝は、晴天の下、東京・新国立競技場で行われることとなった。ここを訪れるのは、昨年の元日に続いて2度目。昨年は取材申請の競争率が高いと聞いていたので、申請受理のメールを受け取った時の感動は例年以上であったことを思い出す。今年はどうか。JR千駄ヶ谷駅に降り立った時、昨
もっとみる波乱なき中村憲剛の等々力ラストゲーム【準決勝】川崎フロンターレ vs ブラウブリッツ秋田
■「中村憲剛一色」となっていた地元商店街 12月27日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の準決勝2試合が開催された。この日は13時から等々力陸上競技場にて川崎フロンターレvsブラウブリッツ秋田が、そして16時から吹田スタジアムにてガンバ大阪vs徳島ヴォルティスが行われる。今年の天皇杯は、5回戦から準決勝までは、ずっと2試合ずつという変則レギュレーション。アマチュア2強
もっとみる「ジャイキリ」を予感させた好ゲーム【準々決勝】ブラウブリッツ秋田vs福山シティFC
■福山は今大会の「東京クルセイド」である 12月23日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の準々決勝2試合が開催された。2年前までは天皇誕生日の祝日で、毎年のように天皇杯の試合が日中に行われていたが、令和の時代は平日。よって、ユアテックスタジアム仙台でのブラウブリッツ秋田vs福山シティFC、そしてノエビアスタジアム神戸での徳島ヴォルティスvs Honda FCは、いずれ
もっとみるJクラブへの挑戦権をめぐる戦い【5回戦】Honda FC vs 筑波大学
■《卒業したらうち来ない?》という横断幕 12月20日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の5回戦2試合が開催された。広島で13時にキックオフとなった福山シティFC vs 福井ユナイテッドFCは、福山が3-0で勝利してJクラブとの対戦の権利を得た。コロナ禍でレギュレーションが大きく変更されたとはいえ、広島県1部(J1から数えて6部)のクラブが、ここまで勝ち上がるのは異例
もっとみるカップ戦で実現した新旧JFL王者の対戦【4回戦】ヴェルスパ大分 vs Honda FC
■JFL4連覇のHonda FCと初優勝のV大分 12月13日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の4回戦4試合が各地で開催された。3回戦までは関東勢同士や九州勢同士など、地域ごとの対戦が続いていたが、4回戦からは「地域代表」同士による、天皇杯らしい顔合わせが実現。勝ち上がった8チームは、この4回戦と5回戦で2チームに絞られ、準々決勝でJクラブと対戦する権利が与えられる
もっとみる「地域代表」のラスト1枠をめぐって 【3回戦】高知ユナイテッドSC vs FC徳島
■高知と徳島、それぞれが痛感する「全国の壁」 11月11日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)3回戦の残り1試合が開催された。香川県丸亀市のPikaraスタジアムで、19時にキックオフを迎えるのは、高知県代表の高知ユナイテッドSCと徳島県代表のFC徳島。両者は昨シーズンまで四国リーグで優勝争いをする間柄であったが、昨年の地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)で
もっとみる関西リーグからのリターンマッチ 【3回戦】アルテリーヴォ和歌山vsFC TIAMO枚方
■コンペティティブな関西リーグ勢同士の対戦 10月28日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の3回戦7試合が開催された。今回、私がチョイスしたのは、和歌山県代表のアルテリーヴォ和歌山と大阪府代表のFC TIAMO枚方という顔合わせ。会場は、ヤンマースタジアム長居である。和歌山は2009年以来、12大会連続の天皇杯出場。対する枚方は、今大会が初出場。両者は関西リーグ1部に
もっとみる元日本代表、我那覇和樹の現在地 【2回戦】福井ユナイテッドFCvs富山新庄クラブ
■移動による感染リスクを考慮したトーナメント 9月23日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の2回戦15試合が開催された。今回、私がチョイスしたのは、福井県代表の福井ユナイテッドFCと富山県代表の富山新庄クラブの顔合わせ。どちらも北信越リーグ1部所属で、8チーム中、福井は1位で富山は4位となっている。リーグ戦では9月13日に対戦したばかり。富山のホームで行われた試合は、
もっとみるコロナ禍での第100回天皇杯 【1回戦】ラインメール青森vs札幌大学
■JFAが重視した第100回大会開催 9月16日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)の1回戦16試合が開催された。私は青森県八戸市のプライフーズスタジアムで開催された、青森県代表のラインメール青森と北海道代表の札幌大学のカードを取材。マッチナンバーは「3」だが、キックオフは13時と16試合の中では最も早い。平日の昼に試合が行われるのは、スタジアムに照明設備がないためだが
もっとみる100回目の天皇杯漫遊記 イントロダクション
■天皇杯とは正式名称は「天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会」。1921年から始まった日本で最も伝統のあるサッカーの日本選手権大会であり、JFA登録種別の第1種登録があれば予選に参加可能なオープントーナメントである。太平洋戦争などの理由で過去8大会が中止となったが、2020年には第100回記念大会が開催された。
■第100回大会のフォーマット新型コロナウイルスの流行により、日程やレギュレーシ
なぜ天皇杯のnoteマガジンを発売するのか?『100回目の天皇杯漫遊記』まえがき
日本サッカー界とJFA(日本サッカー協会)にとって、2020年から21年にかけての2年間は、極めて重要な意味を持っていた。
まず2020年には、東京五輪とパラリンピックが開催されることになっていた。そして2021年は、JFA創設からちょうど100周年に当たる記念すべき年である。この2つのビッグイベントをつなぐのが、天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)。大会は当初