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虎に翼 サイドストーリー

連続テレビ小説「虎に翼」が無事最終回を迎えました。ドラマですのでフィクションではあるものの、実際の裁判を事細かく検証・精査して作られ、かつ現代に通じる問題提起をきちんと行ってきた、報道するつもりで書いた作品だと個人的には感じています。
もちろん、憲法・法律・社会問題の裏付けがあって成立するドラマですが、この作品を成立させるもう一つの要素があります。

名古屋市市政資料館


2024.9.23撮影

この建物なしには成立しないと言って良いぐらい、裁判のシーンの多くがここで収録されています。かつて名古屋控訴院(現在の名古屋高等裁判所)として使われた建物ですので、時代背景や裁判を再現するにはもってこいの場所である事は確かです。
でも、ここでロケをする価値はそれだけではないのです。

現役の公文書館

市政資料館は、名古屋市の正式な行政文書を保管・管理している現役の公文書館です。また、一部の司法資料も保管しています。ドラマの考証に限らず、調査・検証する時にはどうしても記録が必要となります。公式な記録を残してある事が資料館の大きな価値ですし、ロケだけでなく脚本作成に活用した可能性も大いにあるのではないか、と思います。

声が未来を変える

「虎に翼」では、「上げた声が未来を変える事がある。」という趣旨のセリフが度々登場しました。実は、この市政資料館も声を上げた事で残った建物なのです。
名古屋の各裁判所を現在地(名古屋市中区三の丸)へ移転する際、一度は取り壊しが決定していました。しかし、有志による保存の声が上がった事により、建物は名古屋市へ引き渡され、行政等の資料を保管する公文書館として存続する事となりました。後に「市政資料館」として一般市民に公開されるようになりました。現在では国の重要文化財にも指定されています。さらに、結婚式の前撮りに使われたり、各種イベントが開かれたりと市民の憩いの場にもなっています。
「声を上げて未来を変えた」事を体現した場所でもあるのです。「虎に翼」市政資料館ロケのもう一つの意味が、きっとそこなんだと思っています。


ステンドグラスも美しい。

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