ピグマリオン効果をリハビリに活かす!
あなたは褒められて伸びるタイプですか?
それとも叱られて伸びるタイプですか?
令和の現在、一部の業界を除いて、叱られたのをバネにして成長していく人が減っている印象があります。
パワハラ問題も怖いですしね…
さて、今回は「褒められて伸びる」という現象に対して深掘りしていきます。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、
教師の期待によって学習者の成績が向上する、心理的効果のことです。
成長を期待して接すると、無意識のうちに丁寧に指導したくなるものです。
生徒の方も期待されていると感じると、期待に応えようと力が入りますよね。
重要なのは、「この人は期待できそう」と思うことに根拠はいらない、
という点です。
医療への応用については、
患者や医療従事者側の期待が、治療効果に影響する可能性があるという仮説が立てられています。
ピグマリオン効果を医療現場で活用するためには、
患者に対する信頼関係の構築やポジティブな言葉遣いが重要であることは間違いなさそうです。
ピグマリオン効果を治療に活かす3つの方法
1、ラポールを形成する
まず大前提として、患者さんから信頼される必要があります。
考えてみれば当たり前ですが、
どうでもいい相手から期待されたところで、それに応えようとは思いませんからね(笑)
社会人としての礼儀作法はもちろんですが、
理学療法士としての知識、技術の習得が欠かせないと僕は考えています。
膝が痛い、うまく立ち上がれない、歩くのが大変…
患者さんの訴えに対して、その理由と対処法を分かりやすく説明し、一度の介入で多少なりとも変化を感じさせる。
「この人の言うことなら聞いてみようかな」
そう思わせる力がどうしても必要になります。
コミュニケーションで信頼関係を構築する方法については、
別の記事を参考にしてみてください。
2、エビデンスを参照する
脳卒中の回復曲線や膝の手術後の疼痛改善率など、ある程度の予後予測を立てることも大切です。
そのためには各種ガイドラインを参照してもいいでしょうし、
一番実感として抱きやすい過去の担当ケースを参考にしてもいいと思います。
いずれにせよ、
「この疾患で今現在このくらいなら、おそらく◯◯程度までは良くなるだろう」
という”ポジティブな“予後予測を立てられるようになるといいですね。
現段階ではどこまで良くなるか分からない…あるいは、これは厳しそうだ…
といった重度ケースであっても、
「もしかしたら⚫︎⚫︎まではいけるかもしれない」
といった前向きな予測を立ててみてください。
3、声かけを工夫する
ある研究では
「この問題は難しいけれども、君なら解けるはずだ」
という発言をすると、生徒はその問題に対してポジティブなイメージを持ち、解くことができるようになったそうです。
難易度のやや高いリハビリプログラム施行時に、
「この訓練は少し難しいですが、〜〜さんならきっと出来る(ようになる)と思います」
という声かけをしてみてください。
ホーソン効果を利用する
ピグマリオン効果とよく似た心理作用にホーソン効果があります。
ホーソン効果とは、
他者から注目されることによって意思決定に変化が生じ、良好な結果に結びつく現象のことです。
誰しも「他人からよく見られたい」という願望があります。
それが信頼する相手であればなおのこと。
さらに自分が注目されていると思えば、より一層その思いは強くなるでしょう。
医療現場で考えてみると、
信頼する治療者に期待されていると感じることで、患者側に行動変容が起こり結果的に病気が良くなります。
「最近自主トレ頑張ってますね」
「さっき食堂まで歩いていた姿勢、良くなってましたよ」
などなど、
「私はあなたに関心があります」
ということが分かる声かけをしてみるのがオススメです。
ゴーレム効果に気をつける
最後に、注意点としてゴーレム効果を紹介します。
ゴーレム効果とは、
教師が生徒に対して低い期待を持ち、能力を低く見積もることで、
生徒の成績が低下する現象を指します。
「この人はダメだから、期待しないでおこう」
という態度を取ることで、その人が本来持っている能力を発揮できなくなってしまいます。
医療現場で考えると、
周囲からの期待や関心を持たれないと感じている患者さんは、回復速度が落ちたりパフォーマンスが下がってしまいます。
エビデンスや各種知識をなまじ知っているがために、
「この患者はこれ以上は良くならないだろう」
と思い込んでしまうと、本当にそうなってしまう可能性があるので注意が必要です。
また、
いち職員としてもゴーレム効果が作用してしまうことがあるで気をつけましょう。
「先輩もどうせ私には期待してないし」
といった風に。
難しいですが、他人からの評価を気にし過ぎたり、同僚と比較し過ぎたりすることが、
低パフォーマンスのきっかけになってしまうことがあります。
以上、
普段のリハビリに加えて各種心理効果も利用してみると、患者さんの更なる回復に貢献できるかもしれませんよ!
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