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原因と結果を取り違えていると思うような効果を得られないという話


皆さんは自分の症状に“病名”を示された時、どんな風に考えますか?

例えば、急に腰の痛みと足のしびれが現れたため病院へ行って診断を受けたら“腰椎椎間板ヘルニア”と診断されたとしましょう。

「そうか、自分はヘルニアになったのか。それならヘルニアを治さないと腰の痛みやしびれの症状は良くならないな。」

貴方はこんな風に考えませんか?

しかしながら「ヘルニアが原因で痛みやしびれが出ている」という思考は、場合によっては症状の改善を妨げてしまう可能性があります。

それはなぜか?

今回の記事はそんなお話です。良かったらお付き合いください。


病名はあくまで"結果"であり、原因ではない


まず結論を言うと、病名そのものは原因ではありません。あくまで病名は結果。結果として生じた病態に名前をつけ、情報共有しやすくカテゴライズされたものが"病名"です。

さきほどの"腰椎椎間板ヘルニア"を例に挙げてみましょう。腰のヘルニアはシンプルに考えると、

「腰の骨と骨の間にあるゼリーみたいなクッション材(椎間板)が骨の後ろに押し出され、神経が圧迫されることで痛みやしびれ、脱力感などを生じさせるもの」

と捉えることができます。

つまり、「椎間板が後ろに飛び出す原因」があるということ。

したがって、腰椎椎間板ヘルニアの症状をできるだけ早く改善させるためには、「椎間板が後ろに飛び出す原因」をなんとかしないといけません。

では、「椎間板が後ろに飛び出す原因」は何かといえば、「背中や腰が丸まり、背骨が曲がることで椎間板が後ろに押し出される力学的な力が生じている」からです。

ということは、症状を出現させている根本的な問題は

  • 背骨のまわりの構造的な問題

  • 背骨の周りにかかる力学的な負荷の問題

となります。

冷静に考えてみてください。薬を飲むことで背骨まわりの構造的な問題が解決すると思いますか?
痛み止めの注射が、背骨のまわりにかかる力学的な負荷をどうにかしてくれると思いますか?

痛み止めの注射や飲み薬では、“腰椎椎間板ヘルニア”の根本原因は解決出来ないのです。


痛み止めの飲み薬や注射は無駄なのか

とはいえ、実際のところ腰椎椎間板ヘルニア自体は自然に良くなるケースがほとんどです。痛み止めで痛みを抑えて時間を稼げば、気が付いたら症状がなくなった‥という経過を辿る可能性が高いため、治療でも『痛み止めで痛みを誤魔化しながら時間が過ぎるのを待つ』という手段はよく選択されます。

つまり、「痛みやしびれを一時的に抑える」という意味では、痛み止めの注射や飲み薬は非常に有用だと言えるでしょう。

勘違いしてはいけないのは、
「痛み止めの注射を打ったから治った、薬を飲んだから治った」
わけではない
ということ。

薬や注射のおかげでヘルニアが治ったから症状が出なくなった、という認識は、厳密にいえば間違いなのです。



本当の原因を解決していなければ、再発の可能性が高い


実際のケースとして、根本的な問題を解決していなくても症状自体が無くなるという症例はたくさんあります。

俗に“五十肩”と呼ばれる肩関節周囲炎なんかはその良い例。痛い痛いと思いながら日常を過ごしていたら、ある時ピタリと痛みが無くなった…といった話は良く聞きますし、実際に経験した方も少なくないでしょう。

しかし、肩関節周囲炎もその多くが筋肉や関節の構造や動きの問題から生じるものです。したがって、炎症が治まり痛みが無くなったとしても根本の問題は解決されないため、可動域の制限が残ったり再発に繋がるといった可能性が高くなるのです。


筋肉を使って、ちゃんと関節を動かそう

つらつらと書いてきましたが、この記事で私が言いたいことをまとめます。

  • 病名があなたの症状を作り出しているわけではない

  • 普段の姿勢や動作、筋肉や関節の使い方のクセから生じる過剰な負担が痛みやしびれを生じさせる

  • だから正しい姿勢や正しい動作を身に付けることが大事

よく、お医者さんの言うとおりに薬を飲んだり運動をしているのに筋肉や関節の痛みが全然良くならない…という声を耳にします。そんなあなたは、もしかしたら“原因”と“結果”を取り違えていませんか?

今日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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