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4多世代家族と共に生きる「母と祖母の介護からみえる今」
3年前を振り返る
2021年の3月に40歳で編入学した通信制の大学をやっと卒業し、保育士資格と幼稚園教諭の免許を取得した。しかし、7年続けてきた障害のあるお子さんの支援の仕事(地元の幼稚園)を3月で辞め、4月からは主に母と祖母の介護と9月に出産を迎える末の妹のサポートに専念する決断をしていた。大学の後輩にあたるMさんは保育関係の専門家で、2021年6月に妹の出産の件で相談の連絡を入れた。その話をしているうちに我が家の状況や私の今までの歩みに話は及び、母校の大学で教員をしている彼女から「家族心理学」の授業で「成人期から老年期」までの事例としてオンラインで体験談を話して欲しいと依頼を受けた。
2021年の7月に、母校の大学の「家族心理学」の授業で「私の人生や家族との関係や距離」について話をした。当時91歳の祖母と74歳の母、都内勤務の45歳の妹(次女)、中国人の義弟、小学校5年生と3年生の姪と私の7人家族で暮らしていた。祖母と母の認知症の進行による介護に翻弄されながらも在宅で介護する覚悟を決める一方で、隣町に住む43歳の末の妹の出産(初産)を9月に控え、緊張感の中で過ごしながらオンライン授業で話をしたのを覚えている。
#想像していなかった未来
Mさんからの依頼で2021年7月から4回、家族心理学の授業で話す機会を与えてもらってきた。そのことで毎年、振り返りの時間をもらっている。話を聴いてくれた大学生の感想から考えさせられることも多い。そして、毎年話す度に、自身も家族も状況が変わっていて、それが想定外の方向に進んでいる。人生とは分からないものだと思う。今日は4多世代家族との暮らしで体験している母と祖母の介護からみえる今の私の家族の話をしたい。
在宅介護から施設入居へ
4月に94歳になった祖母は2022年4月に市内のケアハウスに入居し、来月78歳になる母は2022年5月に市内のグループホームに入居した。母と祖母と離れて暮らして2年半余り経つ。2021年の春にあれほど強い覚悟をもって在宅介護を選んだが、多くのことを抱え込み過ぎ、在宅介護の限界を何度も味わい、苦しみもがき続けた果てに施設入居の決断をした。そのために色々動き、タイミングよく施設の空きが出て、2人と離れて暮らすこととなったが、今、家族の一人ひとりが自分らしく生きられるようになってきたように感じる。この3年間の月日の中で、家族にとっても私にとっても大きな変化が起きることになるとは当時は想像もしていなかった未来だ。思い返せば私の人生も想定外のことの連続であったのだから、日々変化するのは寧ろ自然なのかもしれない。
我が家は母家のほかに別宅が敷地内にあり、今は主に次女親子が母家で生活し、私は別宅で生活しているが、はっきり分かれているわけではなく、お互いの住居を行き来し、ある意味では一緒に暮らしている。因みに母と祖母の入居前は、母と祖母は母家で生活し、私も寝起き以外は主に母家で生活していた。また、2021年9月に隣町で暮らす末の妹に子どもが生まれてから、産休が明けるまで妹のところへ週に2~3回サポートに入っていた。今年の9月に3歳を迎えた姪は驚くべき速さで発達・成長し、末の妹は悪戦苦闘してはいるものの我が子への愛情を存分に発揮している。妹の奮闘ぶりに触れ、母親の担う育児や家事負担の多さも実感してもいる。
家族と私の今とそれまで
この1年半くらいで自分のやりたいことをやれるようになったが、施設入居までの準備や手続き、契約、入居後の諸々の用事や通院の付き添い等、自分の心も環境も落ち着くまでかなり時間も労力も費やした。また、私は全身性エリテマトーデス(SLE)という難病で毎日強い薬を服用して生活している。SLEは指定難病で、日常生活では日射や過労、ストレスに気をつける必要がある。現在は8週に1度通院をしていて、病状は落ち着いており、先週も薬が減量となった。今、自分の活動範囲がかなり広がり、多くのことをやっているが、それがやりたいこと、楽しいこと、充実感を得られることだからこそ、病状も安定しているのだと思う。
また、母と祖母の施設入居の決断をしたのは私だった。「自分ではない他者の人生(家から離れて暮らすこと)を決めることを私がしていいのか、それが正しいのか」にずっと苦しんできた。三姉妹の思いも当時は違った。しかし、苦しみぬいた結果、母と祖母と離れて暮らす選択をしたことで、今、家族一人ひとりが各々の暮らしを生きられているのだとも思う。そして、その決断の背中を押してくれたのは彼だったし、苦しみに寄り添ってくれた家族以外の人がいた。そこは大きかったと思う。
母と祖母は落ち着いた環境で暮らしている。そこに私たち三姉妹が時々会いに行ったり、外で一緒に過ごしたり。また三姉妹家族の距離感もほどよくなっているのではないかと思う。昨日、祖母に会いに行くと祖母は、私と次女親子が一緒に住むことのメリットを口にしていた。女ばかりの家系の中に義弟がいてくれることで広い庭の草刈りや植木の手入れも担ってもらえるし、防犯的な面でも私は助かる。
自分自身や家族の歩みを振り返る
3歳から94歳の老若男女4世代家族とのかかわりを通し、日々様々な経験をしている。家族との関係で苦しんだこともたくさんある。これからも苦しむかもしれない。でもやっぱり愛されてきたからこそ今の私があるのだと思う。だから笑っていられる自分がいる。
様々な生き方、そして家族のあり方が問われている現代だからこそ、自分自身の人生や家族の歩みを振り返ることで見えてくる何かがあるのではないかと思う。