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『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち(著者:レジー)』〜「ファスト教養」の裏側を知る:自己責任論と現代の教養論
【内容】
手早く解説本やYouTubeで教養を得ようという昨今の時流の現状とその分析を語った本。
※ネタバレ(?)します。
【感想】
耳が痛くなるような本でした。
というのも、この本を手に取ったきっかけが、YouTubeでこの本の編集者の話を見たことだったからです。
その編集者は、三宅香帆さんの著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の編集にも携わっている方でした。この二つの本には、「そもそも教養とは何か」を問い直すという共通した課題意識が感じられます。
また、両方の本で映画『花束みたいな恋をした』を例にして、論を深めているのも共通している点でした。
そもそも、この本の論旨を発展させる形で書かれたのが、『なぜ働いていると〜』の本であるといった印象も持ちました。
著者は、現代の「ファスト教養」の原因として、2004年頃の自己責任論の台頭を挙げています。その年は、堀江貴文がメディアに登場し、小池百合子や小泉純一郎が活躍していた時期であり、「自己責任」という言葉が社会に定着していった時代でもありました。その流れが後に、勝間和代や橋下徹、ひろゆきといった人物たちの主張へと繋がっていく、という分析が印象的でした。これらの指摘を通じて、私が知らなかった社会的な流れを改めて読み解くことができました。
また、『ファスト教養』というキャッチーなネーミングには、現代らしい感覚がある一方で、レッテル貼り的な側面も感じました。それでも、教養やリベラルアーツが改めて問い直されている現代だからこそ、この本や『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が注目を集めるのだと思いました。
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