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『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる(著:畑中章弘)』〜フィールドワークで見る人間社会──宮本常一と日本の民俗

【内容】
庶民からの視点で日本の歴史を捉えた民俗学者である宮本常一の評伝。

【感想】
「姥捨を残酷とは思わなかった」
深沢七郎の小説『楢山節考』が世間に広まり、「姥捨」(年老いた老人を山に置き去りにする風習)が知られるようになった際、民俗学者の宮本常一は当時の対談の中でこう語ったそうです。
現代を生きる私のような人間にとっては驚き、あるいはショックを受けるような言葉ですが、「姥捨」が日常の一部だった時代に生きた人ならではの感覚だとも感じます。
社会的に下層と見なされがちな人々の暮らしや風習を丹念にフィールドワークし、その当時の人々のリアルな感覚を記録した宮本常一のような研究は、後世にとって非常に貴重な財産だと思います。
また、この本で繰り返し言及されている東北地方と関西地方における人間関係の違いについても、自然環境や社会構成の影響がいかに大きいかが、立体的に浮き彫りになっています。これらの考察を通じて、風習や価値観がどのように形成されるのかを改めて考えさせられました。

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