質問155:まだパワーはあまり出ない。有効な筋トレは?
回答
▶「打ち方」は変えなくても
「当たりがすごく良い」「コースが物凄くいい」というのは、プレーされていて実に「爽快」だろうと想像します。
ぜひ、その調子を継続されてください(関連記事「打ち方は同じなのに調子が『いい時』と『悪い時』があるのはなぜ?」)。
▶スピードボールを打つ「か細いジュニア」
前にも書いたことがありましたが、ボディビルダーだからといって、時速200キロ以上のサーブが打てるわけではありません。
一方、か細いジュニア選手であっても、大人顔負けのスピードサーブを打つことがあります。
後述するとおり、筋肉を鍛えるトレーニングをもちろん否定はしませんが、筋肉をつけたからといって、ショットのスピードやパワーアップに直接つながるかどうかまでは、分かりません。
足が速くなるか、バランスを保てるかどうかというのは、一要因ではあったとしても、筋肉しだいでは「ない」というのが、テニスゼロの見解です。
▶M・J・フェルナンデスと伊藤あおい選手の例
これも前に書いたことがありましたが、昔、女子にメアリー・ジョー・フェルナンデスという選手がいて、彼女は腕立て伏せが、10回もできなかったと伝え聞きます。
それでもか細い体格でりながら、トップ10プレーヤーとして活躍しました。
※最近の新たな情報では、伊藤あおい選手の握力は、別の意味で驚く驚異の12キログラム!
▶怪我の予防とコーディネーショントレーニング
そもそも筋トレというと、筋肉に力を入れ続けて肥大させる意味合いが一般的には強く、そのためにはバネや反動等、スポーツとしての効率的な動きは、トレーニング中は基本的にタブーです。
そのようにして装備された筋肉が、果たしてバネや反動等の動きが連続するテニスで本当に有効かどうか。
ただし、必ずしも否定しないというのは、強化の目的であれば怪我の予防にはなるでしょうし、軽めのウェイトを扱うことで、神経を目覚めさせて脳からの指令を行き届かせやすくするコーディネーション的な意味合いならば有効と考えるからです。
▶耳を動かすように
神経を目覚めさせるというのは、使われずに脳からの信号が行き届きにくくなっている箇所を、動かせるようにするのが狙いです。
端的に言えば、通常耳の筋肉は一般的に大きく動かせないですが、ここに信号を行き届かせるように働きかけ(動かすための神経や筋肉は退化しているだけで備えている)、動かせるようになる覚醒を、テニスでは全身の必要となる筋肉に対して促すという意味です(そのための一手段として、後述の「不安定」がキーワード)。
▶筋肉の「使用頻度」と「サイズ」に気をつける
怪我の予防・防止であれば、下記の2点に留意されるとよいかと思います。
1.テニスでよく使う筋肉の強化
2.小さくて傷めやすい筋肉の強化
1.は、腹筋や背筋、四肢といったエリア、2.は手首やヒジといったパーツでしょうか。
よく使う部位は、傷めやすいですし、小さな筋肉は、負担がかかりすぎるとやはり耐え切れなくなります。
ヒジや手首は、よく使ううえ、小さな筋肉・腱にしか支えられていませんので、両方の意味で怪我の予防に努めるべきかもしれません。
とはいえテニスは、走って止まって打って切り返しての全身運動。
結局は「バランスよく」というふうになるのかもしれません。
▶安定よりも「不安定」
また、肝要なのは安定よりも不安定だと、テニスゼロでは考えます。
安定がダメだというとまた語弊がありますが、例えば安定した整地よりも、不安定な不整地のほうが、固められた地面よりも、ユルユルの砂地のほうが、印象としてはバランスを歪めそうですが、普段使われない筋肉が自然と使われるため、総合的にバランスの取れた筋肉を装備でき、全身的な神経系統の覚醒を促進できると考えられます。
こちらでもご紹介したヒクソン・グレイシーのイメージです。
▶「QOL」を大切にする
もちろん、強化する狙いや目的、年齢、目指すステージによっても、トレーニング方法は違ってしかるべきなのでしょうけれども……。
仕事を持った社会人がプロと同じトレーニングができるわけではないですし(プロはそれが仕事だからできる)、一般プレーヤーがテニスにのめり込みすぎても、QOLを損ねてしまいかねません(関連記事「ゼロ・ポリシー」)。
筋トレに関しては、専門家ではないのであくまでも参考程度に捉えていただけると幸いです。
特にトレーニングというのは、これからやり始めるときに張り切りすぎて、かえって怪我しかねないやぶ蛇になる危険性を孕みます。
それが継続性を挫きます。
ご注意いただければと思います。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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