テニス上達メモ006.自己肯定感が低いと、「ゴメン!」「悪い!」が口を衝く
▶ミスして練習相手に謝るのは本当に「意味がない」
テニスはミスするスポーツです。
どんな上級者でも、プロでも、少し気を抜けば(気を抜かなくても)、簡単にミスします。
初級者なら、なおさらです。
上手くいくショットよりも、失敗するショットのほうが多いくらいです。
ですから「テニスはミスするスポーツ」だとありのままを確認し、ミスしたあとにも悔しがったりしない平常心を培います。
まして自分がミスしたからといって、練習相手に謝ったりするのは、本当に意味がありません。
自己肯定感が低いとそうなる理由は後述します。
▶ミスは「雨」のようなもの
ミスしたからといって「練習相手に謝ったりするのは、本当に意味がない」、そう思えるメンタリティ。
それは、自然現象で雨が降るのと同じように、テニスはミスが生じるスポーツとする認識だからです。
雨が降ったからといって、「悪い」わけではありません。
ですからプロは練習中、ミスしても、めったに相手に謝りません。
それは後述する練習相手の寛容度を高く見積もるリスペクトでもあります。
少なくとも愛好家が1球ミスするたびに「ゴメン!」「ワルイ!」「スミマセン!」などと言うのとは、違う認識でいます。
うっかり「ゴメン!」が口を衝いて出ませんか?
▶自己肯定感が低いと、「ゴメン!」「ワルイ!」が口を衝く
「ゴメン!」「ワルイ!」「スミマセン!」などと口を衝いて出るのは、「自己肯定感」の低さが背景にあります。
「自分には価値がない」イメージが根底にあるから、「ミスしたらせめて誤らないと、練習相手に失礼だ」などという反応になります。
「過剰な感謝」や「過剰な謝罪」や「過剰なへりくだり」や「過剰なあいさつ」や「過剰な笑顔」などは、一見すると「いい人」「やさしい人」のような印象を受けるかもしれないけれど、自己肯定感の低さに由来しています。
▶自分を肯定できないから、人に肯定を求める
そこまで、しなくていい。
しかしそうせざるを得ない人の内実はといえば、人に気を遣いすぎて、人に振り回されて、自分の気持ちないがしろにして、疲れ切っています。
そこまでしないと、人に認めてもらえない、自分を認められない思い込みがある。
自分を自分で肯定できないから、人に肯定してもらおうとする。
しんどいです。
▶隣にいてくれるだけで「安心する人」
何もしてくれなくても、隣にいてくれるだけで安心する人がいます。
何もしてくれなくても、つまり、「そばにいるだけ」で価値がある。
誰であっても、「存在しているだけの価値」があります。
テニスが上手いとか、社長であるとか、親切であるとか、お金持ちだとかの諸条件は抜きにして、「存在自体」に価値がある。
これが自己肯定感の根幹を為します。
▶イメージには「あらがえない」
「そうせざるを得ない」と先述しました。
私たちは、イメージにあらがえません。
「しんどい」とアタまでは分かっていても、自己否定感(自己否定イメージ)があると、「そうせざるを得ない」。
「過剰な感謝」や「過剰な謝罪」や「過剰なへりくだり」や「過剰なあいさつ」や「過剰な笑顔」を「する」のではなくて、「してしまう」「なってしまう」のです。
▶相手に対する「寛容度」を低く見積もる
本当はデスクワークに集中したいのに、人が退勤するたび「お疲れ様でしたー」と、言いたいわけではなくて、「言わざるを得ない」自分がいる。
「挨拶しないでいると機嫌を損ねる」と感じてしまう相手に対する寛容度の低い見積もりが、他者否定的だからディスリスペクトなのです。
また自分には「いるだけでは価値がない」思いでいると、「せめて礼儀正しく挨拶くらいはしなきゃ」という感じ方にもなります。
余裕があって挨拶したい気持ちがあるのはもちろん望ましいのですが、本当はデスクワークに集中したい場合に、苦しくなってしまいます。
イメージにはあらがえません。
▶見返りを求めるのは「領域侵犯」
もちろん、挨拶するのはマナーです。
しかしこちらが挨拶したから、相手も挨拶し返すべきだと強要する(面と向かって言わなくても心のなかで思う)姿勢は領域侵犯。
だけど自己肯定感が低くて他者否定的な人ほど、ここでも(面と向かって言わなくても「マナーがなってない!」などと他者否定的になり、反比例の相関である自己肯定感をますます損ねます。
▶集中したくても「集中できない理由」
本当は仕事に集中したくてもできないのは、そういう理由によります。
テニスでも同じです。
人目が気になりボールに集中できない自分がいます。
だけどそういう人も、人目がない一人でいるときには、高い集中力を発揮できたりするものなのです。
人目が気になって集中できない対処にはこちらをご参照ください。
▶浮かれるから落ち込む「心理的振幅」
ミスショットに落ち込んで、練習相手に謝ったりしなくていいのです。
逆に、素晴らしいショットを打ったあとにも、浮かれなくていいのです。
あまりにもいいショットが打てて、気恥ずかしい気分になったりした経験はないですか?
そんなとき、次のポイントはたいてい、ミスしないように慎重になりすぎて、簡単にミスしたりします。
ちょっとしたミスショットを悔しがるから、ちょっとしたナイスショットにも浮かれます。
一方で、ナイスショットに浮かれるから、ミスショットを一層悔しがります。
「心理的振幅の法則」。
この感情の浮き沈みが「プレー(調子)の波」を生み出します。
▶「強気」「勝ち気」がメンタルタフネス?
なるべくフラットな心の状態「平常心」でいられるように。
ミスショットのあとも、ファインショットのあとも。
これが、「メンタルタフネス」ですね。
「強気」や「勝ち気」や「威勢」や「居直り」ではなくて。
まして、「マウント」「威嚇」「脅し」ではなくて。
一見すると「マウント」「威嚇」「脅し」は自信たっぷりだから、自己肯定感が高そう?
いえ、「マウント」「威嚇」「脅し」はもちろん他者否定的ですから、自己肯定感の低い人と見なせます。
▶ミスしたあとにも落ち込まない、嫌な気持ちにならない練習
とはいえ、ミスしたあとにまったく落ち込まない、嫌な気持ちにならないのは、難しいと思います。
「あーあ…」「チェッ」となってしまいがちです。
だからまず志すのは、ナイスショットが出ても浮かれない方向。
「あっ、自分は今、浮かれそうになっている!」と気づく。
落ち込まないより、浮かれないようにするほうが、よっぽど簡単ですからね。
「落ち込むな」といっても、落ち込むものです。
また落ち込むから、回復する英気を養えます。
こんなときに「プラス思考」「ポジティブシンキング」などで無理やりすぐに、やり過ごそうとすると、喪失体感を自分の中で上手く位置づけられずに見過ごすから、あとで心を病んでしまったりします。
▶「プラス思考」「ポジティブシンキング」の罠
とはいえ、「今はまだ試合中、落ち込んで入られない」。
そんなときの備えあれば患いなしの手引きとして、「浮かれそうになる自分に気づく」。
これが自分を客観視する練習にもなります。
そうすれば感情の振幅が収まりやすくなって、やがてミスしても平常心を保ちやすくなります。
とはいえ、大量リードをまくられてセットを落とすなど、状況によっては落ち込むときも人ですから当然ありますので、「いつでも平常心を保つべき!」などと気負いません。
それは先述した「プラス思考」「ポジティブシンキング」の罠にはまるのと同じで、かえって、マイナス、ネガティブの方向へ逆振りします。
▶客観視で生じる「明鏡止水」の心
浮かれそうになる自分に気づく。
この気づきの力が、専門用語で言うところの「念力」、欧米風でいうところのグーグルなども熱心に企業研修へ取り入れている「マインドフルネス」であり、大げさに聞こえるかもしれませんけれども、本格的な修行になっています
習熟すると、喜怒哀楽のあらゆる感情に対応し、客観視が叶えば心が明鏡止水の凪(な)いだ状態に落ち着きます。
そのためのはじめの第1歩が、「落ち込まない」とか「怒らない」とかよりもグッとハードルを低めた、ここでご紹介している「浮かれない」。
これなら今日からできそうです。
▶一切のケチをつけない1時間限定「ゴールデンタイム」
浮かれない別の方法として、1日のうちの1時間だけは、一切「ケチをつけない時間」を設ける。
私はこれを 「ゴールデンタイム」と呼んでいます。
「このレストランは味はいいけれど、雰囲気があまり…」などと言いそうになったら、「味はいい。」で止めるのです。
「あの人はいい人なんだけど……」などと言いそうになったら、「あの人はいい人。」で止めるのです。
これも自分を客観視する気づきの力、「念力」であり、欧米風に言うところの「マインドフルネス」です。
▶自分に「もっと甘く」する
1時間に限定するのは、そうはいってもひとですから、ケチをつけたくなる場合もあるからです。
諸条件は抜きにして、できなくても、「存在自体」の価値を受け入れるのが、自己肯定感の根幹なのでした。
それにしてもせっかく根づきかけた「マインドフルネス」が、日本では一過性のブームであったとするならば、それは大変な機会損失を憂わざるを得ません。
落ち込んでは、いられないのですけれども。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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