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テニス上達メモ055.あなたらしい「洗練されたフォームの作り方」


▶何をもって「いいフォーム」なのか?


私がフォームは意識しないほうがいいといっても、「やはりフォームは、いいほうがいい」という声も聞こえてきます。

でも、いいフォームって、何でしょう?

何か具体的に決まった形があるのでしょうか?

1.プロみたいなフォーム?

2.バランスが取れたフォーム?

3.動きが滑らかなスイング?

それぞれ検証していきましょう。

▶検証1.プロみたいなフォームの正体は?


テニス雑誌や実用書などで推奨されているのは、これですね。

「ノバク・ジョコビッチは、こうしている」

「ラファエル・ナダルは、ああしている」

本人が意識して「こうしている」「ああしている」かどうかは別にして、連続写真を載せて、これが「お手本」だと決めつける。

ユーチューブテニスレッスン動画などでも、プロの打ち方をお手本にする解説が散見されます。

しかもときに、「ジョコビッチは、サーブのトロフィーポーズで右ヒジが下がっているのはよくない」と、なぜか上から目線???

プロであっても、だれひとりとして同じフォームのプレーヤーはいません。

結論、「プロみたいなフォーム?」の決まった形は、実は存在しないのです。

では、それらしく「見える」のは、一体なぜなのでしょうか?

検証を進めると、判明します。

▶検証2.バランスが取れたフォームの正体は?


これについては、2とおりの見方ができます。

1つ目は、タイミングよく、なおかつ適度な距離感の打点に入れば、バランスは取れるのです。

なぜなら誰しも、打球タイミングのない「素振り」なら、バランスの取れたフォームになるものです。

アンバランスになるのは、ボールとのタイミングが間に合わなかったり早すぎたり、あるいは距離が遠すぎたり近すぎたりして、打点に入れなかった結果です。

2つ目。

体はあえて、「バランスを崩してくれている」という対応も、忘れないでください。
 
いつも理想のタイミングで、適度な距離感の打点に、入れるわけではありませんよね。

そんなとき、体はあえて「バランスを崩す対応をしてくれる」のです。
 
たとえば遠いボールに対する、ジョコビッチのスライドフットワークを駆使した「開脚対応」

体がどっ開きで、いわゆる検証1.で取り上げた「お手本」と比較すると、とても「褒められたフォーム」ではありません。

だけどそれこそが、実は見方によっては「最もバランスの取れているフォーム」になっているのです。 

https://youtu.be/nZ2vK_gF1Q8
 

届くか届かないかの遠いボールに対して、お手本どおりの肩を入れた、スクエアスタンスで対応しようとしたら、「空振り」します

開脚対応ばかりではありません。

タイミングが遅れたときには、体はあえてのけ反って、対応してくれているのです。

こんなとき、お手本どおりに軸を保ったまま、さらに後ろから前への体重移動もしようものなら、「窮屈な詰まった打ち方」になるのは必然です。

いつもタイミングよく打点に入れない以上、そうなった場合に、体はバランスを「崩してくれている」のです。

そしてそれが、「最もバランスの取れているフォーム」の正体なのですね。

https://youtu.be/TC5yc32EnL4

▶検証3.動きが滑らかなスイングの正体は?


これも2とおりの見方があります。
 
1つ目は、体の動きの滑らかさは、ボールと同調して動くからこそ現れます。
 
ところがフォームを意識すると、人間に備わる「一時にひとつ」の認識システムにより、ボールは「無視」されます(意識すると、文字どおりボールは「視え無く」なるのです)。

その結果、同調が途切れます。

音楽に合わせて踊るのに、耳をふさいでいると動きが合わないから、ダンスがギクシャクするのに似ています。

テニスの場合、ボールとの同調が途切れていると、体は動きを合わせる対象がないからギクシャクします

そして2つ目の見方。

体というのは、意識して動かそうとすると、ギクシャクするようにできているのです。

つまりフォームを意識すると、動きが滑らかでなくなるのです。

今すぐ、確認してみましょう。

私に指摘される今の今までは、まったく意識していなかったにも関わらず、「息苦しくなかった」はずです。

しかし、「吸って、吐いて」の呼吸を、「意識」してみてください。

無意識で行なっていたときよりも、少なからず「息苦しさ」を覚えるはず。

体を意識して動かそうとすると、「呼吸すらこうなる」のです。

これが、テニスのフォー厶やスイングだと、なおのこと。

意識すると、動きの滑らかさが損なわれるのです。
 
にも関わらず常識的なテニス指導では、「テイクバックは、上から引くことを意識しましょう」「ボレーは、ラケットを立てることを意識しましょう」「スマッシュは、バンザイしながら打点に入りましょう」「サーブは、プロネーションを意識しましょう」

といった具合に、意識させるオンパレード。

こうして、呼吸を意識すると息苦しくなるのと同様に、テニスコート上ではロボ化されたギクシャクする動きのプレーヤーが、量産され続けます。

逆に言えば、ボールに集中して動いていれば、同調が起こり、「一時にひとつ」の認識システムに従って体の動きも意識されず、無意識で呼吸できていたのと同様に、スイングも滑らかになる

結論。

ボールに集中していれば、形は違えどフォームは自然と、滑らかに洗練されてくるのです。

これが、世界のトッププロたちのフォームはそれぞれ違っていても、みんな一様に整って見える理由です。

▶ボールに集中する「癖をつける」


最後に付け加えます。

「では、練習ではフォームを意識して、試合ではそれらは気にせず、ボールに集中すればいいのではないか?」などと思われるかも知れませんけれども、そうは問屋が卸しません。

試合ではボールに集中しているつもりでも、練習でフォームを意識していたのに近いシチュエーションが再現されたならば、思わず「テイクバックは……」「ラケットを立てて……」「バンザイしながら……」「プロネーション……」が、脳裏をかすめるのです。
 
※ちなみに、「バンザイしながら」だと、とてもではないですが、動きにくくなりますけどね。
 
だけどスマッシュの指導では「相手のロブが上がったらすぐにバンザイ!」などと伝えられます。
 
すぐにテイクバック!」も同様に、まったくおすすめできません。

フォームを意識する練習は、意識する「癖になる」から、やっぱり「試合ではフォームは気にせず、ボールに集中すればいいのではないか?」は、問屋が卸さないのです。
 
ですから、ボールに集中しましょう。
 
ボールに集中する「癖をつける」のです

そうすれば形は違えど、自然と滑らかに洗練された、整って見えるスイングになります。

状況に応じた、あなたらしいフォームが、そこに現れるのです

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero