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質問131:試合中に吠えるのは、集中力が切れている?

長時間の練習や3セットマッチなどでずっと集中し続けるのは厳しいですよね?あとジョコビッチやナダルは試合中にすごく吠えたりするときがありますがそのときは吠えることに集中するので集中力がきれているのでしょうか?

回答


▶剣道の「ガッツポーズ」


うーん、どうなのでしょうね?
 
基本的には私は、喜怒哀の(たとえそれが喜ばしいことであっても)、感情的にどれかひとつが強くなると、集中力は下がると思っています。
 
たとえば何か成功を収めたとする。
 
喜ばしいのはもちろんですけれども、その心理状態というのは、対象を認識する集中とは、違うように思うのです。
 
剣道は人の命を奪う切り合いですから、ガッツポーズしたりするのはもちろんのこと、喜びを表現すると注意を受けたり、判定が取り消されたりしますよね。
 
思わずガッツポーズが出てしまうならば、やはり喜びに気持ちが逸れていて、試合に集中していません

https://www.youtube.com/watch?v=D-yx1vM5_vY

頑張ろうと努力したりするのも、集中を妨げます
 
もちろん怒りとか悲しみの心理状態では、集中しづらいのは言わずもがなです(「ピート、大丈夫かい? 続きは明日にしようか?」)。
 

▶叫びは「リセット」

 
ただ、集中力も「力」ですから、筋力のように上げっぱなし、入れっぱなしでは、度を超すとやはり疲労します。
 
そういう意味では、吠えるのはいったん抜いて集中力を高め直す「リセット」にもなっているのかもしれません。
 
集中力を高めなければならないのはインプレー中なので、叫びはそのインプレーの途切れたアウト・オブ・プレー時の「リセット」になっているのではないでしょうか。
 
細かいことを言うと、叫んでいるその瞬間、ポイントが決まったあとのボールが転がる回転、あるいはボールパーソンが手にしたボールの毛羽は、見えていないでしょうからね。
 

▶集中の2軸

 
上達には2軸あるのと同じように、集中にも2軸があります。
 
ひとつは「高さ」
 
もうひとつは「長さ」
 
たとえるならば、短距離走者のスプリンターと、長距離走者のランナーですね。
 
いくらウサイン・ボルトが速いからといって、100m走のスピードで42.195キロメートルは走り切れません。
 

▶「高さ」と「長さ」、テニスで最後に勝つのはどっち?

 
テニスには集中力の、「高さ」と「長さ」のどちらも必要なのですけれども、最後に勝つのは「長さ」です。
 
なぜならテニスの試合には「時間制限」がないからです。
 
時間制限のあるバスケットボールやサッカーなら、前半にガッと集中力を高めて大量得点すれば、あとはゲーム終了まで逃げ切れるかもしれません。
 
こちらでご紹介した「にゃにゃふん」。
 
しかしテニスは毛色が違います。
 
3セットマッチで0-6、0-5からでも長距離走的な集中力の「長さ」があれば、まくれるのです。
 
こちらでご紹介した、ガブリエラ・サバティーニ対するメアリー・フェルナンデスによる大逆転です。

https://youtu.be/VzvfAI1y9pU

▶集中とペアを組む唯一の「例外感情」

 
感情はその種類を問わず強まると集中力が落ちるとお伝えしましたけれども、唯一の例外が喜怒哀楽の「楽」、すなわち「楽しい」感情は集中力と強力ペアです。
 
ラファエル・ナダルはボールを追うのが大変な思いなのではなくて、ボールを追うのが楽しいから、あれだけの「動きたがる体」になる。
 
犬が尻尾を振って走り回るというけれど、あれは感情表現なのですね。
 

▶子どもにとって「かけがえのない経験」が奪われるとき

 
いつも同じ例ばかりで恐縮ですけれども、日常の変哲もない生活音も、集中して聞くから、ASMRは楽しいのです。
 
雨音はショパンの調べです。
 
集中すれば
 
幼い子どもがこぼしたミルクでピチャピチャと遊び始めたなら、それは「ゾーン」「フォロー」の入り口なのでした。

親や大人が止めると、「かけがえのない経験」が奪われます。
 
子どもは集中しています。
 
楽しいのです。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero