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質問133:伊達公子選手はどうやって予測している?
(※過去にいただいたご質問につき、現在とは変化している諸行無常。別れも、たった一度きりの今生を彩る人生の大切なワンシーン)
お世話様です。
1. 動画のようにボールを見る。
2. “今! ここ”で打つなど大変参考になっております。
Q1. ただ、クルム伊達選手などは相手の体の向きや目線でクロスかストレートを判断されているようです。
これについてはどうお考えでしょうか?
Q2. “短距離走のようにスプリットを踏む前まではステイしていろ”との事ですが
(※中略)
どうぞよろしくお願い致します。<(_ _)>
回答
▶答えは明確に「ノー」
Q1につきまして。
クルム伊達公子選手が対戦相手の体の向きや目線などから、返球コースを予測しているというのは、何かのテレビ番組が検証していたのを見た記憶が、確か私にもあります。
ですがテニスゼロの答えは、明確に「ノー」です。
対戦相手の体の向きや目線から判断して、返球コースがクロスかストレートかを予測する意見は、まったく肯定できません。
▶「一時停止」しても「迷う」
たとえばテニスの試合をネット配信している動画で、相手が打つ直前の動きを一時停止して、そのプレーヤーの体の向きや目線から、返球コースを予測できるかどうか?
何となく分かるような気がするかもしれませんけれども、結構「迷う」と思います。
動画の動きを止めて見ても、この程度の識別ですから、自分も慌ただしく動くプレー中に相手のフォームや目線からコースを予測することは、非常に難しくなると思います(難しいことをやろうとすると、精神的にも不安定になります)。
一時停止してコースを予測しようとした時、「どっちだ!?」「すぐに言い当てられない!」という不安はなかったでしょうか?
冒頭の写真はダミーですけれども、クロスかストレートか分かるでしょうか?
これが、「予測するとかえって遅れる」一因です。
▶「ピンと来る」
では、選手はどうやって相手の返球コースを予測しているのか?
伊達選手の言っている真意は何なのかというと、目に見えない、耳に聞こえない、「直感」だと思います。
「直感」などというと怪しげに聞こえるかもしれませんけれども、集中力が高まると、潜在意識は今まで経験してきた過去の記憶を対象に一瞬で検索をかけ、ひらめきを得るようにできています。
具体的には、自分の打ったボールの威力や深さ、角度、対戦相手の癖などから「こう来るだろうな」などと、「ピンと来る」反応。
▶「直感が当たる」とき
「こうだから(体が開いているから)、こう(クロスに来る)」と頭で考えてプレー(予測)しているのではなくて、過去に経験した記憶を高性能のサーチエンジンで参照し、的中率の高い検索結果を弾き出しているのです。
その「直感」がよく当たるため、周りの人は、そして伊達選手自身も、予測によるものだと表現しているのではないでしょうか。
▶コースがあらかじめ分かっていてもミスする
とはいえ対戦相手のフォームや目線から予測してコースを判断するいちばんの問題はもちろん、ボールに集中できなくなること。
そうなると、百歩譲って返球コースは予測できたとしても、ボールとの同調が途切れているから、コースはドンピシャ予測どおりであっても、結局ミスします。
レッスンでコーチが「フォア側に球出しするよー」といってコースはあらかじめ分かっているのに、ボールそのものに集中していないと、生徒さんはミスヒットするのと同じです。
▶「直感の7割は正しい」
くだんのテレビ番組では、相手プレーヤーの体の開き具合を一瞬止めてコースを予測するシーンを検証材料としていましたが、それは止めるタイミングの「編集」しだい。
最終的に結局番組は「総合的に見て予測している」というまとめ方になっていましたが、それこそ「直感」だと思うのです。
「あえて手を読まない、直感を信じる」と言ったのはプロ棋士の羽生善治氏でした。
「直感の7割は正しい」と、『決断力』という本で述べています。
ちなみに『決断力』を紐解くと、「簡単に。単純に考える」ともありました。
やはり難しいことをやろうとすると、特に将棋の対局やテニスの試合本番などプレッシャーが高まる場面であるほど、精神的にも不安定になります。
▶動くと集中力は落ちやすい
Q2につきまして。
自分から動こうとすると、集中力は落ちやすいのです。
観客(あるいは負け審)として見ているぶんには、ボールがよく見えるけれど、自分がプレーする段になると途端に見られなくなるのは、客観的であるかどうかとともに、「自分が動くから」でもあります。
▶「早いに越したことはない」の?
また「早く動きすぎる問題」です。
テニスは早く、速く動ければいいのではなくて、ボールと同調して動くことが上手くプレーするうえで大事です。
「早いに(あるいは速いに)越したことはない」とばかりに、テイクバックを早く、あるいは速く引いて飛んでくるボールを待ち構える「形」はセットできたとしても、ボールとの同調が途切れているから、打ちに行くとやっぱり振り遅れる、今度は振り遅れないようにと意識して打ち急ぐため、打球タイミングが合いません。
テニスはオーケストラ演奏やダンスと同じで、リズムに合わせて動くのであり、「早いに(あるいは速いに)越したことはない」とばかりに先に動くと、悪目立ちしてしまいます(「早く、速く」がテニスをダメにする)。
▶先に引いて構えると「打ちにくい」
常識的なテニス指導では、「早く引いておけば振り遅れない」などと言ってテイクバックについて意識させます。
それが証拠にスクールなどでは、あらかじめラケットを引いて構えておく球出し練習なども散見されます。
しかしそれでは、ボールとの同調を感じられないから、一応打てても、「打ちにくい」のですね。
また引いて戻す動きとして効率的な「バネ」「反動」を使えないから、力んだりする原因にもなります。
「早いに越したことはない」とは言っても、止まっているボールを打つゴルフでさえ、振り遅れ(打球タイミングのズレ)により、ミスショットが生じるのです。
▶相手が見える=ボールが見えない
テニスに話を戻すと、なぜ早く動きすぎてしまうのか?
ボールに集中していないからです。
言葉を変えれば、相手の「動きに惑わされる」からです。
たとえばチャンスボールを送ってしまって、対戦相手に打点へ入られ、ガッと構えられたら、後ずさりしたくなりませんか?
「まだ相手からボールが打たれていない」にも関わらず、です。
これは、プレーヤーによる「誤った動き」ですよ。
つまり相手のフォームが「見えている」ために、その瞬間、ボールが「見えていない」のですね。
▶捕ろうとして「予測」するから、捕れなくなる
つまり構えられて後退りしたくなるとき、ボールはスッスと消えているのです。
ところがこのようなシチュエーションでガッと構えてからポトリと落とすドロップショットに切り替えるのは、常套手段。
https://youtu.be/-h65AQrS_BM?t=39
そうでなくとも捕りにくいのに、予測して後ずさりするプレーヤーは、なおさら捕れません。
ですからそのような先走り、勇み足を止めるために、スプリットステップするまでは「ステイ」なのです。
▶「例外」を毎回適用するとプレーは「安定しない」
もちろんこちらで述べているとおり、たとえば自コート側に広いオープンスペースがあって、その空いている逆サイド側へスマッシュを打ち込まれそうな場合は、一か八かで相手に打たれるよりも先に走り出す状況も、あるにはあるのですけれども、それは「例外」。
ロジャー・フェデラーに逆を突かれたスタン・ワウリンカもそうです。
ただし、「例外」を毎回適用してプレーすると、当然ですが安定しません。
基本は「ステイ」。
相手のボールが打ち出されてから、動きます。
なぜなら、相手に打たれるまではどんなボールが飛んで来るか分からないのだし、そもそもボールに集中していれば相手の体の向きや視線は見えないので、そうなる「はず」なのです。
ところがボールに対する集中力が低いプレーヤーは、相手の体の向きや視線に、いつも申し上げているように「騙される」のです。
▶スプリットステップは「ブレーキ」
言葉を変えると、先走りや勇み足を止めるのがスプリットステップの(シンクロ打法に並ぶ)効果ですから、常識的に教えられる素早く動き出すための「アクセル」というよりも、こちらで述べているようにスプリットステップは、誤った動き方をしないための、出足を遅らせる「ブレーキ」の役割を担います。
▶「動かない」のではなく「動きすぎ」
ボールに集中していないプレーヤーは、「動かない」のではなくて、誤った動き方をするから、動き戻す必要が出てきたりして、慌ただしく「動きすぎる」のです。
一方ボールに集中するプレーヤーは、優雅に動きながらも、速いボールにも遠いボールにも、スーッと動いて追いつくのでしたね。
▶「テニスは足ニス」? フットワークの「神格化」
ですから伝統的に「テニスは足ニス」などと言われるように、「足を動かせ」「足を止めるな」などと指導されますけれども、それはどちらかというとフットワークを「神」とする三段論法の精神論であり、実際には疲れるし、先述したように自分が動くと集中しにくくなる側面があります。
また当然フットワークを「意識」すると、動きは遅くなるし、その瞬間、スッスとボールは消えます。
ボールを無視して足を動かし続けても、意味はありません。
そうではなくて、ボールに集中すると、足は動くし、止まらなくなるのです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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