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いつか
2020年10月28日 17:35
「ぺけぺけぺけぺけ、ぺけぺけぺけぺけ」頭の上あたりで目覚ましのアラームが鳴った。手を伸ばして止める。メガネを取ろうとしたら、誰かが先に取って行った。目をこすって見てみると、メガネをした私が立ち上がって伸びをしている。私は戸惑いもせず、横たわって見た。 彼女は部屋を出て、洗面所に向かって顔を洗い、コンタクトをつけて、トイレを済ませたようだ。音がするから、わかる。台所へ行って、バナナと牛乳をすりつ
2020年11月3日 00:45
正樹「あの線を越えたら天国だとして、お前は行く?」優也「行くかな。どうだろう。」正樹「俺は行く。」優也「どうして?」正樹「天国っていいとこらしい。」優也「僕もそう聞いてるけど、わざわざ行くようなとこかな。」正樹「例えば、ソーダとコーラがあって、お前はどっちを選ぶ?」優也「ソーダ。」正樹「わざわざ選ぶようなものかな。」優也「ほほう。」正樹「例えば、お母さんとお父さんがいて、お前は
2020年11月27日 00:15
女「私、貧乏性で、目的の駅で降りるのと、一駅前で降りるのとで、交通費が変わるなら、一駅前で降りて歩くんですよ。」男「はあ。誰でもそうするんじゃないですか。」女「違うんです。絶対にそうするんです。疲れていても、次の予定に遅れていても、そうしなければならないような気持ちになって、絶対にそうするんです。」男「なるほど。」女「バイト先から家に帰ってくる時がちょうどそれで。いつも2キロくらい歩いて。
2021年7月27日 00:32
アキの部屋。ひとり暮らしにちょうどいい部屋。1K、6.4畳。窓は空いている。アキとマナが、無造作にひかれた布団の上に横たわっている。長辺に垂直に寝転んでいる。布団の短辺に平行な位置にある窓のほうを見ている。窓側から、アキ、マナの順。アキは毛布を丸めて枕のように使っている。アキは仰向けで、首だけを窓に向け、マナは体ごと窓に向いている。アキ「青いね、空。」マナ「あー青いかも。」アキ「なんかさ