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シン映画日記『BLUE GIANT』

ユナイテッドシネマ春日部にてジャズのアニメ映画『BLUE GIANT』を見てきた。

原作は石塚真一が「ビッグコミック」で連載していた「BLUE GIANT」で、本作は第一部の「東京編」を中心に構成。
主人公・宮本大の情熱と執念のサックスを軸にし、
ジャズバーで知り合ったピアニストの沢辺雪祈や同居人の玉田をドラムとして巻き込みバンド「JASS」を結成し、徐々にライブハウスで認知され、十代のうちに日本のジャズの最高峰「SO BLUE」への出演を目指す。

本作が展開で上手さを感じたのは、随所で東京編の時代よりおよそ10〜20年後の登場人物の過去回想インタビューを挿む。その中で本作のある主要登場人物の言葉からバンド「JASS」の運命について非常に重大なヒントをポロリと言い、
原作未読でこれに気付いた人はそこからラストまで「JASS」の運命のミステリーが味わえる。

3人のプレーも玉田がドラマー初心者からなんとか食らいついて成長していくサマがジャズをあまり聴いたことがない者でも分かる仕組みになっていて、
そこを努力情熱型の大のサックスと
幼少から高いレベルでプレイしてきたことを自負する腕とセンスを見せるピアノでグイグイ引っ張る。

中盤ぐらいから、
情熱で押し通すベビーフェイス気質の主人公よりも
鼻に付く冷静・天才肌系の沢辺雪祈が当たった壁と「あるその後の展開」が核になる。
そこは原作の凄さなんだろうが、忠実に再現しつつ、終盤のプレイシーンはこれまで以上に鬼気迫るものを見せる。他のプレイシーンもそうだが、サックス、ピアノ、ドラムの音以外にアニメならではの自由な表現をフル活用し、アニメ映画として高い完成度を示す。

終わってみれば、
原作もジャズを知らない者でもしっかりと惹き込まれる唯一無二のジャズアニメ映画仕上がっている。
主人公の宮本大と玉田の東北弁訛りと二人の成長譚から上野樹里主演映画『スウィングガールズ』にも非常に似ているし、
後半の沢辺雪祈の壁と「SO BLUE」へ出るか出ないかの瀬戸際はデイミアン・チャゼル監督の『セッション』にも通じる部分はある(尚、鬼教官はいない)。
全体的に青を基調とした色使いは
都会の冷たさや
3人の若さと
玉田のプレイと大の世間知らずさにおける未熟さ、
バンド「JASS」の挑戦者サイドとしてのブルー、
ブルースのブルーなど
何重にもかぶせて見せ、
映画『BLUE GIANT』を仕上げている。
原作、ジャズ好きならもちろん、
そうでない方でも気になったらとりあえず見てみるべきアニメ映画である。

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