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『ブルー・バイユー』見た直後の雑記

TOHOシネマズ シャンテで『ブルー・バイユー』を見てきました。

なるほど、
タイプとしては監督・脚本・主演のジャスティン・チョンがかつて出演していた『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』より対象側、つまり密入国者や不法就労者、不法滞在者視点のドラマ。それも、ストレートな不法滞在者ではなくて、養子縁組として迎えられた異邦人が手続きの不備で永住権を得られず、何かのきっかけで不法滞在者扱いされ、元の国に強制送還措置を執行されてしまう、というケースのアメリカの異邦人のドラマ。

その上、主人公を取り巻く環境がこれまた複雑。1988年に両親と離れて養子縁組という形でアメリカに住み、バツイチ&子持ちのアメリカ人女性キャシーと結婚し、只今その彼女は妊娠中。主人公のアントニオは借りテナントでタトゥーショップを営み、その仲間はちょっと悪い感じ。加えて、キャシーの元旦那のエースは警察官で、娘のジェシーに嫌われている。

と、この複雑な環境の中で、アントニオがエースも絡む形であるトラブルを起こし、養子縁組からの永住権手続きの不備で強制送還の危機に。さぁ、どうする、というのが大まかな流れで、この複雑な環境とこれに加えてアントニオが街で知り合ったベトナム人女性パーカーとの交流、強制送還の危機にも関わらずさらに危険な賭けに出る展開、舞台となったニューオーリンズを青を基調に撮った映像美で、途中までは飽きずに楽しめる。

「ブルー・バイユー」というタイトルは劇中にキャシーがベトナム人コミュニティのパーティーで歌う曲のタイトルだったりするけど、作品の全体的な色合いを青系にしたり、アントニオ強制送還危機からもがくもあまり良くならずアントニオ、キャシー、ジェシーの心情の青さもまたタイトルのブルーにかかってた気がする。似たような演出の映画として、デレク・シアンフランス監督・脚本作品『ブルー・バレンタイン』があるが、あれよりもさらに青の色彩、曇模様が強かった気がし、そこが良い。
また、アメリカでの韓国系の異邦人のドラマ映画というと、昨年公開の『ミナリ』があるが、あの作品よりも主人公周辺の環境やトラブル等でアクセントがある。

が、終盤あたりからのストーリーの求心力が弱くなってた気がした。そこをラストで強引にインパクトを出そうとするも、前半の展開のアクセントの強さと比べてあっけないというか捻りがなかった感じがした。要はストーリーの結果に対する社会問題の訴えのドラマで、それは分かる。しかし、作品として前半で良作から後半は社会派の佳作ぐらいで落ち着いたかな。

個人的には『ミナリ』テイストの『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』の逆視点としてそこそこだったかな。いわゆる佳作だね。

見た直後証拠写真(笑)。

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