シン映画日記『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』
ユナイテッドシネマ浦和にて劇場版ドラえもん最新作『映画 ドラえもん 空のユートピア』を見てきた。
お馴染み春のドラえもんアニメ映画の最新作で、2020年の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』、2022年の『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』がリメイク作品だったので、新規作品としては2019年の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』以来4年ぶりになり、脚本では『コンフィデンスマンJP』や大河ドラマ「どうする家康」を手掛ける古沢良太が担当。
出木杉からトマス・モアの「ユートピア」の話を聞き感化されたのび太はその夜上空に島らしき物があることを発見するが、ドラえもんをはじめ、しずかやジャイアン、スネ夫はそのことを信じない。そこでドラえもんとのび太はひみつ道具「タイムツェッペリン」で時空を移動し、これにしずか、ジャイアン、スネ夫と一緒に空にある島を探す旅に。
序盤のつかみでいつものドラえもんワールドを描き、そこからのび太のダメ小学生の脱却の道として「ユートピア」が描かれ、「ユートピア」探しの旅は悪くない。
その後見つけた空に浮かぶ島「パラダピア」では誰もがパーフェクトになれる理想郷を描きながらもその怪しさをミステリアスに描く。
「ユートピア」=理想郷をテーマにしながら、その「誰もがパーフェクトになれるユートピア」をSDGsや共産主義国家みたいに描いた部分は大人でも楽しめる。
しかしながら、そこでも落ちこぼれてしまうのび太の描写や、「ユートピア」に満足する人の危険さを創造主の洗脳という形でしか描けてなく、
脚本の練り込み不足が見られる。
それとパーフェクトネコ型ロボットソーニャのキャラの薄さや三賢人の明らかな怪しさなど深味をあまり感じない。
不思議な理想郷のミステリーとしては楽しめたし、「理想郷」パラダピアもSF映画『エリジウム』やアイザック・アシモフのSF小説みたいで悪くはないし、三賢人の描き方もドラゴンクエスト7の神様っぽくもある。
けど、同種のユートピアと優等生・落ちこぼれを描いたアニメ映画で2021年7月に公開した『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』と比較してしまうと、レギュラーキャラクター/ゲストキャラクターの描き方、落ちこぼれの描き方が弱く、そこが明らかに物足りない。
概ね楽しめるけど、爪の甘さは否めない。