潜入ルポ amazon帝国
書名:潜入ルポ amazon帝国
著者: 横田 増生
出版社:小学館
発行日:2019年9月17日
読了日:2019年9月29日
ページ数:351ページ
9月 :15冊目
年累計:111冊目
いやぁ、面白かった。読み応えあった。
15年振りの横田さんの潜入取材。
最新刊です。
国内に限らず配送センターへ乗り込んで
そして実際の配達現場にも入り込んで
取材した生の声は説得力満載だ。
私はAmazon prime会員だし、Echo spotも持ってる
まぁAmazonなしでは生きられない人です。
今年発表された数字だと
アマゾンプライム会員数全世界で1億人ですからね。
年間5,000円としても5,000億じゃないですか。
半端ないっすね・・・。
さて本書で語られる
Amazonの配送センターの過酷さ。
実際、著者が入り込んで働いた実体験。
1日工場内を20km前後も歩くのである。
物のピッキングは人がしなければならない。
PTGという指標があり、管理されている。
ピッキング端末に表示される”秒”。
次のピッキング時間である。
時間に追われて働くワーカー。
なぜ翌日に届くんだろうか。
そんな裏にはアルバイトのすごい働きがあったのだ。
どんなサービスも裏側で支えてくれている人がいる事を
改めて知った一幕である。
仕事が終わって配送センターを
出て行く際にはセキュリティーゲートを通る
そんなに厳しいんだって初めて知った。
色々と秘密主義の企業でもあるからね。
アルバイトの時給が低いよりも
労働環境がひどいのが苦痛のようだ。
人を人と扱わない雰囲気は国内外共通している。
日本の物流センターには組合がないです。
まぁ労働者側は弱い立場だよね。
一方、ドイツでは産業別に労働組合を作る。
ストライキやアマゾンとの交渉の舞台裏。
これは面白かったです。
組合の重要性が良くわかります。
現業の人だけでなくオフィスで働く
ワーカーも厳しいプレッシャーにさらされる。
そんな場面も紹介されていて
やっぱり外資系である事に変わりはないのだなと思ったよ。
利用者にとっては天国でも
働いている人は大変である。
配送業者も本当に大変そうである。
私は宅配ボックス付きのマンションに住んでいるけど
宅配ボックスが埋まっていて不在者票が入っている時は
非常に申し訳なく感じる。
持ち越しは次の日の配送への影響出ますからね・・・。
そんな様子が良く伝わるレポートでした><。
そんなアマゾンですが企業としては
なぜここまでAmazonが勝ち組になったのか
Google/FacebookのようなIT企業と肩を並べ
GAFAとまで呼ばれるようになったのか。
そんな事もたくさん紹介されています。
<事業の3つの柱>
☑︎マーケットプレイス(2002年11月〜)
☑︎アマゾンプライム(2006年サービス開始)
☑︎AWS
書籍のネット販売からはじまって
今はプラットフォーマーとして3つの事業がある。
そして、最も成功した
サブスクリプションといっても良いだろう
アマゾン・プライム。
経営手腕は見事だと思う。
マーケットプレイスやAmazonプライムは
書籍や物品の販売の延長と考えられるけど
AWSがここまで成功するとは思っていなかったです。
(2017年度の営業利益は43億ドル台)
プライム会員の方が通常の顧客より買い物をしている。
つまり、配送料を無料にしてもAmazonは元が取れるのである。
それにプライム・ビデオで独自コンテンツや映画も配信していて
それの影響でアマゾンの商品が売れるという
相乗効果もあるとの事。
<AWSの起源>
☑︎2003年〜研究開発
☑︎2006年〜サービス開始
AWSも元々は社内のサーバーが始まりなんだね。
着想は2003年なんだから、やっぱり目の付け所がすごい。
2003年なんてiphoneは誕生してない時代だもんな。
<AWSの顧客>
☑︎NASA、CIA
☑︎NETFLIX、Airbnb、スポティファイ
☑︎HSBC、ゴールドマンサックス
☑︎ジョンソン&ジョンソン、GE
☑︎丸紅、ファーストリテイリング、ローソン、キリン、HIS
☑︎NTT東日本、NEC、ソニー銀行
…全世界で数百万社を超える。
…日本国内の顧客数は10万社を超える
<AWSのシェア>
このクラウドサービスの分野で
圧倒的なシェアNo1(50%超)。
2位のMicrosoft(13%台)、3位のアリババ(3%台)
4位がグーグル(3%台)。上位4社で全体の7割。
これも他社より数年も先に研究開発してきた
先行者利益が大きく寄与している。
それに料金の値下げをどんどんしているという事も大きい。
AWSは2006年〜、Azureは2010年〜
<活用事例>
決算発表の記事などはこのAWSを使って
AIで書かれたり、地方局のラジオでは
AIアナウンサーが活躍している。
☑︎Amazon Polly(音声読み上げ)
☑︎Amazon Rekognition(画像解析)
☑︎Amazon Lex(チャットボット作成)
といった様々なアプリケーションがある。
あと、このクラウド(雲)サービスという呼び名は
グーグルのCEOだったエリック・シュミットが
2006年に発言した事に由来。
そのほか、まとめておく!
<Amazonが嫌いもの>
・組合活動
・税金を払うこと
・情報開示
<Amazon誕生>
・もともとはエブリシング・ストアを目指してなかった
<Amazonが重視するもの>
・価格
・品揃え
・利便性
<スタートアップ>
事業の焦点を絞れば絞るほど、成功する確率が高くなる。
初期の限られた資源や人材をどれだけ集中して使うかが大切。
<マッケンジー>
・離婚で手にした保有資産の50%以上を慈善事業に寄付
この辺なんかはベゾスと全然違うなって感じる。
バフェットやビルゲイツなどの投資家・起業家は
多額の資金を寄付しているけれども
ベゾスは前向きじゃないからね。
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