価値づくり経営の論理
書名:価値づくり経営の論理
著者:延岡 健太郎
出版社:日本経済新聞出版社
発行日:2011年9月22日
読了日:2019年5月3日
ページ数:288ページ
日本のモノづくりの強みを活かしながら
どうやって価値を作っていくか?
製造業・モノづくりを主とした企業に
勤める人には少しは役に立つかもしれません。
結論から言うと、現状を打開できるかというと
やっぱり難しいかなっていう印象。
書かれている内容はみんな感じてる事
頭では理解している事である。
実際にそれを行動し結果に結びつけるのは
また別の話で非常に難しいと感じる。
どうしたらGAFAの様な発想、スピード感
イノベーションを生み出せるのか?
そこに対しての具体的な解はない。
<モノづくり>
技術はあっても、それを業績に結びつくような
価値に昇華させる事ができない日本。
今は大量生産ではなくなり
デジタル化、モジュール化が進んだため
中国・新興諸国でも簡単に模倣ができてしまう。
日本が得意、コアとしていたモノづくりで
なかなか差別化ができなくなっている。
モジュールを組み合わせるだけだと
そこそこの品質でできてしまうからね。
部品メーカでコア技術を保有しているところは
差別化ができるが、完成品・セットメーカは
あまり差別化が困難になってきている。
さらに”機能での差別化”が難しくなっている事。
そして”コモディティ化”が激しい事。
Amazonで中国ハイセンスの50インチの
4Kテレビがなんと4万5千円程度で販売されている。
私の自宅の55インチのSONY Braviaは
4年前くらいに買ったけど25〜30万はしたと思う…。
<価値づくり>
顧客の価値基準。
WTP(Willingness To Pay)
「顧客が支払ってもいいと考える価格」
価値が高いとは?
金額が高いという事ではない。
原価(インプット)と売価(アウトプット)の差。
1000円の物でも粗利が90%であれば
それはものすごい価値があるという事。
<機能的価値> 形式知
今は、4Kや50インチにそこまでお金を払わない。
大画面や高画質に価値を見出さないから。
高スペックが高価値ではない。
この目に見えない価値を見いだすのは難しい。
そこを理解しないといけない。
社内の企画決裁書とかも
やっぱり仕様の羅列だったりする。
でも、その方がわかりやすいし
性能の良し悪しの比較はしやすい。
だから、担当者も決裁者もその流れに乗ってしまう。
<意味的価値> 暗黙知
iphoneはみんなが欲しいと願って、ニーズがあって
出てきたわけではなくて、使ってみたら
こんなの欲しかった!っていう潜在的ニーズだった。
ワクワク感や体感に価値がある。
このワクワク感っていうのは人間の根源的な
喜びのような物だから、人種・国境を越えて
世界に広まる。普遍的なもの。
厳密に測れる指標はないし、定量化も難しい
だから企画時に後押しするバックデータもない
市場に出してみないとわからない。
なら、Not Go!ってなってしまう。
それを理解してくる人、後押しする人
会社の文化・風土が大事かなって思う。
<ソリューション> 現場を顧客より知る
最近、何かとソリューションである。
色々な定義・考え方があるだろうけど
私の中では
「顧客が気づいていない課題を見つけ
テクノロジーで解決する」
かな。
そのためには顧客に寄り添って
顧客と同じ立場になって
色々考えなければならない。
顧客のワークフローを知り尽くす。
B2B、モノづくりではなくてコトづくり
単品からソリューション。
みんなわかっているけど
欧米のイノベーションに全然勝てない。