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ドラァグクイーン

顔の見えない人の素顔を探るより
すべてそのままを受け止めよう
いまだかつて見たことのない程美しく
咲き誇る大輪の花を

仄暗い夜に寄せて

仄暗い夜に寄せて

消費される流行歌
思い入れのある曲たちが
この手からこぼれ落ちないように
抱きしめて潰してしまわないように
再始動が搾取されませんように
大切に
大切に
守り続けながら
遥かなる音に耳を傾ける

最後の朝

最後の朝

湖のほとり
小窓に差し込む朝陽が瞼にかかる
もう目覚めることのない人の隣で
避暑を楽しむ人々の声が聞こえる
軽やかな小鳥のさえずりと共に訪れた
黒い自動車に
丁寧に運ばれた箱が乗り
愛する人の新たな門出を見送る

孤独なケーキ

孤独なケーキ

雲はわたあめではなくて
雨は飴玉ではなくて
壁はクッキーではなくて
屋根はチョコレートではなくて
君はマジパンではなくて
なのに なんで
私は独りなの

無い瞳が憂いている

もう会うこともない人の
頭の中を妄想して
空想の世界に生きるのを
もう少しだけ見過ごしてほしい
見つめられる瞳のないまま
見つめる瞳は心の真ん中
高鳴る心臓の鼓動が
まっすぐにあなたを求めている

うたたね

うたたね

ふかふかのソファに横たわって見る夢は
遠い異国の恋物語
水路をボートで進み
キラキラガラスのイヤリングが揺れる
指先があと少しで触れるところで
見慣れたリビングに戻ってきた

白

明け方
シン と静まり返った空間
冷えた空気に
お湯を沸かして
ゆげをたてながら ポットに注ぐ
コポコポ
ふわり 香りがただよう
ホットミルクティーを口に運ぶと
誰かの目覚まし時計が鳴った

140文字の叫び

140文字の叫び

声が文字になり
電子の波に乗る
連なる帆船は重みを失くし
意味を持たずに大海原へ繰り出す

少しだけあたたかな日に

少しだけあたたかな日に

少しだけあたたかな日に
ストーブの前で
タラタラ 溶けたら
スライムかアメーバのようになって
ドロドロ ダラダラ

水の中で暮らすイメージ

水の中で暮らすイメージ

水の中で暮らすイメージ

海の中をコポコポ沈んでいき
水面を見上げる
きらきら光る
鮮やかな青
カラフルな珊瑚 魚
ゆるやかに
もっと 深く
もっと 底へ
深く
深く
音の無い世界へ

たまご大好き

たまご大好き

たまごでも
目玉焼きはちがうの
白身が苦いの
玉子焼きもおいしいけれど
あまくするのはちがうの
ベストはゆでたまご
塩をちょっとだけつけて
モリモリ食べるのよ

うまい!

バーベキュー

バーベキュー

嫌なことがあってもお腹はすくし
レストランで恋人に別れ話をされて
泣いてても
運ばれてきた料理を食べて
「おいしい!」って言うし
空が落ちてきそうでも
火を起こして
肉を焼いて
ああ いいにおい
おなかグー

今日はバーベキュー

たき火

たき火

パチパチ
たき火はあったかい

重なり合う細い木の棒が
パキッと音をたて
燃え尽きたものは崩れて
カタカタッと落ちる
アンバランスなまま燃えていると
木を残したまま消えてしまう
灰を片づけ
残った木を組み直して
パチパチ
たき火はあったかい

ポータブルミュージック

ポータブルミュージック

見た目が変わっても
流れる音楽は変わらない
四角い箱に
コロコロしたイヤホンをつなげて
寝転がりながら
ともに
夢の中へ