「理想的本箱」とそのつづき ~『ラテ・ファクター』~
「理想的本箱」という番組
このところ「理想的本箱」という番組を楽しみに観ている。
少し前NHKプラスでこの番組を見つけ、去年放送された3作品と今年になって新しく放送された4作品を観たところだ。
この「理想的本箱」は、「悩み多き10代の漠然とした不安や悩み、好奇心に答える一冊を見つけてくれるプライベート・ライブラリー」というコンセプト。
私はこのコンセプトにとても共感した。
私自身が10代の頃、特に中学にあがってからは勉強や部活に忙しく、小学生の頃には楽しめていた読書もしなくなっていた。
あの頃読書という楽しみをもうひとつ持つことができていたら、ほんの小さな人間関係の悩みや何か得たいの知れないモヤモヤを忘れることができたり、もっと広い世界があることを知ることができたのではないだろうかと思う。
ひとりっこである娘のことを思い返してみても、親に悩みを話さなくなった時代に、いろいろな本にふれることでうまく気分転換ができたり、自分の興味や目標をもっと早く意識することができたのかもしれないと思うのだ。
「もっとお金が欲しいと思った時に読む本」
「理想的本箱」という番組では、特定の図書館のQRコードからリアルな悩みや要望を受け取ってそれに応えるというかたちになっているそうだ。
10月には「もっとお金が欲しいと思った時に読む本」が3冊紹介されたが、「もっとお金がほしい」と10代の子どもたちが悩んでいるかと思うと、胸が締めつけられる。
知り合いの女の子が、大学への進学を希望しながらもご家庭の事情でそれがかなわず、今もアルバイト生活を続けている。
その子は美人でスタイルもよくて、いつもきれいな洋服を着ている。
たがら何も知らない人から見たら、きっとなんの悩みもない女の子に見えるのだろう。
日本の貧困は見えにくい…
そこでその知り合いの女の子や同じような悩みを抱えている人のために、私は番組で紹介された3冊に加えてもう1冊『ラテ・ファクター』という本を「理想的本箱」に加えたいと思う。
『ラテ・ファクター』
この本は金融のエキスパートであるデヴィッド・バックが、お金について物語形式で語っている。
主人公のゾーイは27歳、マンハッタンで好きな仕事に着いてはいるがお金に対して不安があり、自分を「その日暮らし」だと思っている。
その彼女が、コーヒーショップで出会った初老の男性から「お金に関する3つの秘訣」をさずけられるというストーリー。
お金の話だけれど物語なので読みやすく、また舞台がマンハッタンなのでおしゃれで軽やかな感じがする。
読み終わるととても明るい気持ちになり、人生のバイブルのような作品なのだ。
それでも…、現実は本のようにうまくいかないかもしれない。
地道な努力が必要だし、まわりの大人の助けがきっと必要になる。
だけど、若い人たちの未来には必ず一筋の光があることを忘れないでいてほしい。
はじまったばかりの自分の人生を、あきらめないでほしいと願っている…