1章 ぼくの心はどこにある?
「その亀は逆さまのまま横たわっていた。その腹は灼熱の太陽で焼け、砂に足を打ちつけて、自分でひっくり返ろうとしている。でも、できない。あなたの助けなしではね。でも、あなたは助けないんだ」(映画「ブレードランナー」。ヴォイト・カンプ・テストのシーン)
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さて、ぼくは会社からの帰り道にいたのさ。 インターネット革命で効率性をぐんと向上させながら、さらに労働時間を増やしつつある、愚かしき人間にとってささやかな楽しみである、余暇の時間だった。ぼくはアイフォンで椎名林檎の「病床パ